愚才な武人と天才娘達シーズン2
不自由な新自由主義の反乱児
第1話 宇宙からの帰還と日本での時間
場面はヒロが元嫁、友歌の星で自爆テロに会い、死にかけて生還する所から始まる。
アリサとチヅルがヒロの身体をゆすり【先生起きてよ】と大声を出す。
医師たちも諦めたその時、ヒロが目を覚ました、朦朧とした様子でなにか言ってる。マリが【パパしっかりして】と言うと【夢を見たと言う】医師が直ぐに瞳孔や脳波心肺のチェックを行い、頷く、そして言語や痛覚などもチェックして行く、
ケガした個所の痛みは酷いが、神経は生きているようだ。
娘たちが喜び抱き合っている。美樹が【先生何の夢を見たの?三途の川って有った?】と聞くと、ヒロが【三途の川は無かったが悪夢を見た】と言う。
【地獄の夢?】と美樹が聞くと【ある意味地獄だった】と言う。
美樹が【先生、地獄ってどんな所?】と聞くと、
ヒロは【水樹やハヤメのババ様や、俺のジジイや、死んだ仲間が皆で俺を延々と
シゴキまくるんだ、延々と、倒れても倒れても、何度も起き上がらせ、
何度も技を掛けられたんだ】と言う。
美樹が【水樹先生、何か言ってた?】と聞くとヒロは【酔っぱらった口調で、
何か言っていた、美樹の事をどうとか?酔拳のような技を掛けられた】と答えた。
完全に心が病んでいるのだろう。ヒロが回復するのを待ち地球に帰ることになった。
結局ヒロは友歌には会えず手紙を託すことに、それを取りにユリが船に来た。
ユリがヒロに【こんな天然のストーカー見たこと無いわ】と言う。
ヒロは【勝手にほざけ、人の愛情を散々利用しておいて】と言うと。
ユリは【ヒロ君みたいな研究対象は、めったに居ないからまた地球に顔出すね】と
言う。ヒロは【二度と来ないで下さい、用事が有るときは、こちらから
お邪魔します】と返した。
ヒロは別れた妻、友歌と結局再会することが出来なかった。
ユリが出て行った後、ヒロが船の病室で呆然として休んで居ると娘のマリが心配して
様子を見に来た。【パパ大丈夫?酷い傷だけど地球に帰ったら、ヒトミ叔母様が整形して綺麗に出来るって、顔に傷が出来なくて良かったね】と言う。
ヒロは【整形とか良いよ、姉ちゃんに一生、恩着せがましく言われるし、いつもユニオンの仕事で労災なのに、鬼の首取ったように怪我すると文句言って来る、それより友歌と会えて仲良く成れたか?】と聞く。
マリは【どうかしら、何せ星の法律で恋愛も結婚も禁止、生殖は全て人口受精で、
男性の人口は殆ど制限され、女性が全てを支配してAIが国の方針を作っている
星だったし。パパと何故、地球で結婚したか理由を覚えて無いって言っていた、でもパパが作ったケーキの事は覚えていたみたい】と言う。
ヒロが【そうか、この星では、俺が悪い星の代表のように記録されていたらしいからな、ヒットラーや東条英樹、テロ国家も顔負け扱いだから仕方無い】と言う。
マリが【パパ、またママに会いたい?また会えると思う?】と聞く。
ヒロは【さあな、縁が有れば又会えるんじゃないか】と答える。
ユリが言うように生粋のストーカーである(笑)
基本的にストーカーは圧倒的に男が成る、勘違いする動物なのだ、女は忘れる動物で子供が出来れば、男はただのキャッシュカードと同じだ。つまり黙って金さえ出していれば良い。しかし友歌の星では全てを女が仕切り生産から流通、軍事、教育、土木建築は全てAIが管理し機械化されている。つまり男の出番は無いのだ。一部の陸兵と警備関係と優秀な遺伝子としての精子が必要なだけである。この星でも男が、戦争等で女に迷惑を掛けた様である。一方、ユリとマリアとで裏取引が行われていた。ユリがマリアに有るデーターを手渡していた、そこには希薄な空気中の二酸化炭素を取り出し、酸素と炭素に分解し、更に不安定な気体の炭素をグラファイト(黒煙)に換えるシステムの設計図とデーターだった。また更に進化した水を水素と酸素に分離するエネルギーの循環システムの設計図も添えられていました。
ユリが【マリアさん例の報酬です】とデーターを手渡す、マリアが【ありがとう、友歌さんの様子はどう?】と聞く。【悩んでいるようです、例の薬草を育てるプラントを作って居る所です】と答える。この星は壊滅しかけた歴史から起こった多重人格が大きな問題に成っているのだ。心を安らげる薬効の有るハーブを、マリアは友歌に提供したのだ。マリアが【最終的には彼女が自力で安らげる環境が大切なのを理解してね】と言うと、ユリは【マリちゃんには本当は彼女の支えに成って欲しかったのですけど】と言った、そして【例の三人の子供の事ですけど、春花(シュンカ)をヒロ君に預ける話です】と言う【真矢(まや)、溜矢(りゅうや)はもう、矢早の弓美ちゃんが育てている。春花は今、中国のレイカ道士からロンさんが預かっている。問題はヒロが承諾するかね】とマリアが答える。【ヒロ君ってロリコンって噂だから大丈夫でしょ?】と言うと【貴女がその噂、流したのでしょう、可哀そうに、かなり気にしているわよ】と言った。【AIの判断ではヒロ君はもっと試練が降りかかって来るらしいです、でも彼なら大丈夫でしょ、バカだし】と笑った。
その一方ヒロは友歌に会えないまま地球に帰る事と成った虚しさに駄作の唄を作詞作曲していた。
【生きてる意味解らない程、打ちのめされた日々、何のために生まれて来たか
答えなど出やしない。自分自身が産まれた事を恨む夜、誰の声も耳に入らない
無音の時が過ぎる。自由を求め生きて来たが、何処に有るのだろう。
人に愛され生きて行きたい、そんな日は有るのか。探し疲れて野垂れ死んでも
生まれて死んだ事は確かさ。それが俺の人生、それが俺の生きた証さ】と言う歌を。
何と言う駄作だ、そう思いながら書き留める変態である。
ブツブツ歌うヒロを見て外から見ていた女医のハル(ヒトミの部下)は
【気持ち悪】と思わず口に出し、それを、たまたま聞いたジャン(ヒロの同僚)は
女は怖いと思いながら、ヒロが気の毒に成った。
地球に帰るまで二カ月掛かる、その間ヒロは治療と回復の為のリハビリ、
その他の兵士やメンバーはそれぞれの訓練や修行を船の中で行いながら地球に帰って行った。地球に帰ったのはもう既に十一月に入る秋に成る前の残暑の季節だった。
相変わらず温暖化は進み、十月の連続夏日を記録した年、アリサ、チヅル、マリは
二十一歳、美樹、エリカは十九歳の年だった。日本のユニオンに帰り、ヒトミの治療や検査を受けながらヒロが回復しれ修行を再開した頃、
ロン(ヒロの中国武術の師匠)が一人の少女を連れて、ヒロの元に現れた。
ヒロは姉ヒトミとコウジ夫妻の家に弟子達3人と妹のユカと住んでいる。
ヒトミ夫婦の家は敷地面積600平米、建築面積200平米の建て床面積600平米の豪邸である。部屋数は20を超え一階にリビング、ダイニング、キッチンそして
ヒロの寝室と浴室トイレと二階に娘達とヒトミ夫妻の部屋と浴室、3階に客室と浴室
は各階に備わってる豪邸だ。ヒロが一階なのは番犬代わりだ。
夫婦は医師と科学者で多忙だ、そんなに金を使う機会も無い。
土地はユニオンの土地を安く借りて建てたのだ。
日本に居る時(任務で海外の時以外)は娘達とそこに住んでいる。
娘のマリは地球に帰ってマリアと一緒にマリアの魔導士の森に帰っていた。
日本に居るヒロの所にロンが春花を連れてやってきた。
ヒトミとエリカも、ちょうど家に帰って来た。
ヒロがロンに【なんだ?その子供は】と聞く、
