第161話 地竜たちを登録

街を探すために、出発した。


実際に、探すのは、ゴーレム馬とカラスだけど。




街は、まもなく見つかった。


人がある程度住んでいれば、索敵にひっかかるんだろうか。



__ぷち城塞都市?



いちおう、ぐるっと壁に囲まれている。


でも、五メートルくらいの低い壁だ。



『アイラン大陸』。つまり、『暗黒大陸』にいたからね。


ほんとに、ちっぽけに見える。


アネットの実家のある街の城壁なんか。すごく立派だったから。



ちっぽけな城門の前に、馬車を停めた。




「待て。それは、【従魔】か?」


城壁に上にいた衛兵が、あわてて、ぼくらを止めた。


「そうだ」



「登録は済ませてあるのか?」


「いや、忘れていたからな。登録しに来たんだ」



「忘れていたって……。


コカトリスに、地竜だぞ。信じられんやつだな」


「そうか?」



「街に入れたら、大騒ぎになる。


ギルドの職員を連れてくるから、待ってろ」


「わかった」




待っていたら、エルフの女の子が来た。


もしかしたら、おばさんかも知れないけど。



「ほんとに、コカトリスと地竜じゃねえか。


どうなってんだ?」



金髪碧眼の美少女が、チンピラ口調で言った。


ギャップが大きすぎて、脳内処理に遅れが出た。



「しかも、すげえ美形のエルフ連れかよ!」


今度は、ソフィアを指差して、叫んだ。



「何をそんなに驚いている。


お前だって、かなりの美形だろう?」


率直に言った。



「へっ? もしかして、口説いてんの。オレのこと?」


チンピラエルフ娘が、眉をひそめた。







「クエッ!」


コカトリスが、ガラスの板に、前足を載せた。



「グオッ!」


地竜も、載せた。



「ここに、載せるのですね」


ゴーレム馬も、載せた。




前の大陸では、【水晶】だった。


こっちは、【ガラスの板】だった。


やや、チープな感じがした。



ジッジーーッ!



箱から、カードが出てきた。



「コカトリスに、地竜に、ゴーレムか。まあ、見たまんまだな」



チンピラエルフ娘が、カードを投げて寄越した。



ちなみに、ゴーレム馬にも、紺色ベストを着せている。


登録するって知らせたら、すぐに用意してくれたんだよ。


二人の族長には、感謝しかないよ。




「白竜。白狼。白スライム。


さらに、コカトリスに、地竜に、ゴーレム。


めちゃくちゃだな。お前」


「そうか?ふつうだと思うが」



「何が、どう、ふつうなんだよ!」


チンピラエルフ娘に、イキられた?



でも、ラノベとかなら、ドラゴン飼ってたりするよね。



__ああ、そういえば



ウチにも、いたんだった。


古代竜ドラゴン】が。



まだ、ちっちゃくてかわいいけど。



「それで、これから、どうすんだ?」



__そうなんだよね



結局、街には、入れてもらえなかったんだ。


街が、パニックになるって言われて。


地竜たちを街へ入れるとは、言ってないのに。


聞く耳持たない!…って感じだった。



「まあ。また、街でもさがすさ」



「……そうか。じつはな。


オレは、この街のものじゃねえんだ」


「そうか」



「実は、ここから離れた場所なんだがよ。


でっけえサンドワームが出たそうなんだ。


それで、あわてて駆けつけたんだが……」



「へえ。お前もたいへんだな」



エルフは戦闘力が高い。


だから、頼りにされてるんだろう。



「……ここに、到着したとたん。


いきなり、気配が消えちまったんだ!」


「どっかに、行ったんじゃないのか?」



「もちろん。そういうこともあるけどよ。


それなら、だんだんと気配が遠ざかるモンなんだよ」


「なるほどな」


理に、かなった話だ。



「だが、今回は、全然違ってた。


マジで、いきなり、気配が消えたんだ!


まるで、その場から、いなくなっちまったみてえに!」


「そりゃあ、びっくりだな」



__あれ



なんで、みんな。目をらしてるの?


面白そうな話なのに。



「もう、しょうがねえからよ。


これから、街へ帰るところなのさ」


「そうか。まあ、気をつけて帰れ」



「いやいや。そうじゃねえだろう!


ほら? お前たちは、街を探してるんだろう?」


「ああ、そうだったな」



「忘れんじぇねえよ!


つい、いましがたまで、話してたんじゃねえかよ!


……ま、まあ。


それはいいとして……だ」



こほん、と。


チンピラエルフ娘は、仕切り直した。



「今、ここに、お前好みの美少女エルフがいるだろ。


その美少女が、街へ帰ろうとしてるワケだ。


ほ、ほら、お前。


何か、言うことあるんじゃねえか?」



「オレ好みの美少女エルフ?」



「キョロキョロするんじゃねえよ!


傷つくじゃねえか!」



__ん?



「もしかして……。お前のことか?」



「そうだよ。悪かったな!


素で、聞くんじゃねえよ!」



チンピラが、涙目になっていた。


意外とかわいい。



「いや、悪くはないだろう。


お前。かなり美形だし。


ただ、ちょっと、喋り方がな……。


お前さ。


もっと、こう……。


……丁寧に、喋れないのか?」



「お前にだけは、言われたくねえよ!」



チンピラが、涙目で、キレていた。





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