神田神保町あやかし古書店 出張版

夢水 四季

がしゃどくろ

「こんばんは~」

「いらっしゃいませ~」

 来店したのは妙齢の女性だった。

 一見、人間のように見えるが、実は妖怪や幽霊の類だと思うと、どんな妖怪に変化するのか少し身構えてしまう。

「私、がしゃどくろでして……」

「がしゃ、どくろ?」

 イメージが湧かず頭の中に、はてなが浮かぶ。

「ほら、こんな感じです」

 女性の姿が変化していく。

 骨が剥きだしになり、店の天井に届くくらい巨大化した。

「あっ、何か浮世絵で見たことあるかもです」

「はい、歌川国芳の『相馬の古内裏』ですね。あれ実は私の祖先なんですよ」

「そうだったんですか。有名な浮世絵師に描いてもらえたなんて祖先さんは、すごいですね」

「ええ、私達一族の自慢です」

「それで何の本をお探しですか?」

「ああ、そうでしたそうでした。本屋さんに来ているのでした。私、骨をもっと大切にしたいと思いまして、骨に良い食事が載った本を探しています。ございますか?」

「はい、少々お待ち下さい」

 俺はレシピ本コーナーに、がしゃどくろを案内した。

「この本とかどうでしょうか?」

『オレンジページ 食べて健康になるレシピ 何歳からでも骨は育つ!』という本を渡した。

「良いですね、これにします」

「はい、ありがとうございます」

 がしゃどくろは人間の姿に戻って、お勘定をして帰っていった。


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神田神保町あやかし古書店 出張版 夢水 四季 @shiki-yumemizu

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