掛川→熱海間
角山良介×福本幸也
鞄にキーホルダーをつけるカクの姿を見ながら俺は思わずため息が出る。
「カクさぁ……。
それ、結奈ちゃんとおそろいで買ったの?」
俺の質問に悪びれもせずに頷く。
「うん。
向日葵、可愛くない?」
「おそろいのキーホルダーとか、カップルがすることだろ」
俺の質問にはうーん、と首を傾げる。
「フクは蘭ちゃんに何買ってあげたの?」
話を変えようとするカク。
結奈ちゃんの話になると、いつもこれだ。
自分の気持ちに確信を持ちたくなくて向き合わない様にするの、俺はよくわかる。
実際、俺もそうしてた訳だし。
「蘭ちゃんにはお菓子と、あとグラス」
「グラス?!超お洒落だね」
「割っちゃったらしくて」
だけどさ、カク。
向き合いたくないってことは気にしてるってことで、何かをプレゼントしたり構ったりするってことは好きってことなんだよ。
「……なぁ、カク」
「んー?」
お菓子を取り出し食べはじめるカクに俺は教えてやった。
「17歳で彼女のいない男子は全体の三分の一らしいぞ」
お菓子を食べるスピードが少し、下がる。
「要するに、いる男子のがこの世には多いんだよ」
適当な雑誌の適当な街角集計だから事実とは多分違うけど。
「……だから、なに?」
「いや、別に?」
カクの向日葵のキーホルダーが少しだけ、揺れた気がした。
**
もう少し、さき
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