主要キャラ解説(ネタバレだらけ)

○佐野祥悟


 本作の主人公で、暗い過去を背負った黒ずくめの男。


 佐野家は姉が薬学部、上の兄は東京一工でA判定もらうような奴なので、彼も頭が良いです。実はその辺は呪術師の血を持つお母さんの勘の良さが遺伝しているから、という裏設定もあります。佐野家はお母さんがかなり頭良かったのです。そのお母さんと結婚しているお父さんもそれなりに頭良かったと思われます。


 本作中ではテンポが異様に悪くなるので佐野の言及にとどめられていますが、事件によって身体にも心にも深い傷を負って通常の生活が送れなくなっています。身体的な傷はシキの力もあって完治すれば腹にでかい傷跡がある、くらいのものですがPTSDと主にメディアによって苦しめられます。


 この辺りの暗黒時代はさらっと語られるだけですが、PTSDから解離性同一障害、更に佐野家への不名誉なバッシングなどで何度か重度のうつ状態から激しい希死念慮で措置入院が繰り返されていました。


 週2回数時間の講師生活も実際のところかなり厳しかったようで、神社に帰ってきて「社会怖い」って数日寝込むような有様でした。それでも何とか続いたのは壮一を何とかしないといけないというところと、柴崎塾長の力添えがあってのことです。


 本人が境内で首を吊ろうとした話が語られますが、それ以外にもガチの未遂含めて構ってレベルの自傷と暴言は相当繰り返しているので吉川の娘が付き合いきれないとキレるのも致し方なしというところです。


 なお本人は人生に行き詰まって冒頭で路上占いをしているのですが、これは躁状態での突発的な思いつきであり茉莉が通りかからなかったら「やっぱ才能ないわ」と飽きていた可能性がとても高いです。ただ、作中通り教え導く能力は高いのでうまく嵌まれば何らかの才能が芽吹いたのかもしれません。



○鳴海茉莉


 本作のもう一人の主人公。逆境にも負けない頑張る大学三年生。佐野君が闇の世界の住人なので、できるだけ光の世界の住人になるよう書きました。


 教育学部に入って先生になるんだ! という希望を胸に塾講師のアルバイトをしています。それまでは親の紹介で個人経営の英会話塾で細々と運営の手伝いをしていましたが、経営者の都合で塾を畳むことになり新たな勤め先としてやってきたのが「個別指導塾」だったというのが彼女の簡単な経緯です。


 中学の時に交通事故にあって死にかけた、以外に特に曇った経歴のない至って普通の女の子です。家族構成も父と母と妹、あと多分猫を飼っている。基本的に読者視点を担うキャラクターだったので、それほど分厚い設定はありません。強いて言うなら「いい育ちのいい子」であることを目指しました。



○野崎(千堂)壮一


 本作の重要登場人物。強い束縛に晒された不幸な少年。


 元の『真綿の時間』を読むとわかるのですが、壮一は設定どころかキャラクターも大幅に変更されています。『真綿の時間』のほうでは完全に母親に毒されて性格がねじ曲がっているのですが、それだとお話にならないので「どこまでも不幸な少年」の路線でいくことになりました。


 設定とポジションだけで、どんなキャラクターなのかを一切考えずにがーっと書いていきました。最終的に本来は他人を気遣う優しさがある子に育ったので、お母さん(?)は大満足です。当初は「壮一のシキの能力を使って正木が世界に混乱を与えようとした、だからどうしても天使の翼会に壮一を引き戻したかった」という筋書きだったのですが、それだと飛鳥君があまりにも可哀想なのでこういう形になりました。


 そしたら壮一とVtuberはどう関係づければいいんだ……? ということで急遽登場人物を生やしてエモくまとめた次第です。瞳は当初から組み込まれていましたが、瑛人は完全に「らきらき」を書いている辺りで生えてきました。遅い。


 ちなみに書かれていませんが、壮一が学校に行かないように亜紀は天使の翼会(正木)経由で医師に何らかの診断書を出させていました。そこで学校側も壮一に強く踏み切れなかった経緯があります。というわけで、壮一のやけくそになった暴露からの騒動で一番胃を痛めたのは壮一の通う学校の保健の先生だったのでは……という推測があります。痛かっただろうな。



○島村マナブ/白水飛鳥


 本作の敵役。島村マナブは『マナビスト』という短編で登場した胡散臭いインフルエンサーの名前でしたが、本作ではVtuberの名前ということになりました。なんでこんなに地味な名前なのか、というのも作中ではこじつけられております。


 元々の『マナビスト』の方での島村マナブには明確なモデルがいます。少し前にプロブロガーとしてPVをあげるためにいろんなものに言及して「炎上商法」というものを確立させた方です。プロブロガーで検索してとある地名とセットになっている方ですね。2025年現在はプロブロガーという職業は表舞台からは消えていますが、今で言うところの迷惑系Youtuberといったところでしょうか。


 ベースに『マナビスト』のミヤシタ、追加設定に『真綿の時間』の歪な壮一像をつけてより凶悪なマザコンを生成していきました。ミヤシタのほうもさらりと毒親の影響でひどいミソジニーを拗らせているのですが、今回はそれにちょっとエディプス・コンプレックス要素も追加して思想的にも人間的にもキツめの子になってます。


 敵役ということで徹底的に悪者として書きましたが、彼視点で見れば情状酌量の余地はあるタイプになっています。でも4人もすごい方法で殺しているので許されません。今回物理的に燃やしたので復活はないでしょうが、もし続編を書くなら彼のしたことに影響を受けた何かは書いてみたいです。


 次は作中での小ネタや設定の解説になります。

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