第6話
双子side
~結~
「つー、どう思う?」
「おじいちゃんか、あいつらの仕業だろうねー」
なんでこんなことに。
同じ学校だから、会うかもしれないとはおもっていたけど、まさかお姉ちゃんと同じクラスとは。抜かりないな。
「どうする?」
答えはほぼ分かっているが、一応つーに聞いてみる。
「会って言いに行くしかないんじゃない?」
「月城の若頭に直接?」
「ううん、星野兄弟かな。直接はちょっと目立つし、あの人何考えてるのかよくわかんないしねー」
どっちにしろ目立つけど、まだマシか。
でも私達にとっては、あまりよくないな。あの兄弟に会うのは……
「じゃあ、どっちに言いに行く?」
「変に勘ぐられるのは嫌だからむーはりっくんの方がいいんじゃないかな?私はゆーちゃんに言いに行くね。」
「そうだね……」
どっちにしろ、なにかが変わることは間違いない。
ふと、つーの手を見ると少し震えていた。それを見て自分の手も震えていたことに初めて気づいた。
無意識につーの手を握る。
「...大丈夫。私達は1人じゃないから。」
「そうだね。私達は1人じゃない。」
というのが、数時間前の話で今目の前に星野兄弟の兄、星野律がいる。
律と会うのは本当に久しぶりだ。1個うえの学年だし、あれ以来全然会わないようにしてきたから。
下駄箱に手紙を入れて呼び出したので、来ないかもと思っていたがちゃんと来た。
その事に対して、色々な感情が湧き上がって来るけど今はこの感情に囚われている場合ではないので、気付かないふりをする。
全然どう話すかノープランだったので、話をどう切り出そうか迷っていると
「久しぶりだね。」
と声をかけられた。
久しぶりに声を聞いた。あの頃から少しだけ声が低くなった気がする。まぁあれからもう何年も経つから、当然かと思い直す。
ふぅと息を吐いて気持ちを落ち着かせる。私はもうあの頃の私じゃない。大丈夫。
「そうですね...。」
わざと敬語で答える。そして、答える時に律が来てから初めて顔上げると、目が合った。
目が合うと少しだけあの頃のことを思い出す。
「で、用件は何?」
優しく微笑まれる。
相変わらず綺麗な顔だな。幼さがぬけてますます磨きがかかっている気がする。
あの頃より少し茶色くなった髪の毛は綺麗にセットされていて、背はとても高くなっている。
用件は?って聞かれたけど、どうせ分かってるんだろう。微笑みのなかに少し黒い笑みが隠されていると思う。
「じゃあ、単刀直入に言わせて頂きます。私たちの姉が入学したことはご存知ですね。」
「うん。」
「私たちの願いは、姉と極力関わらないようにしていただくことです。もちろん私たちにも今まで通り他人として接していただきたい。」
「うーん。無理かな。」
爽やかな笑みで返された。
予想通りの反応。
「俺たち待てはそんなに得意じゃないからね。そろそろ限界。」
「…そうですか。ではそちらの好きにしてください。こちらもそれ相応の対応をしていきます。」
わざと突き放すようにいう。
少し、心が痛い。
「...失礼します。」
律に向かって頭を下げ部屋をでる。
そろそろ、変わらなければいけないのかもしれない彼らも、私達も。
「すきに、ね…」
律がそうつぶやいて笑っていたことに、私は気づかなかった。
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