第29話 ……それでも、どうしても――
『――えっと、このwhichは関係代名詞で、前の単語を説明する役割なの。だから、ここは――』
『……そっか、なるほど。ありがと、
『ううん、そんなことないよ
それから、数年経て。
教室にて、笑顔で感謝を告げてくれる女子生徒。あれ以降、私の――少なくとも、学校での景色は変わった。まあ、していることは別段それまでも変わらないんだけど……ただ、私のしたことに感謝してくれる、ということを知るだけで私の心は満たされた。だから、あれ以降ずっと――小学校でも中学校でも、皆と仲良くなれるよう意識して過ごしてきた。だって、
その後、高校へと入学。
『――
初日のホームルームにて、簡潔な自己紹介をする女子生徒。いや、簡潔と言うより最低限? ともあれ、あまりに愛想のない……と言うか、まるで感情すらない様子の彼女に、さっきまでの楽しい
ただ、それはそうと……随分、綺麗な子だな。自分で言うのもなんだけど、容姿にはそれなりの――いや、相当の自信がある。あるけれど……正直、敵わない。認めたくはないけど、まるで敵わない。
まあでも、それは良い。何が良いのかはともかくそれは良い。私が衝撃を受けたのは……彼女が立ち上がったその瞬間、ある種の直観が働いたから。恐らくは、彼女が何かしらの――姉に近い種の、何かしらの病気を抱えているという直観が。
そして、ほぼ同時――俄に私の
『……その、ごめんね蒔野さん! その、わざとじゃなくて……』
入学から、およそ二週間後。
昼休みにて、尻餅をつく蒔野さんへと謝罪する私。教室を出ようとした際、丁度歩みを進めていた彼女とぶつかってしまったから。……まあ、わざとなんだけどね。
とは言え、それほど強くぶつかったわけでもない。周りの子達も言ってくれたように、尻餅をつくほどではなかったと思う――そう、普通の子なら。
……うん、わざとじゃないんだろうね。そもそも、そういうタイプでもないだろうし。そして、そこで確信した――やはり、彼女は姉と似た種の病気なのだと。
ともあれ、
それでも、足りなかった。容姿も、性格も、その空間においての扱いもまるで違う。それこそ、扱いに関しては
……なのに、堪えられなかった。家だけでなく、
すると、一ヶ月ほど経過したある日のこと――想像だにしない、耳を疑うような情報が飛び込んできた。流石にデマだろうと思いつつも、念入りにそれに関する情報を収集――すると、なんとそれが事実であることがほぼ確定的になり……そして、私は人としてはあってはならないあの行動に打って出た。
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