第3話戦いって難しい。


 ー「目黒ダンジョン:一階層」ー


「良し、こんなもんか。」


 ジジが倒した毒オオムカデの解体を終わらせた彰悟は《毒オオムカデの毒腺》と《毒オオムカデの外骨格》をリュックに入れた。


「じゃあまた探索再開しようか。」

「チチチ。」


 その後もジジと探索をしていると結果ケイブバットを五体倒すことができ、時間も丁度良かったのでお昼休憩をすることにした。


「ふぅ。ジジ、俺はご飯食べるから警戒頼むよ。」

「チチチ。」


 ジジに警戒を頼むと彰悟はリュックの素材を入れて居ない場所からサンドイッチを出して適当な岩に座って食べ始めた。


(うまっ!…ネクロマンサーになって良かったのは召喚師と違ってモンスターの食費がかからない事だよな。)


 サンドイッチを食べながらジジはなにか食べるのかと彰悟が考えていると周りを警戒していたジジが


「チッ!」


 と鳴いた。


「何か来たんだな!」


 異変に気が付いた彰悟はサンドイッチの残りを口に詰め込むとジジが見ている方を睨み付けた。


「「ギャギャギャ!!」」


 すると見ている方からケイブバットが二体出てくるとそのままジジに襲いかかってきた。


「ジジ!一体づついくぞ!躱したら爪撃を使ったキックだ!」

「チチッ!」


 ジジは彰悟に言われた通りに二体の攻撃を躱すと一体にキックを食らわせた。


「ギッ!」

「よしっ!」


 キックを食らったケイブバットにジジが止めを差そうとするがもう一体のケイブバットがジジに体当たりを食らわせて吹き飛ばした。


「ジジ!」

「チチチ!」


 壁に吹き飛んだジジに彰悟が声を掛けるがジジは大丈夫とばかりに声高く鳴いた。しかしジジが体勢を立て直す間にケイブバット達も体勢を立て直してしまっていた。


「ジジ。俺が注意を引くからジジは後ろから仕留めて暮れ。」

「チチチ!」


 ジジに近付いた彰悟はそうジジに言うと解体用のナイフを構えてケイブバットの気をひきだした。


「おい!こっち見ろ!俺が相手だ!」


 いきなり大声を出し始めた彰悟を眺めている二体のケイブバットだったが二体とも口を開けると彰悟に向けた。


「なんだ!?口開けやがって!ブレスでも吐くってか!」


 ジジが攻撃をするまで挑発をしなくてはいけない為口を開けているケイブバット達をそう煽っていると


「あっ…がぁッ!頭が痛い!」


 いきなりキーーーーンという音と共に彰悟の頭が痛くなった。


(これがケイブバットの超音波か!!痛くてたってられない!)


 思わず膝をついた彰悟。しかしケイブバット達はこのまま仕留めるつもりなのか超音波を止めることはなかった。


(もう耐えられない!!)


 彰悟が限界を迎えた瞬間。ケイブバットの後ろに回り込んでいたジジがケイブバットの内の一体に背後から強烈な蹴りを食らわせた。


「ギャウッ!」

「!!ギャーー!」


 蹴りを食らったケイブバットは奇襲が決まり首の骨が折れいきなり隣のケイブバットがやられた事に驚いたケイブバットはジジからの体当たりを食らい倒れた所で踏み潰されてしまった。


「ハァッ!ハァッ!ハァッ!…ジジありがとう、もうかなり限界だったよ。」


 ケイブバットからの超音波攻撃がなくなった彰悟は思わず横になると呼吸を整えながらジジに礼をいった。


「チチチ。」

「少し休憩させて。」


 彰悟は少し休憩をした後倒したケイブバットから羽を解体しながら


(同数の敵と戦うのはやっぱりかなりリスキーだな。普通の開拓者はパーティーだしパーティーは大体五人組。ケイブバットは群れても三匹だからパーティーを組んでれば簡単な敵だけど俺とジジは今三匹の群れに会えば勝てない。…取り敢えず今はレベル上げが必要だな。)


