第20話 夫婦水入らず?

「アダン、たまには夫婦水入らずで冒険者活動しよう!」

 トーラが突然訳ワカメな事言って来た。


「誰と誰が冒険者活動するって?」

「アダンに私それにセインの3人だよ」

「3人で冒険者活動は良いけど、プリンを置いて行くのは可哀想だぞ」


「プリンなら一緒に行動するの構わない」



 と言う事で、ギルド依頼表を眺めてる。

 近寄る男女冒険者を、プリンが威嚇してくれるのでユックリ吟味出来る。


「Cランク以上の依頼無いね」

「AランクやBランクの依頼が頻繁に有る訳無いよ」


「有った! マルメット討伐依頼!」

「金額下がってるぞ?」

 以前1頭金貨50枚だった依頼、今回は1頭金貨30枚になって居た。


「前の農場とは違うね」

「僕達ハジマ町西の樹海専門で活動して来たけど、これって東の外れ? 王都寄りかな?」


「王都寄りは大袈裟だよ! この街道を2ヶ月歩けば王都に着くけど」

「王都ってそんな遠くなの?」

「アダンと私が生まれた村は、王国最西端だから王都からこの町も一番遠い位置だよ」


「そうだったの? 僕達物凄い僻地辺境に居るって事か」

「そう言う事僻地だね、で、マルメット討伐やる?」


「行った事の無い村、様子見の意味でもマルメット討伐やろう!」


 受付にマルメット討伐依頼表を提出し、日の出村に僕達は向かった。


 独立した陸の孤島的なハジマ町、王都に通じる街道は草が繁る草原みたいになってる。

 日の出村は、町から歩いて1日の距離だが、人の行き来が少ない様で街道と思えない荒れようだ。



 日が暮れそう。

「アダンのご飯♪」


 街道のど真ん中で野営しても、人が通ら無いため邪魔には成らない。

 おまけに野草の宝庫だ! 少し見渡すだけでニンニラにネギ玉、ゴンボにヒネいも、物凄い野生の食材が繁ってる。


 トーラがキラキラ期待の目をしてる。

 何処かに出掛けたプリンが、野牛を担いで帰って来た。


 僕のスペースは矢鱈に進化して、無限収納と言って差し支え無い大容量になってる。

 プリンが解体した貴重な食材、水牛の殆どを収納した。


 手早くゴンボヒネいもネギ玉がイッパイ入った野牛のニンニラ内臓煮と、ニンニラ焼き肉を作った。


 トーラとセインが幸せそうな笑顔で食ってる。

 ゴブリンクイーンのプリンは、野生感が抜け僕の料理以外食べなくなった、流石に初対面の時みたいに嬉ションはしなくなったが。


 腹一杯の僕はプリンに埋もれて寝た。

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