第13話

「お帰りー。隆景くん」


家に帰ると、姉さんが出迎えてくれた。周りを見ると、必要なものと不必要なものを分けているようだった。姉さんは櫻坂の活動が忙しくて、今日まで準備をしていなかった。だから今バタバタと片付けをしているのだ。


「ただいま姉さん。片付け手伝うぞ」


「いいの?ありがとー」


俺は家に上がると、姉さんの部屋に入り、主に大学で使っていた参考書など小物などを手伝っていた。服はさすがに下着があるからな。手伝いたくても手伝えない。


「それにしても小物多いな。姉さんのことだから、かなりの値段するものだよな」


元々うちはお金を持っている方だが。俺達は家の方針で、お小遣いはそんなにもらえない。姉さんもアイドルになる前はバイトをしてたぐらいだしな。めちゃくちゃ仕草が上品で美人だから、バイト先でも有名だったらしいが。いまはアイドルとして、かなり稼いでいるから、上品な姉さんに合ったものをつけている。


「そんなに高すぎるってことはないと思うよ。まぁブランドものだから、安くはないけど」


高すぎなきゃ破産する恐れはないからいいんだが。まぁ姉さんはお嬢様だが、堅実で無駄遣いはしないから、そこら辺は安心できる。そもそも本物の家柄のいいお嬢様って、そんなにハイブランドを身に付けず、物を長く使う傾向にあるからな。


「それならいいが、まぁ端から姉さんが無駄な買い物をしないことは分かっていたから、心配はしてないがな」


それにファンとか、テレビでもらった貰い物が多いぽいしな。このブランド品の数々も。姉さんはどれも大切に保存してある。それだけ姉さんにとって、ファンは大切な人なんだろう。トップアイドルでも傲らず、謙虚でいれるのはすごいな。


それから俺達は片付けを一時間くらいして、大体終えると、姉さんはココアを持ってきてくれた。ああ、この暖かさが体に染み渡る。


「手伝ってくれてありがとね。お陰で明日には準備終えそうだよ。明後日から、収録が続いて、片付けられないから助かったよ」


「姉さんには世話をかけっぱなしだからな、これくらいのことはするぞ」


「まぁ姉だからね。隆景くんはうんと甘えていいんだよ」


そう言って姉さんは立ち上がり、俺の頭を撫で始めた。姉さんの笑みは慈しむようだった。これが弟としての特権である。まだ姉さんは誰とも付き合ったことがないから、これ俺だけにしてくれる。まぁ恋愛対象には入っていないと思うが。


「それならありがたくこれからも甘えていくわ」


そして数分間俺の頭を姉さんが撫でて、ふわぁーとあくびした。もうこんな時間か。そろそろ寝る時間だな。


「それじゃ眠くなってきたし、隆景くんおやすみー」


「ああ、姉さんお休み」


俺はそう言うと、自分の部屋に入った。後もう少しでこの部屋とも分かれるのか。まぁ家自体は残すみたいだから、ずっと別れるわけではないが。両親も出張で東京にでることもあるらしいから、家を寝泊まりするために残しておくらしい。まぁ金銭的に困ってないから、長期的にみればその方が安上がりだろう。


俺はベットに横になると、音楽を流しながら、寝ることにした。やがて眠気が襲ってきて、俺は目を瞑り寝た。




朝日の日差しで俺は起きた。姉さんは朝御飯を作っていた。姉さんは大学生でアイドルだから、東京に残ってもよかったんだが、俺が千葉に行く決断をしたら、私も千葉に行くと言って一緒に引っ越すことになった。折れといた行っていう気持ちも多少あるんだろう。ブラコンみたいな節があるし。まぁ千葉県というところと生活したいのと、週刊紙に追われないところにいたいっていうのも理由のひとつだろう。


「姉さんおはよう」


「おはよう隆景くん」


朝食は味噌汁と目玉焼きとサラダか。シンプルだが、それがより美味しい料理を作る人は味が違うから、楽しみである。姉さんはできたよーと言ってきたので、俺は配膳をして、席に座った。


『いただきます』


まずは味噌汁から飲む。いい感じに出汁があって美味しい。そしてご飯を食べて、目玉焼きを食べて、あっという間に食べ終わった。やっぱり美味しいものはあっという間に食べてしまうものだな。


「ごちそうさま。皿は俺が洗うから、姉さんは先に大学に行っていいぞ」


「それじゃ甘えさせてもらうね。ごちそうさま」


俺は皿を洗っていると、姉さんは行く準備を終えて、バックを背負っていた。もちろん変装はしっかりしている。姉さんはトップアイドルだからな、どこでばれるか分からない。大学はばれてるらしいが、女子大のため男は入れないから、大丈夫らしいが。だが変装しても姉さんはかなり美人なんだから、ナンパはされるらしいがな。


「それじゃ行ってくるねー」


「行ってらっしゃい」


姉さんはドアを開けて、手を振りながら、去っていった。俺は姉さんの弟でよかったわ。こんなに美人な女子と言葉を交わし、親密な対応をしてくれるし、優しいしな。


俺はそう思いながら、皿を洗い終わり、少しフランス語を勉強して、時間になったので、家をでた。











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