Liminal Space
学生作家志望
存在
無限に続く世界、誰もいないのになにかが確かにそこに存在する。
壁が一枚。またその後ろに一枚、何の目的があるのかはたまた何を表しているのか。進んでも進んでも明らかにならない。黄色い壁に囲まれた部屋、誰もいない部屋、無限に続く部屋・・・・・・。
ナレーションの声が大きくなっていき、後ろから何かが迫ってきているような気がする。怖い、怖い、怖い!
ボン!!
「うわっ!」
今度公開するらしい「Liminal Space」という超怖いホラー映画の予告を見ていると、突然後ろから教科書で頭をはたかれ、つい声を出して驚いてしまった。
「なにすんだよー-」
「思ったよりびっくりしたねwすまんすまん授業だからさ、早く行こうぜ。」
「あれ?もうそんな時間だったか、わかった。」
動画を開いたときはまだ充分に時間はあったはず・・・・・・。ここまで余裕がなくなるほど集中してたってことかな。
不思議に思い、とっさに再生バーを見ると視聴時間はたったの1分しか経っていない。
「は、、なんで。」
「おい早くこいよー!!もう先行くぞ!」
「あっごめん!」
奇妙だとは思いつつも、考えている暇もない。移動教室だからさっさと行かないと。
それに、誰もいない教室が本当に苦手だ。薄気味悪さを感じる。ロッカーにスマホをしまい教科書に取り換えた。筆箱と教科書ノートを腕で抱えて、落ちないようにしながらこれまでにない猛ダッシュをして教室へと向かった。
カンカンカンカン・・・・・・・・!
チャイムはなったのか?わからないけどとにかく走らないと。先生に見つかったら説教をくらうはめになりそうだしね。
自分の急ぐ足音が反響して廊下に何度も響き渡ってしまう。授業が行われている教室を過ぎたりでもすればワンアウト、同時に行きたい授業にも遅れてツーアウトとなるだろう。
だがなにやらおかしかった。いや、おかしくなんてない。別に学校はいつも通っている学校のまんまだ。いつもの壁はあるし美術部の書いたイラストも飾ってある。でもやっぱり何か違和感がある。おかしい、絶対に1つ足りないのがある。
「ていうか、ここどこだっけ・・・・・・」
何にも変わらない学校、でもだとしたらなんでまだ俺は廊下に立ってるんだ?
そろそろ教室が見えてくるはず、、だよね。なのにさっきから同じ誰もいない教室を見てるような。
「いやそんなわけないだろ、映画じゃないんだし。道間違えただけかな。」
「1回下ってきた階段まで戻ろう。」
そう思って後ろを振り返ると、いきなり目の前に誰かの目がゼロ距離で近づいてきた。
あまりに動揺したのか俺はその場所から飛び上がって逃げていた。自分で言うのも変だがかなり情けないと思う。
「ただの鏡じゃん。なんだよ、まったく。俺もビビりすぎだな。」
「いや、いやいやおかしいよな。やっぱり変だ。だって俺は今階段に戻ろうとして振り向いたのに、なんでこんなとこに鏡があるんだ?」
もしも時間があるならばじっくりとこの奇妙な状況を整理したいところだったが、あいにく時間は残されていない。床に転げたままの教科書類を手に取って、とりあえずは鏡と逆方向へまた走ってみることにした。
だがやっぱりいつまでたっても教室は見えてこない。ついに息も切れてきて体力の限界が近づきはじめていた。
「はあ、はあ、はあ。もういい加減教室が見えてもおかしくないだろ。」
曲がり角も曲がったし、階段も降りた。でも続くのは誰もいない、放課後のような雰囲気が漂う薄気味悪い学校。映画の予告で見た、無限に続く誰もいない部屋のようだ。
そう思うと途端に怖くなってくる。少しずつ身震いをするようにさえなった。そこからのことだ。突然周りが真っ暗に変わった。まさに夜の学校、無限に続く暗闇だ。
「なんでだれもいないんだ。これだけ話してるのに。」
震える、怖い怖い。ホラー映画のクライマックスがきたように、胸の鼓動がますます加速していった。
「あれ。あの教室・・・・・・。」
誰もいない真っ暗な教室が続いていたが、ついに誰かの話している声がある教室から聞こえてきた。
誰でもいいから、怒られえてもいいから誰もいない世界からたすけてくれ。
教室に入りその声のする方向を見た。すると、そこには高校生とは思えないほど背の小さな女の子が座っていた。空気が凍るほど、静かな教室でたった1人、うずくまっていたのだ。
恐る恐る俺は声をかけてみることにした。
「君、どうしたの?だれ?」
暗い中うっすらと女の子が目を開くのがわかった。黒い目に、黒い服。小さな口をそっと開いた。
「誰もみてくれない、みんないるのにみんないない。ちがう、わたしだけひとりぼっち、わたしの世界にはわたししかいないの。なのになんで、みんないなくなったらあなたはわたしに気付いたの?」
「は、?」
ドンッ!!!
「え、、なんだ?」
「なんだじゃねえよw早く移動教室行かないとまたこっぴどく怒られちまう。さっさと準備しろー」
「あ、そうか。ごめんごめん。」
俺はどうやら長いこと寝てしまって昼休みを過ごしたらしい。友達にたたき起こされてそれに気づいた。だけど、あれは確実に夢じゃ、、
手に持っていたスマホを教科書と入れ替えようとしたとき、スマホの画面が目に入った。
「この人、、あの女の子に似てる、」
クラス中の人から無視されて、それで学校に来れなくなっちゃた同級生の女の子。噂には聞いてたけど、顔も名前も知らなかったな・・・・・・
「おい早く来いよー!もう先行くぞ!!」
「あ、ごめん!」
Liminal Space 学生作家志望 @kokoa555
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