出会い
第5話
「「「行ってきます。」」」
「お気をつけて!」
「入学おめでとうございます!」
準備ができたので妹達と一緒に家を出ようとすると、組員の人達に声を掛けられる。
一見怖そうだけど、みんなとても優しい。
声を掛けてくれたみんなに返事をして家を出る。
外に停めてある車に乗り込んで運転手の鈴木さんに挨拶をした。
「今日からまたよろしくお願いします!」
「こちらこそよろしくお願いします。それとお嬢達ご入学、ご進学おめでとうございます。」
「ありがとう!」
相変わらずいい声のイケおじだ。朝からとっても癒される。
妹達もそれぞれ挨拶をして車に乗り込んだ。
さっきは婚約者がいるとか話があったけど、今日から妹達と登校できるのはとても嬉しい。
少しふわふわした気分で車に乗っていたが、妹達の機嫌が少し悪い気がする。
「なんかあった?」
「ううん、なんでもないよー」
つーちゃんが答える。なんでもなさそうには見えないけどな。これ以上追求しても答えてくれなさそうなので、この会話を終わらせようとすると
「お姉ちゃん、おじいちゃんから話された婚約者にはできるだけ会わないようにして欲しい...」
むーちゃんに言われる。
急にどうしたのだろうと思ったが、私も無理に関わろうとは思っていない。
「うん、わかった」
と答えると少しだけ、2人の表情が緩んだ。
しばらく他愛ない話をしながら車に乗っていると、学校に着いた。
校門の前ら辺に来ると人が多くなってくる。
中高一貫で、お金持ちの子供も多く通うこの学校なので、私たちと同じように車で送って貰っている人も多い。
入学式なので親と一緒にいる人もチラホラ見かける。
鈴木さんにお礼を言って、車をおりて敷地内に入ると視線を感じた。
中高一貫校なので、高校から入ってくる人は珍しいというのもあるだろうけど、受験に来た時に先生達が
「あれが、天沢さん達のお姉さん……」
と噂をしてるのを聞いたので、多分妹達が有名なのだろう。
良い噂かは分からないが、私の妹達のことだから悪い方ではないだろう。だってこんなに私の妹たちは可愛いのだから!
今すぐ、視線を向けてる人達に話しかけに行って妹自慢をしたいところだが、登校初日なのですんでのところで我慢する。
「じゃあ、お姉ちゃんまたあとでね!」
そんなことを考えているとどうやら昇降口に着いたらしくつーちゃんに話しかけられる。
「あ、そうだ。この学校特待生と生徒会は成績さえ保ってれば授業免除だから、お姉ちゃんは授業サボっても平気だよー」
「うん!わかった。また後でね。」
「…迷子にならないように気をつけて」
「いや、さすがにならないよ!むーちゃんたちも気をつけて!」
むーちゃんは私を何歳だと思っているんだ。私の方がお姉ちゃんなんだけどなと、思いながら2人に手を振って見送った。
……ん?今授業免除って言わなかった?え?どういうこと?
つーちゃんに聞こうとしたが、もう行ってしまったのでもう聞けない。
普通特待生って規範になるべき姿を見せろ的なこといわれるんじゃないかな?
まぁ、授業は基本出るつもりでいるからあんまり関係ないけど、家に帰ったらもうちょっと詳しく聞こう。
2人と別れ、昇降口に張り出されてるクラス割を見る。
あ、1組だ。名字あから始まるから分かりやすくて助かる。
何気なく自分のクラスの名簿を見ていくと『月城 綾斗』という字を見つけた。
あ、月城組の若頭だ。同じクラスなんだ。
なんか不思議な縁だなー、と思いながら入学式か行われる予定の講堂に向かった。
この時はこれが仕組まれていたなんて気付きもしなかった。
そして、妹達が裏で動いていたことも。
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