第4話

俺達は食べ終わった後、談笑をしていた。アニメの話題から、るんの所属している櫻坂の話題まで、色々だ。そして話題はるなものことのなる。


「それにしても振られたのに、るなもちゃんをヤクザから助けるって、隆景くんらしいね。普通は振られたらもういいとなって助けないものだと思うけど」 


「まぁ俺は振られてもるなもは大切だからな。まぁもう振られて、恋愛感情も多少はまだ残ってる程度だが、それでも助けたかったからな」


るなもには俺よりもっとふさわしい男がいるだろう。るなもはとくに親しい男がいる訳じゃないが。それでもいつか好きな人ができるだろう。そうしたら、るなもの幸せを願おう。


「ふーんそっか。それじゃ私が慰めてあげるよ。よしよしきっといつか隆景くんを大切な思ってくれる人が現れるよ」


るんは俺の頭を撫でながら優しく微笑んで言った。るんが天使に見えてきたわ。るんとは付き合いが長いから、俺が求めてることをしてくれる。るんと付き合うやつは幸せだろうなぁー。まぁアイドルだから、当分ないと思うが。もしできたら、全力で応援しよう。


俺は頭を撫でられてるのに心地よさを感じていた。やっぱり優しくしてくれるっていいな。るんほど俺を優しくしてくれる人はいないからな。俺が陰キャだから、蔑んでいるやつが多い。それとるんと仲がいいから、嫉妬で嫌がらせしてくるやつもいるし。


「ありがとな、元気でたわ」


「それならよかったよ」


そうして俺達は会話を少しして、名残惜しさを感じながら、お会計をして、サイゼをでた。


「今までお世話になりました」


そう言って、るんはサイゼに一礼をする。俺お世話になったわと言って一礼をした。そうして大切な場所であるサイゼを後にして、俺達は自分の家に向かった。


サイゼから家まではすぐなので、すぐに着いた。それじゃ引っ越しの準備でもしますかね。


「それじゃまた明日ね。隆景くん」


「ああ、じゃあな」


俺達は互いに別れると、それぞれの自宅に入っていった。ただいまーと言って家に入ったが、誰も応答を返さないので、姉さんは恐らく友達と遊んでいるんだろう。親はまだ残業だろうな。お疲れさまですとしか言えない。俺はこんなに働きたくないな。収入がよかったとしてもな。だから俺は小説家を目指そう。まぁ芽がでるまでは公務員として働こうと思っている。公務員なら定時上がりで、ゆっくり小説を書く時間を取れるからな。


俺は自室に入ると、服の整理を始めた。るんと出掛けたりするときによく服を買ったから、それなり多いんだよな。しかもブランドものが多いしな。それに選んでくれたものだし、捨てるという選択肢がない。デザインもいいし。とりあえず服は全部残しておいて、櫻坂のグッツも残しておくか。他はもう終わってるからいいか。家財は持っていくの面倒だから、このまんま処分してもらおう。


それからしばらく経ち引っ越しの準備は終わった。


「ふぅーそれじゃマッカンを暖めて飲むか」


俺はマッカンをマグカップに移し、暖めて飲んだ。暴力的甘さが頭に染みる。やっぱり一仕事終えた後はマッカンに限るな。疲れが吹っ飛ぶ感じがする。脳に染み渡る飲み物は格別である。


そんなことをしていると、玄関から誰かが帰ってくる音がした。親はまだ帰ってこないだろうから、姉さんか。姉さんは高校三年生だが、大学附属の高校に通っているため、受験勉強はしていない。学力は高くないが、頭の回転の速さはそれなりにある。後記憶力もいい。まぁるんと同じアイドルグループに所属してるからな。躍りを覚えていたら、記憶力や頭の回転の速さが鍛えられたんだろう。


「ただいまー。あ、隆景くん帰っていたんだね」


「ああ、まあ用は済んだからな」


「そっかー。それじゃ入るね」


姉さんは家に入っていた。俺もリビングに戻り、ソファーでくつろいでいると、姉さんは隣に座った。まぁ義理とはいえ、姉さんがいくら美人でも家族だから、興奮したりはしない。るなもだったら胸がドキドキしっぱなしだろうが。


「転校するけど、友達に伝えたの?」


「俺に伝えるやつがいると思うか?後輩が一人いるくらいだぞ」


おまけに俺はるなもという美少女とよくいるせいで、要らぬ嫉妬も受けて、周りからは避けられてるしな。るんに関しては同じ学校に行くし。正直伝えるやつはいない。


「んーそれじゃ新しい学校では友達できるといいね」


また嫉妬を受けて同姓には避けられそうだがな。まぁるんと話さないなんて選択肢はないから、それはそれで仕方ないが。


「できればな」


俺達はその後、アニメについて話していると、ねる時間になったので、寝ることにした。このベットとももう少しでお別れか。寂しいものだな。そんなことを考えながら、ベットに横になり、寝た。


朝の陽射しで起きると、俺は伸びをする。階段を降りると、既に姉さんが朝御飯の用意をしていた。姉さんはドジなところもあるが、引き締めるところはちゃんと引き締める。それが櫻坂でキャプテンを勤められて、メンバーからは信頼されている証拠だろう。


俺は姉さんにおはようと言うと、あくびをしながら席に座った。朝食は味噌汁に目玉焼きか。どれも美味しそうだ。











  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る