ロンは【春花と言います、九歳だそうです】と答える
【いや、名前と年じゃない、なんでお前がこの子をウチに連れて来てるんだ?】と
聞く、ロンは【マリアさんやヒトミさんから聞いてないですか?】と聞く。
【知らん、聞いてないし、悪い予感しかしない】と言い、
ヒトミを見る。ヒトミとエリカはニコニコしている。
ヒトミが【アンタ、ずっと落ち込んでいたでしょ、良い話だと思って承諾したの】と言う。【いや、姉ちゃんが面倒見るんか?】と言うと
【何言ってるの、アンタ当分ヒマだと思って、凄く可愛い娘ね】と言う、
既にエリカとアリサ、美樹は可愛いとハグしたり抱っこしてニコニコしている。
ロンが【レイカ道士を覚えていますね】とヒロに聞く。
ヒロは【忘れる訳が無い、殺されかけたからな】と答える。
【彼女からこの娘を預かるように頼まれたのです】と言う。
ヒロは【それはお前がレイカ道士から頼まれたんだろ、なんで俺の所に
連れて来たんだ】と聞くと。
【貴方が一番適していると皆が言うので、それに貴方、レイカ道士に水の刃の修行
して貰ったから、今の貴方が有るのですレイカ道士に恩が有るでしょう】と言う。
ヒロは子供の時、源三に連れられその修行をした、零下の極寒に泣こうが喚こうが限界まで滝行をして死と言う物を実感させる修行の一つだ、それで極限の精神状態を知る、仙人が行う修行だと言う。
ヒロは【一切無い、殺されかけただけだ、あの時レイカ道士とジジイは泣きながら
嫌がる俺を見て笑顔で会話していた、あの恨みは忘れない】と答えた。
ヒトミは【それもきっと貴方が成長して立派な武人に成るための修行なのよ、それに
皆も、あんなに可愛がって喜んでいる】と言う。娘たちは春花に可愛いと
連発しながら喜んでいる。
ヒロは【だから、どう言う経緯で預かったんだ?説明しろ】と言うと。
【中国の仙術の名家だった春家を知っていますね】と言う
【名前だけはな、もう滅びたと聞いたが】と答える。
ロンが今から三年前、春家の方からレイカ道士が預かったそうです、
レイカ道士が千日行に入られるので私に預けられたのです、ヒロが帰って
来たらヒロに預けるように頼まれました、貴方の今の強さはレイカ道士の修行が
有っての事です】と言う、
ヒロは【それは俺が修行頑張ったからでレイカ道士のお陰じゃ無い、
そもそもなんで俺なんだ?】と言い、
春花に【ロンと俺とどっちと暮らしたい?】と聞く。
するとヒロを指さし【ヒロが好き】と片言の日本語で答えた、
片言の日本語をレイカとロンに仕込まれたようである。
娘達はキャーと騒いで喜んでいる。
チヅルは【この子、ここで預かるんですよね】と喜んだり、
アリサは自分たちの名前を教えたり、馴染んでいる。
ロンは【よろしく頼みます】と言う、
ヒロは【チョイ待て、俺も任務や修行で忙しいんだ、勝手に決めるな】と言うと
【貴方、もう任務は受けないとか船でグチって居たんでしょ】と言う。
ヒロは【それはあんな酷い任務と言う事だ、これからは任務を選ぶ、
マリアに振り回されるのが嫌だと言う事だ】と言う。
その言葉を無視してロンが【それじゃ、頼みましたよ】と去って行った。
ヒロは一瞬気を失いそうに成ったが、騒いでる皆を見て【落ち着け】と声を掛ける。
そしてヒトミに【姉ちゃん、何故俺に黙っていた姉ちゃんが面倒を見るのか】と
聞く。ヒトミは【貴方、落ち込んで居たでしょ、良い話だと思って、ほら皆あんなに喜んでいる】と言う。
ヒロは【皆、いったん落ち着けペットじゃ無いんだ、可愛いとかじゃ無く
大変なんだ、勉強とか学校とか、どうするんだ、そもそもこの子の親とかは
誰なんだ、戸籍や、国籍だって、どうする】と言う。
美樹が【国籍なんかどうでも良いって、いつも言っていたジャン、韓国籍だとか、
中国籍とか関係無い、別に私の子供って事でも良いよ】と言う。
ヒロは再度気を失いそうになり【馬鹿垂れ、そお言う意味じゃ無い、
だいたい、この子お前はいくつの時、産んだことにするんだ、お前十歳にして母親に成ったのか】と言うと【ロリコンの先生に犯された設定でもいいよ、
それなら有り得るよね】と恐ろしい事を言う。
ヒロは後頭部に後ろ回し蹴りを喰らった様な衝撃を感じ
目の前が真っ白な世界に成る。
チヅルが【それじゃ先生が逮捕されるから、
戸籍を偽造してこの子の母親が死んだ事にしてマイナンバーシステムに
ハッキングしとくしか無い、ユニオンの情報部に頼むわ。
その上で先生の養子として私達皆で面倒見よう】と言った。
完全に犯罪だ。
ヒトミが【大丈夫よ、この子の手続きは既に中国と日本でやっているわ、
私達の養子として届けている】と言った。
ヒロは完全に嵌められた、俺の時間がどんどん奪われて行く、
小学生の子持ちと間違えられたら大人の恋愛も無理に成ると思った。
春花はヒロの横に来てニコニコして居る。
可愛い確かに美少女な上に愛嬌も有る。既に娘達には完全に溶け込んでいる。
美樹はいつもアリサに子供扱いされるので、妹が出来て嬉しそうだ。
しかも精神年齢や感性が近いのかコンビが出来上がっている。
親友のエリカが医大に進学したので昼間は姉弟子達だけに囲まれて居たから
妹が出来て嬉しいのだろう。
ヒトミが【今日はジュンちゃんの店でこの子の歓迎会しましょう、ヒロの奢りよ】と言う。皆が【賛成】と喜んでる。
いつもはヒロがスーパーで買い物をして皆の料理を作る、家事全般はヒロの仕事だ。
ヒロは今、しゃべる事も出来ない位にダメージを受けている。
ヒトミはユニオンの理事でユニオンの病院の総責任者でかなりの収入も有るのに
なんてセコイのだ、とヒロは思うが、娘達と居候している身分だ、掃除と料理は
ヒロが受け持つと言う縛りで居候している上、
彼女は家でもユニオンの組織でも権力者なのだ。
ヒロは夕方まで呆然自失している間にも、春花の教育とか掛かる費用とか考えていた
教育費は無償なのか?医療費はまあユニオンの病院だからエージェントの家族は
無料だろう。よく考えたらユニオンの学校は無料だった。
ユニオンは所属するメンバーには福利厚生が手厚いのだ。
その代わり仕事において常に進化を求められる。
その為のサポートも手厚く、色んな専門家のアドバイスやデーターが活用できる。
資格を取得するための、有給制度が設けられている。
その為の資金を稼ぐため様々なビジネスを展開している。
例えば世界中に高級ホテルを経営したり、不動産を保有して企業に貸し出したり。
言葉は悪いが金を持っている人間からは価値やサービス等を提供して、とことん金を
搾取するシステムを考える。ユニオンの病院は最先端の医療を持っている。
過去の三度にわたる友歌達の星との戦争で得た科学力やマリア達、魔導士会が集めた
科学者の努力の賜物なのだ。
因みにユニオンは様々なタックスヘブンの国に金融関連の会社を持つ。マリアの傘下
の魔導士達がそれぞれオーナに成って金融に罠をしかけ金持ちから金を奪う。
彼等は人知れず金融の魔術師とも呼ばれてるが、その金はユニオンの理念の元、争いを治める為の活動や貧しい国の人達の自立の為に使われている。
戦争の理由は全て金だ。領地争いとか言うが領地は金なのだ。価値の無い小さな漁業
の島に大国が戦争を仕掛ける事は無い。人を奴隷として資源価値と見た時代だから
以前は起こったのだ、貧しい国の紛争も貧しい中での欲望の争いで人が死んで行く。
