第16話 あれ? 何で兄さん達が居る?

「トーラ、この魔法使いの面接頼む」

「アダン良さそうなら、勝手に採用して良いの?」

「トーラとセインに任せる」

「分かった!」「アダン様お任せ下さい!」


 僕は人を見る目が全く無いって自覚してる、面倒事は丸投げ!!



「アダン様、ドコニ行ク?」

「最初にギルドに行ってくれ」

「ワカッタ、ギルド行ク」


 オンブされるの、道行く人にジロジロ見られて、こっずかしいが楽チンで速い。


 大勢の男女が近付きたい素振り、クラン入り希望者だろう、プリンが威嚇するもんで誰にも邪魔されずギルドに到着した。


「おう! アダン来たか、ゴブリン魔石の集計出来てるぞ! ギルドマスター室に行ってくれ、金貨はギルマスが渡す」

「えぇ? 何かまた面倒事言われそう」


「ま、そう言わず、Aランク殿!」

「僕はBランクだよ?」

「広範囲魔法で5000匹のゴブリン、殆んどアダンが倒したって聞いたぞ、おまけにそれ、ゴブリンクイーンの使役だ! Aランクなんて当然!! もっと長く冒険者として活躍してたらSランクって声も出てたぞ」


「プリン屈んで、頭ぶっつけ無いよう気を付けて着いて来て」

「ハイ、アダン様」


 ギルマス室に入ると、大勢の人が居た。

 室内の人が一斉に僕を見たが、プリンが威嚇の唸り声を出すもんで、ここで暴れさせると大問題になる。


「プリン! 落ち着け! 危険は無い! お座り!!」

 プリンはその場で正座して、期待を込めて僕を見てる。

 僕はプリンの頭を撫でてやり、辺りを見る余裕が出た。


「あれ? クダン兄さん? 兄さん達全員何してるの?」


「この4人身分証を持って居ない、アダンの兄達で間違い無いな?」

「ギルドマスター、兄達何でギルドに居るの?」


「アダンの事が心配で、様子見に来たそうだが、話はクランハウスに帰ってゆっくりしろ! アダンの冒険者タグ今回の多大な功績でAランクに昇級させる! それとゴブリン5600匹の魔石代だ!!」


 金のAランクタグと、金貨の入った革袋が置かれた。


「魔石一個銅貨5枚、5600個の代金、金貨280枚入って居る」


「「「「金貨280枚!!!」」」」

 クダン兄さん達、声がハモってた。


 僕はAランクタグを首に下げ、革袋をスペースにいれた。


「アダンの兄達、冒険者登録したいそうだ、面倒見てやれ」

「えぇ? クダン兄さん? 麦畑どうするの?」

「トラさんの家族が面倒見てくれる、俺達文字が書けん登録手続き頼めるか?」


「兄さん達、冒険者って大変だよ、死ぬ冒険者も頻繁に出る危険な職業だよ!! 安全な西日暮町に居た方が良いよ」


「予想以上に立派に遣ってる様だが、俺達アダンの助けをしたくてやって来た! 足手まといに成らんよう頑張る!」


何かよく分からんが、ほんわか暖かい兄弟って良いもんだ。

「タグ、アダンのと違う!」

発効されたFランクタグを見て、ムダン兄がブウ垂れてる。


「Aランク冒険者、アダンクラン総帥様と違って当然!! 貴方も6000匹のゴブリン一人で討伐出来たなら、ランクを上げますよ」

受付のお姉さん、ベクトラさんがバカにした様に言った。

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