第9話:私をタダで抱けちゃうんだよ。
「うん、私ね、地上の誰かと繋がってみたかったの・・・だからあんなサイト
作ったんだけど、そしたらサイトポチったの福ちゃんだけじゃなくて」
「来て欲しいって依頼が殺到しちゃって・・・それで怖くなって、いきなり
閉鎖しちゃったの」
「そりゃね・・・アリエルが来てくれるんだから依頼殺到したって不思議じゃないよ・・・そんなの分かりきってることじゃん?」
「だけど〜・・・こんな大袈裟なことになるなんて思ってなかったんだもん」
「で、その話を僕にするためにわざわざ来たの?」
「レンタルヘブンを閉鎖したって報告に来たわけじゃないの」
「レンタル天使はもう懲りたから、これからは福ちゃんとだけお付き合いできたらなって思って・・・」
「え?」
「私は今日、プライベートで来てるの・・・」
「だから何時間いても料金は発生しないから・・・」
「それは?レンタル彼女を辞めたから?」
「そう・・・私ね・・・福ちゃんのところに来た時言ったでしょ?」
「私にとって福ちゃんは最初のお客様だから、特別って・・・」
「実は福ちゃんが私を指名してくれなくなって悲しかったの・・・福ちゃんとは
できたらずっといたかったから・・・福ちゃんと連絡が取れなくなって以来私、福ちゃんのことが忘れられなくなっちゃって・・・」
「福ちゃんのこと本気で愛しちゃったみたい」
「そんな気持ちでいたら他のお客様からご依頼受けても応えてあげられない
からね・・・」
「本当に好きな人がいるのに、私、なにやってるんだろうって思っちゃって」
「もう偽物の「彼女」なんてしてられなくなったの」
「え?・・・今、どさくさに紛れて、目から鱗的なこと言ったよね」
「僕のことが?忘れられなくなったとか?、本気で愛しちゃったとか?」
「そうだね・・・言ったね、私」
「まじで?・・・それまじで?・・・ウソじゃないよね」
「僕はさ、君と別れて君に会えないまま僕の方が片想いのまま、ずっと苦しみ続ける
のかと思ってたんだ・・・」
「ごめんね、福ちゃん・・・私だって早く福ちゃんに会いたかったんだよ」
「すぐに連絡しようと思ったんだけど」
「私だって少しは考える時間、必要だったし・・・」
「いいよ、そんなこと・・・僕は君の気持ちが聞けただけで悲しみも苦しみもなにもかも全部吹っ飛んじゃったよ」
「負だって思うものは心から全部抜けてっちゃった」
「今は酒に酔っ払ってレンタルヘブンをポチって正解だって思ってるよ」
「もし僕が君をアリエルを指名してなかったら、ずっと会えなかったのかもしれないんだから・・・」
「僕は君って天使を知らないまま彼女もできないで寂しい日々を送ってたんだ」
「だから〜、福ちゃんが酔っ払ったことは正解だったんだよね」
「これからは好きな日に好きな時間に会えるよ、って言うか、私もう天界には
帰らないから・・・永遠に福ちゃんだけの天使でいてあげる」
「え?帰らなくていいの?天界へ?・・・神様に怒られない?」
「怒られない・・・私はフリーになっちゃったんだよ」
「まじで・・・嬉しい・・・僕もこれでレンタル料で破産しなくて済むよ・・・」
「そうだよ、私をタダで抱けちゃうんだよ・・・でも服とか下着とかにはお金が
かかるかも〜」
「そんなの、買ってあげるよ」
「って言うか・・・抱けちゃうって・・・めっちゃ意味深じゃん」
つづく。
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