そこで武器で儲けるクソな連中が居る、その犠牲は常に弱者なのだ。
夕方、皆でジュンの店、シュリに出かけた。
ジュンは以前、ヒロと一緒にエージェントとして任務に着いていた後輩で
美樹と同じ水樹の里の出身である。シュリは彼女が経営する韓国料理の店で、
非常に人気店で韓国系の人たちも多く訪れている。
店に行くと既にジュンがテーブルの準備をしていた。
ジュンか【あの世からお帰りなさい、兄様】と早速、皮肉を言う。
ヒロが【あの世もこの世の地獄だらけで、俺の安らぐ場所は無いのか?】と言う。
ジュンが【うちの料理を食べたら、誰もが天国の気分を味わえるのよ】と答える。
ヒロが【この店はとうとう、料理にドラッグまで使い出したのか】と言う。
ジュンが【ある意味、私の魅力が麻薬のような物よ】と答える。
美樹は【姉様、とりビー(とりあえずビール)】と注文する、皆それぞれ勝手に
飲み物を注文していった。春花はヒロの隣に座り、初めての料理屋が珍しいのか
キョロキョロ周りを見ている。
ヒロがヒトミに【なんで俺の隣なんだ姉ちゃん】と聞くと【貴方が安らぐためよ】と
答える、ヒロが苦笑いしてるとジュンが【兄様のロリコンもここまで来たのね】と
言う。美樹が【えーっ、じゃあ私達お祓い箱?】とヒロに言う。
怖ろしい女どもだ。バイトの店員がビールと付け出しのカクテキとナムルを
持って来て、メニューを皆が頼む。
特上塩タン、ツラミ(ホホニク)、特上ミスジザブトン(肩肉の上質部位の一つ)
特上サーロイン、シャトーブリアン、特上ハラミ、生レバー刺し、
シマチョウ(テッチャン)と焼き野菜、チシャ、
そしてヒロの好きなキンパを注文した。
いつものように店主のジュンのビールも勝手に用意されてる。
ジュンが【兄様の生還にカンパーイ】と勝手に音頭を取ると、皆が【カンパーイ】と
合わせる。美樹は乾杯の前にすでに半分飲んで居る、まだ十九歳である。
春花は、オレンジジュースを始めて飲んで甘さにビックリしてヒロを見てる。
ヒロは【第一次吃(初めて食べた)】と聞くと、春花は頷いてニコッとする。
娘たちは相変わらず可愛いの連発です。ヒトミがどこから持って来たのか中国語の翻訳機をヒロに渡して、明日皆の分と春花の日本語用を持って来ると言う。
ヒロがレイカ道士の所で何をしていたか聞くと、急に怯えた顔で首を振ります。
その様子を見てヒロは【可哀そうに】と言う。
幼い頃の自分の記憶が蘇り、この子も酷い目に合ったのだと同情したのだ。
実際はただ武術や仙術の基本の修行、心の修行ですが大人でも値をあげる厳しい
修行も有るは。身体では無く心を鍛える物が多い。
内丹と言い、瞑想などを通じて体内の気を練って体の中に金丹を生み、
不老長寿に至る方法論であるが子供には地獄である。
春花はヒロが焼いた焼肉を食べその味に驚く。牛肉、しかも上等な和牛など食べた
ことも無いようだ。すっかりヒロにも、懐いてきました。ヒロはヒトミに
【この子の勉強とか、どうする】と言うと【言葉と文字をシッカリ教えましょ】
と言う、漢字はある程度解るようだ。チヅルが【先生、レイカ道士ってどんな人】と
聞く【妖怪だ、俺は2カ月一緒に居ただけで地獄だった、良くこの子は何年も一緒に
暮らしたものだ】と答える。【うわさでは千年生きてるとか謎の人物ですよね】
とチヅルが言う【それはどう考えても嘘だろ、でもロンが、あれだけ気を遣うのは
マリアとレイカ道士だけだ、それだけで妖怪クラスの化け物だと思う】と
ヒロが言う。
チヅルが【さっき春家がどうのとか言って居たでしょ、古代の王朝で暗躍したと言う仙人の一族でしょ】と聞く。ヒロが【よく勉強してるな、でも俺は逸話の類だと
思ってる、まあ中国にも、日本にも、そんな一族は五万と居る。中国の歴史が残酷
とか言うが、考えて観ろ、大陸続きの土地で多民族だ常に周りから攻め攻められ
王朝争いの連続だ、そんな歴史で人間はそう生きるしか無い。日本の戦国時代も敵の畑で略奪を繰り返し、女を奪い合う、今の中国があのように成ったのは日本を始め
世界の先進国が清王朝を食い荒らした結果だ、因果応報とはこの事さ。
食い荒らされた国は何処も信用をする事が出来ないのは当然だ。
中国は古来、他民族同士が争ったり、モンゴル、イスラム、キリスト多くの宗教や
民族から侵略を受けたり統治された歴史が有るのだ。その結果、国民党と
共産党が争い国民が犠牲になった。
ヒロはそんな事を春家の逸話を思い出しながら考え、
タンカレーのNO・10を頼んだ。ヒロの好きなGIN(スピリッツ)だ。
その夜は娘達と家でも春花が賑やかに過ごし、
エリカが春花と一緒に寝ることに成った。
美樹とジャンケンで争ってアイドルとの時間を獲得したようだ。
エリカは今は医大生だがヒロの弟子のひとりで八卦掌と愛機の心得が有る。
また矢早の里で弓と薙刀を習っていた、後の先を取る才能に長けている。
翌朝、ヒロはエリカを除く娘達の朝稽古の為、外で待ってると、
春花も一緒に外に出て来た、
美樹が【春花も一緒に稽古したいんだって先生】と言う。
ヒロが【レイカの所で修行して居たのか?】と聞くと、首を縦に振る、
日本語を少し理会出来るのだ、昨日、翻訳機を娘達に渡して話をしただけで
何故か少しヒアリング出来るのだ、驚くべき理解力と記憶力だ。
ヒロが美樹から翻訳機を借り、何が出来るか見せるように言うと、
長拳の套路(とうろ、型式)を見せる。
それも見事な演武である。長拳は所謂、長い間合いで繰り出す拳法で、
一見、体操の床運動のように見える、しかし彼女の風格は手足を武器に
見立てた風格を持ち、一瞬で遠い間合いから伸びる手足の攻撃は鋭いスピードを
持って居た、レイカに仕込まれたとは言え凄い才能である。
きっと体操選手としても大成出来るであろう。豹のような撓やかさ(しなやかさ)
スピード、そして攻撃が当たる時の殺気、無拍子に近い動きと虚実をおりまぜた
殺気の出し入れ、本物である。娘達もその演武を見て拍手をする。
春花は演武を終えニッコリして礼をする。
ヒロは表面はニッコリ笑い拍手して褒めるが内心この年齢でここまで習得した
修行を考えると自分の幼い頃と重なり心が重くなる。
ヒロが誉めて春花の頭をなでる表情を見て春花は【痛いか?】とヒロに聞いて来た。
ヒロが首を振り【いいや】と答える。皆で長拳の基本功から始める馬歩、弓歩等
立ち方から拳を出す打法、ヒロはそこに空手の基本のサンチン立ちでの打法や
前屈立ちの打法を加え修行する。稽古は大きくゆっくりした動きから小さく鋭い
動きに移行するのが大切なのだ。大きく正しい姿勢を体に記憶させ、それをより
実戦に近い動きに変え体に覚えさせる。そしてその為の筋肉、特にインナー
マッスルとその神経回路を鍛えるのだ。武術は脳から神経、筋肉、骨へと全ての
に回路を使い、相手を攻撃したり防御したりする技術だ。
その後、対錬つまり約束組手、やその技を使ったマスボクシング、スパーリングを行い朝の修行を終える。
稽古の後それぞれシャワーを浴び、ヒロは朝食の支度をする、毎朝のルーティンだ。
その日は春花の為、鳥肉と卵を使った中華粥を作った、出汁に中華出汁の元と
ホタテ出汁の顆粒を使う。消化に良く朝のエネルギーとタンパク質をしっかり
取れる上に野菜も入ってる優れものだ。ヒロは春花が食べるのを見て【美味しいか】と聞く春化がニッコリして頷く。美樹が【先生は料理だけは美味しいんだよ】と
