第8章:新たな航路
カルタゴの敗色が濃くなる中、崇平は新たな決断を下していた。
「商人として身を立てる」
造船技術者としての知識を活かしながら、地中海交易の世界に飛び込む。それは、技術を伝播させる新たな手段でもあった。
「エリッサ、私と共に行かないか」
その申し出に、エリッサは迷いなく答えた。
「はい」
二人の結婚は、混乱の時代にあって、静かに執り行われた。
それから30年。崇平、いや、ハンノは成功した商人として知られるようになっていた。各地の造船所と協力関係を築き、さらには多くの弟子も育てた。
そして何より、カルタゴの海事技術は、密かに地中海世界に浸透していった。「海の同胞団」の活動は、確実に実を結んでいたのだ。
「私たちの知識は、確実に受け継がれていく」
老境に入ったハンノは、エリッサにそう語った。
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