第3話
25歳のネイリストである。
瑠璃子は、
夢だったネイルサロンに就職して、
それをきっかけに、
アパートの新居に引っ越してきた。
その引っ越しの挨拶の時に出会ったのが、
瑠璃子の203号室の隣室の202号室に住んでいた、
瑠璃子のさやかに対する第一印象は、
「真面目そうな人」だったのだが、
何回かアパートの廊下などで、
挨拶を交わすようになって、
その慎ましく控えめな態度に、
徐々に惹かれるようになっていった。
しかし、
瑠璃子は、
自分からは告白出来ないでいた。
瑠璃子は、
以前好きになった女性に告白したが、
激しく拒絶されて、
そのことがずっと、
トラウマになっていた。
だから、
さやかに恋愛感情を抱いていたが、
瑠璃子は、
さやかとは距離を保ちながら、
普通のお隣さんとして接していた。
瑠璃子にとって、
さやかは初めての推しだった。
瑠璃子は、
ある夜に思った。
(今まさに、
このアパートの隣室に、
推しのさやかがいるのだ。
この壁一枚を隔てた向こうに、
慎ましいさやか様がいるのだ。
控えめの女神・さやか様がいるのだ。
何という幸せ!
これはほとんど、
同棲しているのと同じじゃないか。
ああ、尊い!……)
瑠璃子のプライベートは、
推し・さやかの出現で、
充実したものになった。
しかし、
瑠璃子の働くネイルサロン「エクセレント」の
経営者兼社長の浜口エリカのセクハラが、
瑠璃子を襲い始めた。
瑠璃子は、
最初はエリカ社長のことを、
人懐っこい人だなと思っていたが、
日に日に、
エリカは瑠璃子の体に触れながら、
瑠璃子のインスタの写真に写り込むようになった。
その頃から、瑠璃子は気付いた。
(これはセクハラだ!
いや、パワハラだ!
いや、その両方だ!)
しかし、
瑠璃子は女帝エリカのセクハラに、
苦しみながらも、
強くは拒めなかった。
なぜなら、
瑠璃子は、
ようやく夢だったネイリストとして、
働き始めたばかりだった。
今、この女帝エリカのセクハラを
拒絶したりしたら、
女帝エリカの逆鱗に触れて、
始まったばかりのネイリスト人生が、
夢だったネイリスト人生が、
水の泡になると思ったのだ。
ネイルサロン従業員の中には、
女帝エリカのセクハラの被害者もいたが、
結局、誰も何も言えないままだった。
このネイルサロン「エクセレント」は、
女帝エリカの独裁国家だった。
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