いつものセリフを言う。世界一失礼な弟子であるが、いつもの事である。
食事をしていると、アリサが【先生、春花の洋服や下着、日常用品を買わないと、
女の子だから着たきり雀じゃダメだよ】と言う。
確かにそうだ、買う必要がある物が沢山有る。
ヒロが【チヅル、アリサと必要な物を書き出してくれ、お前ら今日はアカデミーで講師の仕事が有るだろ、美樹とエリカが一緒に春花と買い物に行ってくれ】と言った。
そんな会話をしてるとヒトミとユウが部屋から降りて来た。
ヒロはヒトミに【春花のメディカルチャックを一度、予約を取ってくれ
レントゲンやⅭT・ⅯRIは避けて整形外科医に骨や筋肉のチェックも頼む、
視力から聴力までこまめにチェックしてくれ】と言う。
ヒトミは【明日、午前に入れておくわ】と答えた、
ヒロは【あとこの子の学力テストしとかないと教科書も揃えないと】と言うと
ヒトミは【先ず日本語覚えないと】と返事をする。
ヒロは【多分この子、覚えるの早い、既に単語を理解し始めている、なんでだ】と
聞く。ヒトミは【ロンさんが単語ぐらい教えて居たんじゃないの、最初から
貴方に押し付ける魂胆で】と答えた。
ヒロはロンの野郎と思いながら、それにしても、この子の記憶力と理解力は
普通の子供と違うと思えた。
今日はヒロとアリサ、チヅルはアカデミーで後輩たちに講習をするヒロとは別の
クラスでだ。ヒロも単発で武術と実戦の格闘実習だ、美樹とエリカは休みなので
ヒロが多めに金を渡し春花と一緒に洋服と日常品の買い物に行かせる事にした。
ヒロは朝食が終わると、美樹とエリカに金を多めに渡し春花から絶対目を
離さず、どちらかが手を繋いで買い物するよう注意をして仕事に出かけた。
アリサも必要な物のメモを渡し、同様な注意を二人にした。春花はワクワクしている様子でヒロは少し不安になるが、ロンが持って来たのは春花のバック一つで二三日の
旅行程度の荷物だ。アカデミーに着き授業までの間、ロンに電話をした
【ロン、さっさと逃げて何処に行くつもりだ、あの子の洋服とか
少ししか無いから、養育費払え、既にメチャクチャ金が掛かってる】と文句を言う。
ロンは【何ですか、私はこれからアメリカで任務が有るのでニューヨークの
チャイナタウンに飛んで、情報を集めに行くのです、それに日本には子供手当とか
子供が居ると得をすると聞きましたが】と言う。【アホか、日本がそんな高福祉の
親切な国のハズあるか子供一人に月一万円で何が出来る、大赤字もいいとこだ
経理に頼んでお前の報酬から差っ引いて貰うからな】と言う。
因みに子ども手当(現在児童手当)創設に伴い、それまでの年少扶養親族
(十六歳未満)の扶養控除が廃止されました。同時に、高校の学費実質無償化に
伴い、高校生の扶養控除に上乗せされていた、二十五万円分も廃止している。
ロンは【そんな事は不可能です、マリアさんが貴方に全て託すとハッキリ仰って
居ました、そんな事よりあの子の精神的ケアをお願いします、
マリアさんはその為、あの子を貴方に託したのです】と言う。
ヒロは、マリアもロンも、いつも俺に無茶ぶりばかり押し付けて何時か
チャンスが有れば殺してやると思った。
しかし、その二人にそんなスキが有る訳も無いことも知っていた。
ヒロは【そんな事は言われなくてもする、子供に罪は無い、それよりあの子は
何者だ、身体能力も記憶力も普通の子供じゃ無い春家(シュンケ)の話は本当か
清王朝時代に滅んだとも聞いたが、だいたい春家について何処まで知ってる
俺も裏の世界は散々接触したが実際には聞いてことも無い青幇(ちんぱん)や
黒社会の連中からも聞いた事が無い】と言うと【本当に知りません、レイカ
道士からそう聞いただけです、もし本当でもそれが表に出る事は無いでしょう
ただ私もあの子が普通では無いとは感じますが、普通と言うのは、あくまで相対的
概念です、それを言うなら我々とて普通では有りません】と答える。
【マリアなら知ってるのか】と聞くと
【彼女がそんな不必要なことは話さないでしょう、
貴方を信頼して託したのです、よろしく頼みます】と言い電話を切った。
ヒロはいつも俺に面倒な事ばかり押し付けてと思ったが、ヒロ自身、あの子に魅力と興味を感じていた、何より子供には罪は無い、他の弟子達と同様に幸せな人生を
送って欲しいと思った。
ヒロとアリサ、チヅルが午前中の授業を終えて一緒に昼食を取っていると
エリカから、電話が掛かって来た定期連絡だと思うが何故か不安が過った。
エリカが【先生、大変、どうしよう】とパニックに成ってる。
その声を聞いて不安が最高潮に達して【何が有った、今何処にいる】と聞く
チヅルがノートパソコンを取り出し【大丈夫、春花に虫を付けてたから】と言う。
見ると百貨店の隣のビルの屋上のようだ。虫と言うのは虫型のドローンの追跡機で
ユニオンが任務や調査に使う機器である。超小型精密カメラも内臓してる
優れものだ。
しかしヒロは更に不安になる、田舎の道士の住む山で育った子供が都会のビルの
屋上とか危険でしかない、子供は危険が何かを知らないのだ、道路で車が走ろうが
全速力で走ったりする動物である、しかも田舎者で何もかも珍しいだろう。
ヒロは以前、赤ちゃんにリード紐を付けて非難されていたニュースを見て、
子供の習性を知らんバカが騒いでるな、
日本はそれだけ少子化が進んでいる、終わった国だと思った。
ヒロが春花を預かる事を躊躇したのは子供を育てる大変さを知っているからだ。
本来は子供好きで妹のユウや妹弟子の弓美など赤ちゃんの頃から面倒を
見させられた事が有る。
ある意味子供は怪獣なのだ、何を考え、どんな行動するか予測も付かない。
母親の育児の大変さは常にその恐怖と緊張の連続だ。それを何が女性の社会進出と
少子化の両立だ、役人や政治家は馬鹿なのか?と常々友人の新聞記者に言って居た。
ヒロは美樹とエリカにその場所を教え、
チヅルに二人を指示して春花を確保させるように言った。
そして、そして午後の講義の枠を他の教師に任せ、
その場所に至急ジェットバイクで向かった。
ジェットバイクは戦地でも使える空中さえ飛べるバイクだが街中で空を走る訳には
行かない。登録ナンバーを付けてスピード違反で最速で安全に気を付け向かった。
戦場や海外でカーチェイスの経験の有るヒロには日本の警察など
木偶のごとしに思っているのだ。
到着した時には、元々いたデパートの屋上で三人が待っていた。
どうやって屋上を移動したのか、虫で観たチヅルが言うには屋上から直接屋上に
移動したようである。やはり子供は何をするか予測が出来ない、マンションの窓から
飛び出したり、乗り越える事が出来なさそうなベランダから落ちたり危険は何処にも
存在する。その屋上に着くと、春花はニコニコして、
どうしてヒロが来たのか理解出来て無い様子だ、感覚は幼児のままなのだ。
エリカと美樹は下を向いている。ヒロは心を落ち着かせ、
エリカに【どう言う状況だったんだ?何故見失ったんだ?】と聞く、
エリカは【私はトイレに行ってて】とまた下を向く。
ヒロは【美樹ちゃんはその時何をしていたのかな?】と聞く。
ヒロは美樹の手に化粧品ブランドの紙袋を見て、化粧品コーナーの迷路に
先ず迷ったのかと推測した。美樹が買い物に夢中に成ってる間に迷路に迷い、
そこから物珍しさで春花が動き回ったのだ。しかし、どうしたら一階から
隣の屋上に行き更に元のデパートの屋上に着くのか?
