第12話

大粒一粒シンプルダイヤシルバーか、値段は一万円くらいね。これなら買えそうだ。今までありがとうという意味で渡すには悪くないだろう。俺はそのダイヤを覚えた。


「さすがに一万越えてるやつを今日買うのはきついかな。来月に買おうと」


「そうか、それで他にどこか周るところはあるか?」


「今日はもういいかな。それじゃ帰ろっか」


「そうだな、家まで送るぞ。美少女が一人で夜道を歩くのはナンパされる可能性があるからな」


酔っぱらいとか大学生とかに絡まれる可能性は高いだろう。しかも渋谷だしな。ナンパ師なんてそこら辺にたくさんいる。だからるなもを渋谷で一人させてはならない。


「ありがとう、それなら送ってもらおうかな。美少女と言われたのは嬉しかったよ。みんな下心があって誉めてくるけど、純粋にそう思って誉めてくる人はいなかったから」


俺は下心を持ちながら言っても、相手は喜ばないのを姉さんに教えてもらったから、下心を持たないで、純粋にそう思ったときにしかいわないようにしている。好かれたいという気持ちよりも思ったことを言って、喜んで欲しいからな。


「それじゃそうするか、ちょっとトイレ行くから、先に外にでてもらえるか?」


「分かったよ」


そう言うと、るなもは先に外にでた。俺はその間にさっき見ていたネックレスを店員にお願いして、取ってもらい購入した。


「さっきの彼女さんにプレゼントですか?」


彼女ではないが、今は別に否定しなくていいだろう。彼女じゃない女子に一万を越えるものをあげる方が不自然だからな。それに好きなことにかわりはない。付き合うことを諦めてはいるが。


「そうです」


「それじゃ可愛いラッピングをしますね」


「お願いします」


それから花のマークがついた可愛いラッピングをしてもらい、それをリュックにいれて、外にでてるなものもとへと向かった。るなもはたちながら本を読んでいたが、それがすごい絵になっていて見惚れてしまった。るなもって何をやっても絵になるよな。周りの人も芸能人かな?といった感じでるなもを見てるし。ナンパされない打ちに早く行くか。


「るなもお待たせ」


「そんなに待ってないよ。それに読みたい本をも読めたし」


「そうか、それじゃ行くか」


俺達は電車に乗るために、渋谷駅に向かった。るなもが読んでいた本が気になるな。もしラノベなら、おすすめを教えたいが。るなものことだから、英語が原文の小説も読んでいる可能性があるな。るなもは英語堪能だし、ハーフだからな。普通に英語で書かれている文学も読めるだろう。


「それで何を読んでいたんだ?」


「レイヴンズだよ」


ラノベか、それなら俺のおすすめを教えよう。きっと気に入ってくれるはずだ。


「それなら俺の読んでいる青春ラブコメは間違っているも面白いぞ。心情模写が秀逸でな。そして主人公がひねくれてて面白い。あとはソードオンラインもおすすめだな。ゲームだけどリアルが詰まっている」


アニメだともう少しいいのもあるが、あまり勧めても一気には見れないから、このくらいでいいだろう。それにしてもるなもとラノベの話題で話せる日が来るとはな。嬉しいが、転校が決まる前に知りたかった。まぁラインでも話せるから、いいか。


「そうなんだ。それなら読んでみるね」


そんなことを話していると、駅に着いたので、改札をスイカで通り、電車がちょうど来たので、乗ることにした。相変わらず東京の電車混んでいる。まぁ千葉に行けばこれから電車が混むことはないだろう。それが東京以外で、いいところである。一応千葉は東京の近郊にあるんだが。


それから電車で揺られて、もより駅に着いたので、俺達は降りた。そしてるなもを家まで送り届けると、俺はリュックの中から、小包をるなもに渡した。


「これは?」


「開けてみれば分かるぞ」


そう言うと、るなもは小包を開ける。すると中に入っているネックレスを手に取った。


「わぁーこれ私が見ていたやつだよね。嬉しいよ」


「まぁ何万もするものだったら、買えなかったが、一万くらいなら買えるからな。デザインもいいし、いつなくなるか分からなかったから、今買っておいたんだよ」


るなもが選ぶものはどれも人気があるか、でるものだからな。買っておかないと、すぐになくなる。


「ありがとう。大切にするね」


るなもは天使のような笑みを浮かべた。この笑みを見れるだけでも価値はあるな。るなもの笑顔ほど天使味を感じるものはない。るなもにはこれからも笑顔でいてほしいものだ。そしていつかアイドルになったときにこの笑顔を皆に見せて欲しい。それが俺の願いだ。


「喜んでくれたようでよかったよ。それじゃまた学校でな」


この言葉を後何回言えるんだろうと思うと、感慨深くなるが、るなもにとっては一人の先輩でしかないだろうと思うと、少し悲しい気持ちになりながら、俺はるなもの家を離れた。


家では恐らく姉さんが引っ越す準備をしているだろうから、それを手伝うかと思いながら、電車に乗り家に帰っていた。










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