創作のためのヴァンパイア考察

蒼井シフト

創作のためのヴァンパイア考察

 最近カクヨムで、ヴァンパイアが登場する傑作に、立て続けに出会いました。

 それで思ったんです。ヴァンパイアって、どんな風に生きているんだろう?

  フワフワとした想像を、書き留めました。 お気軽にどうぞ(^^


■ヴァンパイアとの出会い

 私が出会ったは「吸血鬼ハンターD」でした。

 この作品のヴァンパイアは、卓越した身体能力や魔力に加えて、高度な科学技術を持っています。

 彼らの城は、昼であっても、自動機械とセンサーにがっちり守られている。

 更には人類の遺伝子を操作。恐怖を植え付け、記憶を制御。

 人類は数万年に渡って、ヴァンパイアの支配に甘んじている、という世界です。

 恐るべき敵ですが、同時に誇り高く美しい存在でした。

 長命種+科学技術、という趣向を、私はこの作品から植え付けられた気がします。


 後年、ストーカーの「吸血鬼ドラキュラ」を読みました。

 率直に申し上げると、ドラキュラ伯爵の印象は「汚らわしい」でした。振る舞いも言葉遣いも野卑で、住居は土と埃にまみれている。

 ヴァンパイアを、野に住む獣と捉えるなら、こうなるかな、という感じです。

 出会いによって、ヴァンパイアのイメージは、大きく異なるかもしれません。


■ヴァンパイアの【行動原則】

 ヴァンパイアといえば避けて通れないのが「吸血」。

 いったい、どのくらいの頻度で、吸うのでしょうか?


 人間のように、朝昼晩と1日3食、ではない気がします。

 人間側も逃げたり抵抗するので、毎日は無理だし危険でしょう。

 1週間に1度飲めば、生命(存在?)を維持できるのではないか。

 そして、吸血された人間は、ヴァンパイアになる。


 そこで、ヴァンパイアの行動原則を、以下のように考えてみます。

【行動原則】

①1週間に1度、1人を吸血する

②吸血された人は、ヴァンパイアになる


■1年後に何人?

 さて、この調子で吸血すると、ヴァンパイアはどのくらい増えるでしょうか。


 いま、ヴァンパイアが1人、誕生しました。

 最初の週は、1人、飲みます。そうすると仲間が1人増えます。

<1週間目> 1人⇒2人


 次の週。また1人、吸血します。

 忘れてはならないのは、仲間もまた、吸血することです。

 それぞれ、ヴァンパイアが増えます。

<2週間目> 2人⇒4人


 次の週は、その4人がそれぞれ吸血するので・・・

<3週間目> 4人⇒8人


 そうです。ヴァンパイアは、ねずみ算式に増えていくのです。

 1年は52週なので、1年後には、

<52週間目> 2の52乗 人


 ちなみに、「2の52乗」は、4503兆になります。

 ・・・人類って、何人いましたっけ?? (2024年に約81億人)


■共存のための仮説

 映画「地球最後の男」では、主人公以外は全員吸血鬼になってしまいます。

 しかし現実には、そうなっていない。

 これは【行動原則】に誤謬ごびゅうがあるのでしょう。

 【行動原則】の修正として、以下の仮説を提起します。


■仮説①:吸血は「スペシャルディナー」

 ヴァンパイアも、普段はパスタや牛丼を食べている。

 吸血は「特別なご馳走」で、たまに嗜むだけ。


 例えば、「1年かけたプロジェクトが終わった~!!」という時に、「今日は自分へのご褒美」として、至福の時を味わう。

 あるいは、「システムトラブルで3週間寝てない。もう限界!」のような危機的状況で、ちゅーっと吸うと、ジ〇セフの血を吸ったディ〇のように元気溌剌になる。


 これなら、人間と一緒に(ばれないように)暮らせる気がします。


■仮説②:吸血しても、ヴァンパイアにならない。

 繰り返し吸血できて、「人口爆発」も防げるので、人間がいなくなることはない。


 仲間を増やす際は、意図的にヴァンパイア化を選択できるパターンと、

 ウィルス感染のように、確率でヴァンパイア化したり、しなかったりするパターンがあり得ます。


■仮説③:もう血はいらない。「代用血」がある。

 生存に必要な成分が解明され、代用血が完成したので、もう吸血は必要なくなっている。


 食糧としての人類は、不要になります。

 あとは、仲間を増やすのに人間が必要か、どうか。

 栄養状態が良くなって、ヴァンパイア同士でも可能になる!?


 この場合、完全な共存が可能になる半面、

「人間はもう要らないから、滅ぼしておくか」となる可能性もあります。

 代用血で育った新世代と、吸血にこだわる旧世代の対立が起こるかも。


 個人的には、ヴァンパイアたちは「代用血」を既に開発して、吸血のリスクを回避し、ひっそり人類と共存している気がします。


■星を継ぐもの

 ヴァンパイア化の仕組みが解明されたら、長寿を人間に移植できるかもしれない。

 つまりヴァンパイアの不老不死性が、恒星間旅行の鍵になり得ます。


 恒星間旅行なんていらないと思ったアナタ!

 太陽にも、寿命があるのですよ。


 釈迦入滅後、56億7千万年後に弥勒が降臨するそうですが、太陽の寿命は50億年。

 ちなみに、燃え尽きる前に膨れ上がるので、約30億年で地球を飲み込みます。


 そうした未来に、我々の文化を引き継ぐのは、

 星々に散った、ヴァンパイアと人類のハーフ、かもしれません。


<宣伝>ちなみに、拙作にて、

太陽が燃え尽きる際の、人類存続をかけた戦いを、わずか800字で活写しております!

探してみてください(^^


■まとめ:創作のために

 まだ仮説の段階ではありますが、人類とヴァンパイアは共存可能なだけでなく、今後の人類の生存、銀河系への飛翔の助けとなるかもしれません。

 これからも、貴重な隣人として、創作に活躍して欲しいと思います。

(おわり)

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