ヒロは【美樹ちゃん、何か言う事は無い?】と聞くと【ゴメンなさい】と答える。
それを聞いて春花が何か泣きながら、なにか話してる、
美樹は悪く無いと主張して居るのだ。
ヒロが春花の頭をなで【解っている】と言う。ヒロも自分が不安なのに二人に任した事を反省したのだ。美樹たちに【買い物は済んだか?】と聞き、二人が頷くと
家に帰ろうと春花の手を引き、下に降りた。身長が140センチの九歳の少女を
人込みのデパートに娘達に任せた自分の非を反省した、
そして二人に俺も悪かったと謝罪した。
美樹たち三人をタクシーに乗せバイクで帰りながら改めて、
色んな課題に悩むヒロだった。
家に着き、落ち着くと、先ほど泣いていた春花が美樹と笑って話していた、
唯一の救いのような気持ちに成った、
お騒がせ娘は美樹だけで沢山だと思って居たが、
何故か友歌を再度失った心の隙間が埋まって行く。
春花がヒロに【お腹、空いた】と片言でしゃべる。これは美樹のいつものセリフだ、きっと美樹が教えたのだろう、三人とも昼を食べて無かったのだ。
ヒロは高たんぱくの早ゆでパスタを茹で、ミートソースと炒めた。
ミートソースはヒロ手製の物を冷凍保存している、高たんぱくのースだ。
麺とソースでタンパク質35gで素早く調理できる、優れものメニューだ。
ヒロは常々、家では家事担当なので女性の家事の大変さを軽んじる男は
結婚するなボケと口にしている。
子育てから家事の両方などサラリーマンの仕事の比でない重労働なのだ。
家事、子育て、その上、家計のやり繰り、大したサラリーも貰ってないバカ亭主が
偉そうに、付き合いも大切な仕事とか死にさらせボケと、いつも言ってる。
当然そこには幸せな結婚への僻みが沢山入って居る。
また嫁が旦那に毒を盛り殺害するのは、金よりも日頃の恨みと信じてる、判例を見てそこは、情状酌量しろバカ判事と言ったりしてる(笑)
遅いランチを食べさせ、台所を片付け、一休みしたら既に午後四時、夕食の買い物を
しなくてはいけない、三人を放置するのが不安なため一緒に連れて行くことに、
春花を環境に慣らす必要も有る。
夕食は手間を惜しんで馬刺しセット、軍鶏刺し、軍鶏肉で鍋を作ることにした。
二日連続で肉メインだが仕方ない。買い物から帰り夕食の支度をしているとチヅルと
アリサが帰って来て美樹を責めている、
ヒロが【そう責めるな、俺が安易に考えたのが悪いんだ】と言うと
【先生は美樹ちゃんに甘過ぎるのよ】と責める
【解ってる、お前達にも苦労を掛けるが頼む】と答える。
アリサが【チーちゃん、美樹ちゃんのお母さんみたい】と言って笑う。
エリカと春花がその様子をキョロキョロ見てるのだった。
ヒロは美樹に【春花を入浴させてやってくれ、皆も夕飯まで風呂に入れ】と言う。
因みにヒトミの家は一階と二階、計三室浴室が有る三階にもシャワーが備え付けられてる。三階は殆ど使われることが無い来客用のスペースだ。
また武器や任務用の装備の保管庫も三階に有る地下にシェルターと逃げるための
通路も有る。まあユニオン自体軍に攻撃を受けても対抗できる装備がしてあるし、
隣接してる武装基地が地下に隠されてる。
ユニオンの東京に打撃を与えるには東京にも損害が及ぶ位の火力で
攻撃するしかない。現実的に日本と戦争状態に成るかユニオンの部隊より
優れた特殊部隊を空から降ろす以外無理だ。
実際そのような部隊が存在するとは考えられない位、紛争に参加して紛争を
収める任務をユニオンは行って来た。圧等的な金を使い高い科学力の武器も
揃えて居る。
それは殺傷の為では無く、制圧して争いを終わらせる為の武器だ。
そこが既存の軍隊とユニオンの軍部の大きな違いだが、前回の友歌の星との紛争で
危険な兵器も開発された。ヒロはそれを使うのはもう無い事を願って居る。
幸いその時は脅しのため人の居ない場所で使いその反対側から
別部隊で相手を制圧した。
本来はどこの国も同じで有るべきだし、基本表面上は防衛の為の物、
相手と積極的に交戦するための物では無い。
個別的自衛権は、「一国が自国に対する侵害を排除する法的根拠」を意味する。
いずれも国際連合(以下、国連)憲章51条によって認められている。
現在の国際法においては国家による武力の行使は原則として禁止されているので
(国連憲章2条4項)、C国などが助勢するには禁止の例外としての法的根拠が必要です。集団的自衛権は、国連憲章で認められる禁止の主要な例外の1つであり、
その特質はもう1つの例外である集団安全保障(憲章7章)と比較すると
理解しやすい。国際法上の集団的自衛権とは、「一国に対する武力攻撃について、
その国から援助の要請があった場合に、直接に攻撃を受けていない他国も共同して
反撃に加わるための法的根拠」を意味します。A国がB国を攻撃した際、C国やD国がB国に助勢する法的根拠と言い換えることもでる。
ここでB国が反撃する権利が個別的自衛権です。
つまり、相手を攻撃するのは攻撃から自分を守る為、更にその他の国が攻撃する
権利は基本的に無いが、その国を守り紛争を収める為、その国からの要請によりのみ許されている、と言うことだ。その場合の集団的自衛権の欠点はそれが介入することで戦いが拡大し、それが飛び火して大戦に発展するケースが多いことである。
現実そのケースが多く起こっているのが現状だ。
皆が入浴している間にユウとヒトミは帰り二人もシャワーを浴び、皆で夕食を食べていると、【今日は手抜きね、お兄ちゃん】とユウが言う。
ヒロはお前が言うなと思い、顔がこわばり【内科医なんか技師達や看護師に
助けられ、データー見て薬を出すだけで高額な給料貰ってる
詐欺ボッタくりのくせに、夕食のメニューに文句付けるな、
俺はアカデミーの仕事からエージェントとしての任務と訓練しながら
家事もやってる、お前が当番の時なんかもっと手抜きだろ】と言い返す。
再度内紛の危機が訪れる。この場合、個別的自衛権だ。
そこに大国並みの権力者のヒトミが【止めなさい、子供たちに良くないでしょ】と
脅しをかけ、紛争には至らず済んだ。これが集団的自衛権だ。
しかし夫婦の紛争はこのように始まり、何れ毒殺に発展するのかも知れない。
皆で夕食を食べながら、ヒロは佐賀県の日本酒鍋島の純米大吟醸を飲んだ。アリサがヒトミに今日のハプニングの話をしているとヒロに【大変だったわね、でもお爺さん(源三)の苦労が少しは解った?】と言う。
ヒロは【俺は何にも迷惑かけてない、逆にジジイに色々巻き込まれ
スゲー迷惑だった】と言う【なに言ってるの、お爺さんの縁が有ったから貴方の
今が有るのよ。それを皆に引き継ぐのが貴方の役目よ、春花ちゃんもその一人、
彼女はきぅと未来の希望に成るわ】と言い、
春花用の翻訳機と皆にも翻訳機を渡した。
ヒロは【メディカルチェックの件と基礎教養の件、手配を頼むよ】と言うと、
【テストはこっちでやって置くわ、教材はアンタの同級生の文科省の官僚の人に
頼んだら?山口さんだっけ】言う。
山口はヒロの大学のゼミの同級生で今は女性官僚として文科省で管理職をしている。
かなりの地位に居る女性官僚だが、ヒロは彼女に借りを作るのが好きでは無い
いつも口論していた相手だ。いつも通り皆で朝に修行した後、朝食を取り、アリサとチヅルと美樹はアカデミーで指導と自首訓練、春花はヒトミがメディカルチェックと教養テスト(中国語版)をさせ、ヒロは文科省の山口の所に教科書や参考資料などを頼みに行った。庁舎を訪れ、受付に行き、前もってアポを取ったことを伝え、
カードを貰って、山口の所に行った。山口はヒロと会うと
【珍しいわね、アンタがこんな所まで来るなんて、
ちょっと外に出ましょう】と言って、霞が関駅近くのおしゃれなカフェに入った。
カフェで二人ともホットを頼み、ヒロが【しかし庁舎もたいそうなデカさなのに、
解り難くてデザイン性も悪そうだな】と言う
【何、アンタ早速、官僚批判しにわざわざ来たの】と
山口が言う。【いや、すまんチョット頼みが有って】と言うと
【ヒトミ先生と浜教授に聞いているわよ、アンタ九歳児の親に成るんだって】と
言う。【いや、親って訳じゃない、一時的に保護者に成るだけだ、
誰からそんな話を?】【決まってるでしょ、浜教授から色んな報告受けてるわ】と
言う。浜はヒロの大学の恩師で無教育だった(大検合格)ヒロを大学に入れ
経済学、語学、社会常識、酒、音楽など武術以外の大半の要素を叩きこんだ
大学教授だ、世界的に高名な経済学者でイギリスの国際金融機関や