 と考えていた。


「ありがとうジジ。じゃあ行こうか。」

「チチ。」


 そのままその場を後にしながら彰悟はそう言えばジジの「土魔法」はいつ使える様になるのかふと気になった。


「ジジの「土魔法」が使える様になればもっと簡単に勝てるようになるのかな?」

「チチチ?」


 まぁいつ使えるか分からないものに期待してもダメだなと思った彰悟は昼休憩の前よりも集中して索敵をし始めた。


 コツコツコツコツ


「結構足音って響くんだな。洞窟だからかな?」


 改めて集中すると自分がいかに警戒していなかったのかを痛感する彰悟。足音にも注意して歩いていると遠くの方でケイブバットの鳴き声が聞こえてきた。


「どうしよう。基本的にダンジョン内って不干渉なんだけどちょっと他の人達の戦いも見てみたいな。」


 少し考えた後少しだけ見ることにした彰悟はゆっくりと音の方へ向かっていった。

 すると音の先では開拓者ではなく毒オオムカデが三匹のケイブバットの群れを襲撃していた。ケイブバットは既に一体が死んでおり残り二体の内一体もフラフラだった。無事なケイブバットが口を開け超音波攻撃をしているが毒オオムカデには聞いていない様だった。


「あれいけるかな?」


 一体ずつであれば勝てるがついさっき痛い目を見た彰悟があのケイブバットと毒オオムカデを倒せるかと悩んでいるとズボンを引っ張られる感覚があった。


「ん?」

「チチ。」


 彰悟が引っ張られた場所を見るとジジがズボンを引っ張って彰悟にアピールをしていた。


「…やりたいのか?」

「チッ!」

「よしらじゃあいくぞ。」


 彰悟はジジがやる気なのを感じやってみることにした。


「まずはあの死にかけのケイブバットを仕留めるんだ。その後は相手がどう動くかによるけど毒オオムカデを優先で攻めるんだ。分かった?」

「チチチ。」

「よし!行ってこい!」


 彰悟がジジに作戦を伝えるてジジは勢い良くケイブバットと毒オオムカデに向かっていき、作戦通り死にかけのケイブバットをまず爪撃で仕留めきった。


「ギャギャギャギャ!!」

「ーーーー。」


 いきなり現れたジジに戦っていたケイブバットと毒オオムカデも戦闘を中断してジジの事を警戒し始めたので誰も動かなくなってしまった。


「チチ。」

「ーーーー。ーー!」

「ギャッ!」


 仲間をやられたケイブバットの注意がジジ向いていることを察した毒オオムカデが隙を見てケイブバットに噛みついた。


「ギャーー!」

「ーーー!!」


 噛まれたケイブバットが暴れるのでケイブバットに絡み付こうとする毒オオムカデだったがジジがその隙を見逃す訳もなく一瞬で毒オオムカデに近付くとおもいきり毒オオムカデの弱点に蹴りをいれた。


「ーーー!ー!ー!」

「ギャッ!…グゥ。」


 痛みに思わずケイブバットを放しながら悶える毒オオムカデを尻目に弱りきったケイブバットにとどめを刺したジジは毒オオムカデにもしっかりととどめを刺した。


《レベルアップしました。》

《ジジがレベルアップしました。》


「お!ちょうどレベルアップしたし今日はこの辺りにするかジジ!」

「チチチ!」

「今日はありがとうな!これからよろしく!」

「チチ!」


 毒オオムカデを倒した後ちょうどレベルアップしたこともありこの日のダンジョン探索は終わることにした彰悟は解体を終えるとジジと共に「目黒ダンジョン」を後にするのだった。


 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


【主人公情報】

 名前:

 田中彰悟(たなかしょうご)

 職業:

 ネクロマンサー

 レベル:

 2→3

 数値:

 体力:10→12

 攻撃力:6→7

 素早さ:4→7

 魔力:13→15

 スキル:

 召喚1 従魔鑑定


【従魔情報】

 種族:

 ボーン・ラット

 名前:

 ジジ

 レベル:

 2→3

 数値:

 体力:8→10

 攻撃力:12→15

 素早さ:13→15

 魔力:0→0

 スキル:

 奇襲1 爪撃1 ジャンプ1 土魔法0

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