第33話 インボウ伯爵領

 ハラグ町は旅商人達に任せて置けば、良い町になって行くだろうが、ハラグ男爵に街道封鎖や奴隷量産の命令していた、インボウ伯爵やらが悪の根源らしい。


 インボウ伯爵は王国の目の届かない辺境の地を良い事に、好き放題独裁者やってる様だ。


 奴隷にされてた旅商人達の、希望に溢れた笑顔で見送られ、僕達はインボウ町を目指した。



 予想通り、エレンさんの歩行速度は遅い、ベクトラさんは僕達の速度にかなり近付て来た。


「プリン、僕以外を背負うの嫌かも知れんが、エレンさんを背負ってくれないか?」

「嫌ダケド、アダン様ノ指示二従イマス」

「有り難う、夕食はご馳走作る」

「アダン様ノ料理好キ、嬉シイ! 楽シミ!!」


 プリンは張り切って、エレンを背負い着いて来た。


「アダンくん村が在るけど、どうする? 寄る?」

「アダン様、ヒンノ村はハラグ町に食料納める、農奴の村です」

 プリンに背負われたエレンさんが教えてくれた。



 言われて、改めて農作業している農民を見ると、奴隷の首輪を着けられ痩せ細った人達が黙々と働いて居る。

「ベクトラさん、奴隷の首輪を外すにはどうすれば良い?」


「契約した支配者が外すか、死ねば外れます」

「契約した支配者は、村長だろう? あの御殿が村長の家だろね、行って話をしてみよう」

「アダンくんは相変わらず甘々だね! こんな農奴の村の村長、話に乗ると思う?」


「アダン様、元サブギルドマスターの私、善悪の人物鑑定出来ますよ」

「ベクトラさんは、僕の思ってる事読み取れて居たね! 村長の人物判定任せる」


「言いたく無いけど、アダンくんは分かり易い、誰でも思ってる事読んでるよ」

「え? そう?」

「「はい! 読めます」」

 セインとベクトラさん、声が揃ってる。



 村長御殿にやって来た。


「魔物を連れた、お前達は何者だ?」

 予想より若い村長だったが、僕でも分かる悪人面! これダメな奴だ。

「農奴を開放する為、やって来ました! 村長、開放する気有ります?」


「お前は何を寝惚けた事言ってる? 帰れ!!」

「アダン様が、感じた通りクズの悪人!」

「それじゃ、死んで下さい! 死ねば自動的に農奴は開放される!」


「見れば女子供だけ、良い奴隷が飛び込んで来た! 捉えろ!!」

 村長の護衛? ゴロツキっぽい男が10人出てきた。


「エレンさん、殺れる?」

「これでもDランク冒険者です、ゴロツキの10人程度!」

 と言いながら抜剣、斬り掛かった。


 抵抗出来ない農奴をいたぶる、その程度のゴロツキ達、エレンは村長諸とも切り伏せて居た。


 遠巻きに見ていた農奴達の首輪が外れた。

「兄さん達、有り難う御座います!!」

「「「「「「「「「「自由だ!!」」」」」」」」」」


「この村は皆さんの村に成りました!! このまま自分達の為に農業するも良し、何か遣りたい事が有ればやって下さい! 応援します!」


「嬉しい申し出ですが、この一帯はインボウ伯爵の領地、逃げ出さないともっと最悪な村長がやって来ます」


「僕達は、そのインボウ伯爵を討伐に来ました」

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