第13話 僕はテイマーじゃ無い

 クイーンは僕にスリスリ、巨体をスリ付けて来て離れてくれない。

「トーラァ、これどうしよう?」

「餌付けしたなら最後まで面倒見なさい」

「……セイン、これどうしよう?」

「命名して使役? テイムしたなら責任もって飼えば?」


「テイムって、僕はテイマーじゃ無いよ?」

「アダンの料理で餌付けしたなら、もうそのゴブリン女王野生に戻れない! セインの言う様に命名してやれ!」


「クイーン、チョッと屈んで!」

 クイーンが屈む、ググーンと頭が降りて来て僕の目の前にクイーンの顔が有る。

 普通のゴブリンの様に醜くは無いが、可愛くも無く強面の迫力顔だ。

 女王の両頬に触り、目を見て言った。

「プリンセスのプリン! お前の名はプリンだ!! 分かるか?」

「ググッ、プリン、トノナ、ウレシイ」

「プリン? 言葉話せるのか?」

「グッ、イマ、ハナセダシタ」


「アダン? テイマー能力発生して無いか?」

「……使役能力が発生してる!!」


「本当? アダンはどの方向を目指してる? 訳分からんな! 攻撃出来る魔法は熱湯噴射だけ、それにへっぴり腰の槍刺し、私達の嫁を目指すなら剣技位は身に付けろ!」

「僕だって、好きでひ弱やって無いよ、頑張って素振りしても剣技能力付かないんだ」


 とか話してると、気付かずギルドを通り過ぎる所だった。


「アダン! ご苦労だった! 緊急依頼受けてくれた報酬金貨……何じゃ? その巨大ゴブリンは!!」

「ゴブリンを指揮してたゴブリン女王クイーンです、僕が使役した事でスタンピード終演しました」


「何ともかんとも、毎度アダンは常識はずれの活躍するな! テイマー能力まで持って居ったか!」

「チョッと違う、アダンはプリンを美味で餌付けして、結果使役能力を発生させた」


「『卵が先か鶏が先か』って奴だな、取り合えずスタンピード阻止したのは事実、報酬金貨100枚に冒険者総出でゴブリン魔石回収して居る! 集計後買い取り金が別途渡る、今日はご苦労で合った。

おう! そうじゃ! ハルスパーティーの3人はCランク昇級だ!」

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