日本の銀行にも在籍した経歴を持ち、ユニオンの経済顧問も務めている。
ヒロは【守秘義務違反だろ、いつか訴訟してやる】と言うと、
【アンタが前の奥さんにこっ酷く振られたのも聞いたわよ】と言う。
【なんでそんな事まで、任務の事は国連でも秘密事項だぞ】と言うと
【任務の事は知らないわよ、アンタが振られるのが任務だったの?】と聞く
【それは秘密事項だから言えん、知らなかった事にしてくれ、それを口外すると暗殺
されるかも知れん、それに隠ぺいはお前らの十八番だろ】と返す。
山口は【アンタ、本当に喧嘩売りに来たの】と怒ると
【すまなかった、そんなつもりは無い、解っているなら例の教材の件頼むわ】とヒロが言う。山口は【なんで正規の学校に入れないの、日本の教育を信じてないの?】と聞くと【悪いが全く信じてない、取り合えず大検だけは合格させないと、後々不便だから頼むだけだ、それにその子はきっと日本の学校だと差別を受ける可能性も有る、色んな意味でな、特別な子供なんだ、それに画一的な教育なんかクソ生産工場でしかない、そう思わないか?】と聞く【相変わらず失礼で辛辣ね、どうせ私をゼミの裏切り者とか、皆言ってるでしょ?】と山口が言う。
【そんな話は聞いてないよ、それにお前がそんな人間だったら頼みに来ない、
シロウも浜先生もお前が組織の中から頑張ってると言っていた、
何か困った事有れば浜先生や姉ちゃんに相談してくれ】と答えた。
きっと官僚にも少数では有るが中から良い社会をと思う人間も居るのだと思う。
善意と悪意のバランスが今の世の中取れて居ないのだろう。
人間の業が徳を凌駕しているのが今の世界ではないだろうか。
山口は【たまには同窓会とか出てきなさいよ】と言うと
【まあ無理だろう、引退したら顔出せると思うがその頃まで生きている気がしない、生きていたら行くよ】と答えた。
そして【そうそう、山口もアラフォー過ぎて後何年かでアラフィフに成るんだから、
仕事だけじゃなくパートナー探しも頑張れよ】とセクハラを言うと
【あんた、絶対訴えるからね、次に会う時は裁判所よ】と言う。
ヒロは【お前も司法に頼るようでは落ちぶれたな、司法試験まで通って、
キャリア試験も受かったお前が昔は法律なんか、ただの道具よと言っていただろ、
法律で俺を縛るのは不可能だ、俺が俺の法律だ】と意味不明な事を言ってコーヒー代を置いて去って行った。家に帰り遅い昼食をオートミールとプロテインで
栄養を取り、趣味と実益の為替取引のチャートを見て指値を出し、
金のドル建てチャートを見て指値を出す。
投機相場の基本は損切は早く、利食いはゆっくり、休むも相場、まあ素人は絶対
やるべきでは無い、ヒロはインサイダーとも言える情報網と浜に教わった
チャートの知識が有るのでそう負けることも無い。それでも世界情勢が読みと違い
損切を余儀なくされる事が多々あるのだ。だいたい株式相場でも設けるのは捨てても良いくらい金が有り余る人間か、インサイダーの情報を持った人間だ、
だから公平な取引では無い。
基本公平な物なら価格が延々上がる訳が無い、負けるように作られてる、
手数料分は必ず負けるのだ、情報?アホですか?本当の情報など一般の大衆に
知らされる訳が無い、悪い情報は隠し、良い情報は表に出すのだ、それを一般の人間が選別できるわけがないのだ、捨てても良い金なら現物の絶対潰れない会社の株を買って、置いとけば配当が儲かってる会社なら入る、しかしそんな事は解らない、
延々と儲かる会社など有るほうが不公平だ、何故なら戦争が始まれば終わりだ、
重工業は獏上がりしても戦争に負ければ紙屑同然、そうなればコメ一俵の方が価値が有るのだ。
土地と金とドルなら現物に限り持ってれば良いがそれとて社会変化で大きく価値が
変わる、金など今は馬鹿高いが以前はグラム800円の時代も有ったのだ。
ヒロがチャート分析して一休みしてると、夕方、美樹が春花を連れて帰って来た。
【先生、春花は凄いらしいよ、握力から脚力からかなり高いレベルの数値らしい、
知能指数も高いんだって、エージェントに向いてるかも】と言う。
ヒロは【本人が特別、成りたい訳で無ければエージェントにはしない、
お前達とは環境もなにもかも違う】と答える。
本心でエージェントにはしたく無いのだ、エージェントの
アカデミーを作る時もヒロは大反対したのだ。
美樹が【じゃあ何に成るの?】と聞くと
【それは本人がもう少し大人に成って決めれば良い、色んな可能性を広げてやるのが大人の役目だろ?】と言う。【先生は何が良いと思う?】と美樹が聞くと
【それは判らん、例えば料理が好きなら料理で大成しても良いし、世界的な料理人は皆、金持ちだぞ、別に金持ちに成らなくても良いが】と言うと
【それ先生の夢だった事じゃん】と言う
【例えだ例え、何でも良いの】と答える。
ヒロは大学を卒業して料理人に成りたかったのだ、在学中、バイトで料亭に行き修行したりしていた。ユニオンのエージェントとしては、変わり者で有る。
その後、美樹と春花を連れてスーパーに行き、夕食の食材を選ぶ、
今日こそは肉で無く魚と野菜中心で食べたいと思い、イシガキダイ、かわはぎ、を刺身に、カサゴを煮物用にそしてスルメイカと里芋を煮物に、豚肉とナスを醤油で炒めた。今夜は完全和食バージョンだ。
美樹が買い物しながら魚の名前を教えている、春花は魚が珍しいようで、目を丸くして見ている。ヒロが【食べる】と言って口に入れる動作をすると、
こわばった顔をしている。美樹がニコニコして楽しんでいる。
何から何まで教えないと、いけないが楽しく感じる。
帰って夕食の準備し、シャワーを浴びていると、皆がそれぞれかえって来た、今日はヒトミのパートナーのコウジも帰って来たようだ。コウジはユニオンの科学部の
責任者で科学者チームのリーダーの一人だ。
ほとんど家には帰らず、研究所で寝泊りしてる、特技研究、
趣味研究と言う、生粋の科学者だが、ヒロが唯一尊敬してる学者だ。
久しぶりにコウジもヒトミもユウもそろい、皆で夕食を取った。
ヒロがイシガキダイの刺身を取り自分で食べて見せ、春花にも食べるように言うと、魚が怖くて食べれ無いようだ、里いもとスルメイカの煮物を食べさせると美味しそうに食べる。
生の刺身は怖いようである。もう一度美樹が美味しそうに刺身を食べ、春花に食べてと箸で運ぶと、おそるおそる、口に入れ噛んでる、微妙な顔だ。それを見て他の娘はニコニコして笑っている。コウジが【この子が例の?】とヒトミに聞く。
ヒトミが頷くと【可愛らしい娘さんだ】と言うと、春花は解るのかニッコリ笑う。
ヒロが【俺たちが世話係で大変なんだよ兄さん】と言うと
春花は手を挙げて【春花は良い子】と言う、【誰が教えたんだ】とヒロが美樹を見ると知らない振りをしてスルーする。
ヒトミとユウはワイン、ヒロは今日も日本酒、富山の羽根屋を飲んだ、純米大吟醸で
中取りと言う、最初と最後の部分を除いた部分だけを瓶に詰めた
フルーティーな日本酒だ。
コウジがヒロに【実は君に頼みが有るんだ、年明けに受けて欲しい任務が有る】と
言う。【珍しいね、兄さんが任務の話なんて、兄さんの役に立つなら協力したいけど】と言う。ヒトミが【ユニオンはこれから教育に力を注ぐことに成ったの、その資金を作るため大切な任務なの、またマリアの詐術まがいの話じゃないだろうな、
姉ちゃん】と言うと
【貴方、マリアさんを何だと思っているの、あの人は人類の共存と進化を本当に
願ってるわ】と言う【それは解ってるが俺に対しては悪魔だ、任務の仕掛けも
全部明かさず、引っかき回して】とヒロが言うと【それはその方が上手くいくし、
仕掛け通り行くとは限らないからエージェントには明かさないんでしょ】と答えた。
【教育と任務がどう結びつくんだ?】と聞くと【アフリカの西部の国に、ある資源がある、小さな国だがそこの政府と協力関係を築いて欲しいんだ】とコウジが言う。
{要はその資源が兄さんの研究に不可欠って事なんだね、この前研究室で言ってた
二酸化炭素のリサイクルのシステムだろ、友歌の星の技術の】と言う。
【その通りよ、そのシステムはお金になる、それを教育に注げる、またアフリカや
世界で新たな人材を養成出来る、その国も新しい産業で豊かになるの】と
ヒトミが言う。
ヒロが【要はそこの政情を安定させて、ビジネスが上手く行くのと同時に資源の確保を完全にして欲しいんだな】と言う。
【その国は世代間、貧困と富裕層、イデオロギー、色んな
分断が始まっているらしいの、全ての階層にユニオンの信用を植え付ける事が
