選択
第4話
~紬side~
お姉ちゃんの気配が完全に消えたので、口を開く。
「おじいちゃんどういうこと?」
「どういうことも何もさっき言った通りじゃ。」
私の質問の意図をわかっているのにわざとそういうおじいちゃんに内心少しイラつく。
「...そういうことを言ってるんじゃない。」
「私たちが聞きたいのはなんで今その話を蒸し返したのかってことだよ、おじいちゃん?」
むーに続いて、笑顔で圧をかけながらおじいちゃんに核心をついた質問をする。
「まぁ、そうイライラするな。いい機会になるかと思っての。」
おじいちゃんの言ってることがよく分からず黙っていると
「お前たちも気づいてるだろ。今のままで本当に実梨が幸せになれると思うか?」
「でも!」
「いい方向に行くか行かないかは実梨とお前達次第じゃ」
おじいちゃんに言おうとしていた言葉を遮られて正論を言われてしまった。
「それに月城のとこの坊主に実梨を合わせたくないなら、お前達が阻止すればいい。校舎は違えど敷地は同じじゃろ?」
そうおじいちゃんが意地悪そうに笑う。
こうなったおじいちゃんは何を言っても仕方がない。
「分かりました。その代わり1つ言わせて頂きます。」
わざと口調を変える。
「もし、姉が傷つくような結果になった時は組長でも許しません。」
「……そうか。」
少し考えるように返事をするおじいちゃん。
話が終わったので、むーが立ち上がってからそれに続いて立ち上がった。
「「失礼しました。」」
扉を開いて外に出る。
こんなことになるなら、学校受験するって言った時にもっと止めるべきだった。
「わしはお前達にも幸せになって欲しいんだがな……」
おじいちゃんが呟いた言葉私たちには聞こえなかった。
「むー、どうする?」
自分達の部屋に入ってからむーに話しかける。
「...とりあえず会わせないようにするけど、多分あいつならお姉ちゃんに会いに来ると思う。」
「だよね……」
お姉ちゃんは覚えてないだろうけど、向こうが覚えているから厄介だ。
今日のおじいちゃんの話を聞いた時のお姉ちゃんの反応を思い返す。昔の記憶が戻ってないことに少しホッとした。
私たちも初めて聞いたような反応をしたが、正直動揺していたので上手くできた自信がない。
「お姉ちゃんを守れるかは私たち次第...」
むーが呟く。
『今のままで実梨が本当に幸せになれると思うか?』
おじいちゃんの言葉が頭の中をグルグル回る。
あの時、私たちはどうするべきだった?
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