第3話

「俺は、全然余裕なかったのに。亮は、大人だったよな」


 仕分け、畳をしながら、あの3人の様子を見守っていた。


 上手に意見を生かして、新作がよく映えるレイアウトを完成させて、3人仲良く満足気に眺める。


 この3人は、もっと仲を深めていくだろう。


 このまま社員になって、同期3人で活躍の場を広げていくのも、面白そうだな…。


「そんなことないよ。はせくんだって、翔みたいに全然余裕ないし。それが、かっこよかったんだから」


「…矛盾してね?」


「本気に大事にされるって、自分自身には余裕がなくなって、相手に対しては余裕を見せてくれることなんだって。教えてくれたかっこいい人が、私はいるよ。」


 とびきり可愛い笑顔で、まっすぐ俺を見つめてくる。


「でも、はせくんは、まだまだ、子どもだと思うけどね。そこが可愛いところだよ。」


 俺が褒められた?はずなのに、亮に横取りされた気分だ。


 不貞腐れた顔をする俺に「そういうところも、はせくんそっくり」と、菜子は笑うだけ。


 自分のことは、見えないもの。


 俺と同じ立場だった亮は、あの頃の俺より、大人でかっこいい振る舞いだったと思っている。


 年を重ねて、大人になったつもりでも、社内恋愛がなぜか多いこの店舗の補佐役みたいなポジションに慣れた今でも、菜子に関して、余裕のある俺ではいられない。


 後輩たちの前では、大人で余裕のある俺を、引き続き、演じていきますか。


「亮のように、かっこいい振る舞いを好きな女に見せていかないとね。」


「翔は、はせくんに甘いんだよねー。可愛がってる後輩だから、いい男フィルター載せてるだけだと思うよ?」

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