任務の目的よ】とヒトミが言う。
そんな話をしていると美樹がヒロの酒を自分のグラスに注いで
自分が飲むばかりか、春花にも少し飲ませようとしている。ヒロが、慌てて止めようとするが少し飲んでしまった、【美樹、お前が飲む位ならまだしも、春花まで】と言う。ヒトミが【大丈夫?】と声を掛けるとニコニコしてる、
ヒロが【まさか春花も酒飲みに育つのか?】と言う。
アリサとチヅルが美樹を叱っている。美樹はまだ一九歳だ、
叱られてもケロッとしている、ド級の不良娘である。
ヒトミとコウジの二人が色々会話してるのを聞くと明日が結婚記念日のようだ。
丁度、明日は土曜日だからコウジが帰って来たようだ。
そのことを気遣いヒロが【明日は矢早の里に娘たちを連れて修行に行ってくる、エリカも久しぶりに弓美やシュウに会いたいだろ】と言う、
美樹が【ヒトミ先生達、夫婦水入らずですね】とデリカシーのない事を言う。
【別に気を使わなくていいのよ】とヒトミが言うので
【シュウが前から相談が有ると言っていたからだ、
それにちょうど秋で山の旨いものが出て来る時期だし】と言った。
アリサが【松茸も出てるかな?】と聞くので
【今年はどうかな、今年の夏は暑すぎる位、暑かったしな】と答えた。
美樹が【ヒトミ先生とコウジ先生って一緒にいる事、
少ないのに寂しくないんですか?】と
聞く。ヒロが美樹を睨んで【夫婦ってのは人それぞれなの、お前みたいなガキンチョには解らないんだよ】と言う、
美樹は【女王陛下と先生も特別な関係で私には良く解らない、夫婦って何なんです】と、言ってはいけない禁句を言葉にした、この娘には気配りや遠慮と
言う事が皆無なのだ。すかさずチヅルが中指一本件をつむじの百会に的中させる、
美樹が【痛い、姉様】と頭を抱えると【アンタこの頃、禿て来てるから】と言う。
百会いは薄毛に効くとか効かないとかは責任持てないが?自立神経を整えるツボだ。
コウジが苦笑いして【これが私達夫婦のペースなんだよ】と美樹に言う美樹が
【ヒトミ先生は寂しく無いんですか?】と聞くと【私たちは同志なの、一緒に同じ
志で同じ道を歩むと二人で決めて歩んでいるの、世間の夫婦みたいに毎日会わないと信頼出来なくなる訳じゃ無いのよ】と言う。娘たちは【へーっ】と感心した顔で二人を見た。コウジはヒロとヒトミの父親の部下だった科学者だ、ユニオンで人類の共存と言う夢で繋がり夫婦に成った。
同じ果てしない夢に近づくための同志で仲間でも有るのだ。
コウジが一週間、二週間、家に帰らないのは常に研究に時間を費やす為で
ヒロは翌日いつも通り朝の修行と朝食のあと、娘たちを連れて、
矢早の里に向かった。
矢早の里はヒロが子供の頃から源三に連れられ修行に訪れた山里で、
エリカも短い間そこに預けて修行をさせた里である。
ユニオンのワンボックスで里に向かい、昼過ぎに着いた、ヒロの師匠で
前の里長のハヤメの墓に皆で参り、シュウの所に顔をだした。
シュウが【兄様、回復して良かったな、いらっしゃい】と言うと、
【ああ御婆様にも挨拶に来た】と言う。すると弓美が出迎えて
【兄様、凄いね、いよいよ不死身も本格的に成って来たよね】と皮肉を言う。
【ああ、死んだ所をウチのジジイとハヤメ婆さんに追い返された】と言う。
【良かったね、おばば様も、もう兄様に教えるのが嫌だったのよ】と言うと
【お前もユウも俺に皮肉しか言わない、双子の姉妹かお前ら、
仕事終わったらユウも来る】と言いかえした。
弓美が【でもほんとはユウちゃん兄様が出かけた後、本当に心配
していたよ、友歌さんとの事も兄様の事も】と言うと
【皆に心配かけて、すまなかった、もしかすると俺の我がままで、
皆を巻き込んだかも知れない】と謝った。そして【今から少し修行をするから、
この子を預かっててくれ】と春花を見せる。【この子が春花、可愛いなんかでも少しアジア人でも白人でも無い、なんて言うかでも綺麗な顔】と言う。
ヒロが【ジュン(シュリの店主、元後輩)もハーレム状態とか言っていた、
言っておく、俺はロリコン違うぞ】と言った。
そして春花を弓美に預け、ヒロが道場で着替え、娘たちは居間で道着に着替え
裏山の射場に行き、試しの弓と言う強弓での修行をする、
弓力100キロと言う強弓だ。まず矢を持たず弓を引き感覚をかめて行く、
エリカとアリサも弓を持った、美樹とチヅルはそれを見てる、
二人は別の武器をヒロから習っているのだ。矢を持たずに練習するのは
先ず引く感覚をつかむ為だ弓帰りや弓を持つ感覚、引く感覚をつかむ為だ。
それが終わると、実際に弓を持ち的に矢を放つ、ヒロの的は30メートル程の
丘の上側にある岩を狙う。娘たちは28メートル水平な先の的に当てる。
ヒロの矢は特別な金属で造られた矢で軽くて強い、そして矢尻も非常に鋭く硬い、弓を射る音は高い金属音のようになり直後にピュンと矢が風を切る音が鳴る、
そして硬い岩なのに、粘土に矢が刺さった様な音がして矢が刺さる。
前回の修行より進歩してる、矢にヒロの気が伝わっているように感じる。
武器と身体の一体化が武器術の基本原則で奥義と言える。
シュウが【凄いな兄様、これを実戦で使うのか?】と言う、
【アホかこれはあくまで修行、こんな弓は仰々しくて実戦に持ち込まん、
弓はユニオンの開発した弓を使うし、だいたい俺は飛び道具が好きじゃ無い。
一歩間違えたら人を殺してしまう。
弓は人を射る以外に使う、そのためお前ら射手チームが居るんだろ、
俺が弓にしろ銃にしろ修行するのはどんなケースが表れるか解らんからだ。
お前だって合気や他の武器も修行するのは射を補う為だろう、
実際弓の競技で戦えばお前のほうが上だ。
家のジジイやハヤメの御婆が現役の頃はなおさら色んな技術が必要だったから
ジジイの弓が電光とか呼ばれたんだろう】と言い。
更に【ジジイが生きていたら、なんて言ったかな?きっとまた鼻で笑っていた
気がする】と言い、苦い顔をした師匠に褒められるも、貶されるも、本人が居なければ解らない。しかし武の頂きは自分には見えもしない、死ぬまで理想を求め苦しむのが武だと残した源三やハヤメ達は何に苦しみ何を目印に進んだのだろうと思った。
シュウはそれを感じ【源三先生なら誉めてくれるさ】と言うと【そんな訳無い、
きっと大笑いして貶しまくる】と寂しそうにいった。弓の修行のあと、山の上流の滝の落ちる場所まで娘たちを連れいった、ここにはイワナ・ヤマメ・等がいるが浅い川の岩場でヤマメを狙い。小さな岩を探すそこに大きな石を置きヒロが震脚で岩を踏みつける、パーンとも聞こえる音がなり石が割れると、
そこから魚が十匹ほど浮いて来た、それをヒロとシュウが手でつかみ、
また少し移動して同じように魚を取った。
美樹が【先生凄いね】と言うと【こんなのコツが解れば出来るようになる、
水樹が浜でやる魚掴みを見たこと無いのか?】と言う。
【見たこと無い魚は漁師さんに任せるのが一番って言ってた】と言うと
【まあその通りだが、この山里に今は漁で生業を立てる人も居ないからな、
魚も保護しないといかんし】と言う。そして【水樹は浜辺で化勁を使い魚を
普通に手づかみしていたぞ】と言う【昔はそれが普通だったんだ】と美樹が驚く。
シュンの家に帰ると弓美達が居ない、ヒロが【何処に行ったんだ?】と言うと
【きっとアケビや木の実、キノコを採りに行ってる】と言うのでそこに行くと春花が
かなり高い20メートル位の木の上に居る。ヒロは木の下まで行き待っていろ、
と上に登ろうとすると少し下まで降り、フウと息を吸い飛び降りてしまう。
皆が危ないと思った
瞬間、落下速度を吸収するように、かがんで着地した。
身軽とか言うレベルでは無い、軽気功を身に着けているのだ娘達も驚き、
【今の軽気功だよね】とアリサが言う。。
ヒロは春花と所に行き【高い所はダメだ】と注意する、
春花が口をとがらせ【春花は出来る】と主張するヒロが
【出来ても、いつも使ってはダメ、訓練をもっとやって大きく成ってからだ】と
言う。子供の判断で安全危険は実は判らないからだ。
昔は怪我をして覚えるのが常識だったが、だから事故が多いのも有った、
勿論過保護な状態が過ぎるのが今の問題だ。
大人がきちんと見て、訓練させることが出来ない昨今、
それがきちんと継承、出来て無いのが嘆かわしいのだ。
弓美が【兄様この子は大丈夫よ、完璧に落下出来る山里の人間も真っ青な技よ】と
言う。ヒロは【そこが逆に心配なんだ、技に溺れて過信して注意を怠り、事故に合う事が一番多いケースだから、登山でもダイビングでも事故は殆ど初心者より、
