第3話

るんの家は俺の家から近いので、すぐに着いた。俺はインターホンを鳴らした。するとるんがはーいと言って、数分後出てきた。


「お待たせー。それにしても少し遅かったね」


るんはメガネをかけて、あまり目立たないように黒のワンピースを着ていた。るんからは美少女感よりも、知的な感じがでていてなかなかいい感じだ。知的な感じと言ったが、るんは元々進学校である現在の学校でも成績はトップクラスで、賢いんだかな。


「まぁ少しトラブルがあってな」


「何があったかは歩きながら、聞こうかな」


「そうだな、それで今日はどこに行く?」


「長くいれる場所がいいから、サイゼとかでいいんじゃない?」


まぁサイゼなら、まさかるんがサイゼにいるとは思わないから、ばれる心配はないだろう。芸能人って言ったらおしゃれなレストランにいるイメージがあるからな。サイゼはむしろ安くて、学生の味方感じだから、芸能人のイメージとは重ならない。


「そうだな、サイゼにするか」


サイゼは千葉発祥のレストランである。千葉県の出身の俺からしたら、郷土料理みたいなものだ。まぁ料理自体はイタリアンだが、普通のイタリアンに比べ、かなり日本人好みの味にしてるから、千葉の郷土料理と言えるのだ。まぁ店は全国にあるんだが。


「それじゃいつものサイゼへレッツゴー!」


俺達はサイゼな向けて、歩を進めた。閑静な住宅街を抜けて、近くのサイゼに着いた。それなりに学生で賑わっている。外に食べよう。そらじゃあサイゼに行こうとなるのは千葉県生まれの俺からしたら嬉しい限りである。サイゼは今のこの物価高の中で価格をそのまんまにできていると言う稀な企業である。だが価格をそのまんまにしてることによって、お金がない高校生の味方である。勉強会するのにもちょうどいい場所だしな。


「お客様2名様でしょうか?」


ここでるんの声を出すと、るんの声は可愛らしい声で、特徴的だから、ばれる可能性がある。だから俺が対応することにした。


「2名で大丈夫です」


「それじゃこちらにどうぞ」


俺達は空いてる席に進められて、そこに座った。注文は紙に番号を書くから、はいとだけ言っとけばいいから、るんは声出さなくて済む。俺はもう何回も来てるから、メニューの番号は覚えている。るんも何回も来てるから、問題なく番号を書いた。

 

そして店員さんが来て、俺達は紙を渡した。るんはドリンクバーを取りに行こうとしてる感じがしたので、俺が先に席を立った。


「るんドリンク持ってくるぞ」


「さすが隆景くん。私が行動する前にそれを読むなんて、さすが幼馴染みだね。これこそ阿吽の呼吸だね」

 

そこまではないような気がするが。まぁこのくらいの行動なら、幼馴染みだから読むことはできる。るんのことを親の次に俺は理解していると思っている。同じ櫻坂メンバーにも負けないと思っている。付き合いは櫻坂のメンバーよりも長いし。


「まぁ付き合いは長いしな。それで一応聞くがオレンジジュースでいいよな?」


「うん、それでいいよ」


俺はドリンクを注ぎに行った。ドリンクバーに着くと、オレンジジュースとりんごジュースをいれた。そして席に戻ると、るんはありがとと言ってきて、ドリンクを一口飲んだ。


「それで、何があったの?」


「るなもが襲われていて助けてたら、時間がかかったんだよ。まぁるなもはやられる前に助け出せたから、よかったが」


「そうなんだ、たぶん相手ヤクザだよね?誰も助けないってことは。さすが隆景くんだけど、それって報復されないか心配だよ」


さすがに引っ越すんだから、そのヤクザの島でもない限り大丈夫だろ。問題になるるなものそばにもそれなりの実力をもった警察官に守ってもらうし。


「まぁ大丈夫だろ。わざわざそのやくざは幹部じゃないから千葉まで来るほど暇じゃないだろ」


「うーんそれもそっか。それじゃ楽しい学生生活をしようね」


「お待たせいたしました。ペペロンチーノとミラノ風ドリアになります」


「ありがとうございます」


「それではごゆっくりどうぞー」


そう言って、店員さんは去っていた。俺達は常連だから、一応あの店員さんに顔は覚えられてる。それでもるんのことについて深く聞かないのは気づいてないか、気遣ってくれているんだろう。


「それにしても、ここのサイゼとももうお別れかー。寂しいねぇー」


俺が千葉県に住んでいたのに、出会ったのはここのサイゼだったからな。るん自体は福岡県出身だが、旅行で東京に来ていて、たまたま出掛けていた俺は誘拐されそうになっていたるんを見つけて、子供だったが、武道をやっていた俺はその誘拐犯から、るんを助け出したんだよな。まぁその誘拐犯滅多に外にでないらしく、ほぼニートだったから、なんとか倒せたんたが。今思えば危険な賭けをしていたんだよな。

それでここで終わりかと思ったら、小学校の転校生として、るんが来たんだよな。それから一緒にいて、るんの親と俺の親が同じ職場になって、馬があったらしく、親同士も仲良くなって、どっちも出世コースに乗っていたから、東京に転勤してきて、俺達も東京に引っ越してきた。そして再び千葉支店の代表として、千葉に舞い戻ることになった。


そしてこのサイゼでるんがアイドルになることを決意したりして、色々あったな。


「ここのサイゼは俺達の青春だったな」


「そうだよねぇー。まぁ引っ越してもサイゼに通うだろうけど、それくらいサイゼという場所が大切なところになっていたからねー」


俺達は食べながら、感傷に浸っていた。











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