慣れて安全への意識を失った人が事故に合う、
任務が常にバディーで行われるのはそれを防ぐためだ】と言う。
再度ヒロは【一人で危険な事をしたらダメ】と注意した。
美樹が【もう良いじゃん、春花解った?】と確認すると【春花良い子】と
手をあげる。弓美が【可愛い】と言う。確かに可愛いが心配なヒロであった。
屋敷に帰り娘達に春花を風呂に入れてくれと言い、
自分は道場のシャワーで汗を流した。汗を流して縁側で一休みしていると、
ユウがやって来た、診療は午前だけだったようだ。
ヒトミ夫婦に気を使い里に遊びに来たのだ。
弓美とユウは歳が同じとあって仲が良い、
常にヒロの悪口で盛り上がらる仲間なのだ。
二人は久しぶりの再会を喜ぶと同時に儀式とも言える、褒め合いを始める、
弓美がユウに【なんで運動もしてないのに、そんなスタイル保てるの】と言うと
【ぜんぜんよ、だんだん重力の影響を受けてお肉が下に落ちて来てる、
弓美ちゃんこそ、なんでそんな綺麗なお肌、保てるの?私なんて化粧品メチャクチャ使ってるのにもうシミが出来始めて】と言う。謙遜と褒め合いのまるで呪い合いに
ヒロには聞こえるのだ。ヒロには女と言う動物が、どんな思考と術式で動いてるかが、皆目理解出来ない。ヒロが【宗教儀式はそれくらいにして飯の支度をしようぜ】と言うと二人は【いっぺん死ね、クソ親父】と睨んで暴言を吐かれた。
ヒロはため息をつき、儀式を汚すと死なんといかんのか?やはり宗教は怖いと、
心で呟いた。
そうしていると真矢(まや。女子、シュウの養子で弟子四歳)、溜矢(りゅうや男子、同じくシュウの弟子で養子)が里の人に送られて来た里に保育園の代わりのような寺が有るらしい。今日は先ほど、取ったヤマメの塩焼きと近所で貰ったイノシシの味噌鍋、ヒロが買って来た手作りソーセージ、先ほど弓美が収穫したクルミ、アケビ、近所の人からマツタケまでもらっていた、屋敷には囲炉裏が有り、ヤマメはそこで焼き鍋をそこに置いてイノシシ鍋を堪能したり、クルミは一度フライパンで煎りからを割りもう一度あぶり、味噌、砂糖みりんと和え、クルミ味噌で食べる。
ソーセージも炉端であぶるだけだ、日本酒は磐城寿と十字旭日どちらも純米のしっかりした旨味がある。炉端で秋の味覚など都会では味わえない。
皆で酒と料理を味わっているとエリカが【お父さんとお母さん二人で何して
過ごしているんだろ】と言う。エリカは二人の養子になって間がないが
二人をそう呼んでる。
ユウが【まあ二人はいつもと同じ感じでしょ、特別記念日とか関係ないんじゃない】と言う。
エリカがヒロに【二人はどんな出会いだったんですか先生】と言う。
ヒロは【おれは多分その頃から戦場だったから良く知らない】と言うと
【お兄ちゃん何も知らないの、父さんが死んだ時お兄ちゃんは戦場だったけど、
その時、父さんがユニオンの科学部をお兄さんとヒトミ姉ちゃんに託したの、
それが切っ掛けなのよ】と言い【私とお兄ちゃんやヒトミ姉ちゃんもユニオンが
無ければ出会ってない、サチ姉ちゃんもそうでしょ、本当にバカで
何も知らないんだから】と言う。ヒロは【それはすまなかったが、俺は俺で戦場で
死ぬ思いしてたし、お前が小さい頃オシメを変えたり、風呂に入れたり少しは
家の事も手伝ったのにバカ呼ばわりされても】と言う。
シュウが【肩身が狭いな兄様】と笑う。
それを聞いて春花が笑っているのを見て【春花が楽しそう】とアリサが言うと、
ヒロは何れ春花も俺の敵に成るかもしれんと思うのだった。
三人の子供たちは子供同士が楽しいようだ、三人がなにか話をしている。
大人には解らない言語でも有るのだろうか?
シュウと弓美がヒロに【春花には武術を教えるのか?】と聞くと
【一応教えるけど、エージェントにするつもりは無い、まあ本人次第だが出来れば
他の道を選んで欲しい】と言う、美樹が【それは勿体ないよ、これだけ素養のある子どもはそんな居ない将来私達の助けに成ってくれるのに】と言う。
【それはこっちの都合だ、この子の将来を大人の都合で左右したらダメだ、
この子がホントに望むなら別だが俺は出来たら他の道を行って欲しい】と
ヒロが言う。真矢、溜矢、春花の三人をヒロは呼び顔を見て千円札と百円玉10枚を見せどっちが好きかゲームをやった、悪質なゲームだ。すると三人が100円玉を選んだ、理由を聞くと春花は【分けれるから】と言う。悪質なゲームの中に子供は真実を知っているのかも知れない。娘達が感動している、
ヒロは偶然なのに【これが教育だ】と自慢する、
ユウが【汚い大人に成ったわね、兄ちゃん】とののしった、
チヅルが【でも大事な事ですよ】と反論すると、
ヒロは【どっちでも、選ぶのはこの子達だ大人が喧嘩していたら自ずと
それを真似る喧嘩を見せるな】と言った、そして春花たち三人に再度大人達の名前を教えた。そして真矢と溜矢に再度名前を言わせると覚えて無かった、ショックだった。春花は当然覚えてるが【ヒロ】と呼び捨てにされた、
これも少しショックだった、しかし今後ずっと呼び捨てが続くのだ。
ヒロが子供と遊んでいると、弓美がエリカに学校の事を聞く
【エリカちゃん学校は楽しい?】と聞くと、美樹が【エリカちゃん気になる男子が
居るんだって】と急に暴露する、ヒロは【何だと?本当か?】と顔色を変えた、
そしてヒロは【なんで先生には内緒なんだ?】と詰め寄る、エリカは【気になるだけで何もないです】と言うヒロはアリサとチヅルに【知ってたのか?】と聞くとアリサがエリカに【どんな男子】と聞く、どうやらアリサも初耳だったようだ。
美樹が【空手部らしいですよ】と答える。まるでエリカのマネージャーだ、
ヒロが【付き合う前に俺と組手をしろと言え】とエリカに言うと
【やめろ、オッサン】と弓美とユウが吠え
【オッサンは無視して私達に相談するのよ】とユウが言う。
エリカは顔を赤くして下を向いて黙ってる、チヅルはそれを
見てニコニコして楽しんでいるようだ。ヒロは酒を一気に飲み干しシュウに
【お前、どう思うんだ、お前の弟子でも有るんだぞ】と詰めると【俺は良く解らん】と下を向いてる、ユウがそれを見て【弓美さんとの事どうするのシュウさん】と聞くと顔を真っ赤にして下を向く。アリサ、チヅルとエリカ、美樹は顔を見合わせ
【エーッ】と叫んでる。ヒロは【どういう事だ俺は聞いて無いぞ、
そういう事なのか?】と聞くと更に真っ赤に成り下を向いている。
娘達とユウはおめでとう、と拍手をする。
ヒロは何故か置いてきぼりを食った気に成った。
それでも子供たちは楽しく遊び、皆で楽しく美味しく秋の山の幸と酒を楽しめる。
こんな日が、世界中の何処でも、貧富の差とか関係なく、やって来る事は無いのか?
日本でも世界でも、ののしり合い、憎み合い、貧困にあえぐ人と金に執着して
人道から外れる人も居る。チヅルが【先生、来年また任務なんでしょ?】と聞く、
ヒロは【そうらしい、皆がこんな日が続いて、俺たちも美味しいご飯が食べれるように、頑張るしかない、悪いがお前達も力を貸してくれ】と言った。
【私たちは先生と一緒なら頑張れるよ】とチヅル答える。
アリサも美樹も【私達も先生を助けてあげる】と言い美樹が
【マリ姉様と約束したもんね】と言う。ヒロは目頭が熱くなるのを抑え
笑顔を見せた。
一方その夜ヒトミとコウジの夫婦は大屋敷の家で二人で過ごしていた。
ヒトミが作ったビーフシチュー、フランスパン、スーパーのオードブルセット、ヒトミの手抜きだがコウジはヒロと違い食べ物にこだわりが無い、
それでも二人には幸せな時間なのだろう、ヒロなら手抜きだと文句を言う所だ。
コウジは大半が研究室で業者から頼む弁当などを食べる。
ユニオンの中に施設の専門業者があるのだ。
コウジはヒトミに【皆に気を使わせてしまったね】と言うと
【大丈夫よ、あの子達は里で楽しんでるわ】と言う。
コウジが【ヒロ君は大丈夫かな、表上は立ち直ったように見えるけど】と聞く
【どうかしら、見てくれは頑丈だけど、ナイーブで、いつまでたっても中身は子供で
甘ったれ】と答える。【彼は君が思うより芯が有りしっかりしてるよ】とコウジが言うと【そうあって欲しいものね、マリアさんがあの子にはもっと試練が訪れて来るって言ってたわ、乗り越えて貰わないと】と言う。
行使が【私達も、ひと頑張りしないとね】と言った。
愚才な武人と天才娘達シーズン2 不自由な新自由主義の反乱児 @tbwku42263
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