【中】探偵・藤原龍虎/専務・木山悟 托卵家族の行く末を決めるのは誰か?

探偵・龍虎たつこ


〘コラ!浮気なんてしちゃいけないぞ!浮気は心の殺人だっだっだっだっだ!(エコー)〙


 とか、今更普通のことを言って、この人達は引くだろうか?

 否、引かないな。このDNAチャンポンみたいな状況で着地点を見つけなければならない…


『グギ…ガッ…』変身中の貞夫

『だから゛って、ごんなの゛っ!』暴露して後悔する真冬

『違うのぉ!これは違うの!』違う加奈子

『………』無言の間男…コイツだ。


「おい、間男。お前が全部責任取れ。お前が悪いんだから」


『は?大体なんなんだアンタ?俺は関係ねぇだろ?』


 何がどう関係無いのか分からないか…あぁDNA結果知らんから、今すぐ近くで泣いている来年は中学生になる洋子が自分の娘って知らんのか…


 私は持って来たDHA配合の力水りきすいを飲む。

 私は黄金の頭脳がDHAにより高速回転する…していると思う。


 しかしコレは父娘関係をバラすと…間男は逆ギレだろうなぁ…すると子供にトラウマ…は…良くないよなぁ…NTR耐久卿に怒られるのはな。私が平気だったからって他人も平気だと思うなとサトルのクズから言われ…ん?…サトル…私の上司…現場監督…責任者…


『テメェいいかげんにしろよ!聞いてんのかよ作業員女ァ゙!』


 こっちに突っ込んで来た間男、何故私をターゲットにするのか?

 触れた瞬間投げようと思ったら…


――毛ジラミ――


「ウオオオオオオオオオイッッッ!?!?」


『ガシャァンッ『ぎゃあああアァアァアァ!!』

 

 私のオートセンサーには毛ジラミセンサーが付いている。何故か?一回銭湯で感染されて旦那に浮気を疑われ酷い事をされたからだ。

 間男は毛ジラミを飼っている手で触ろうとした、よって力水の瓶で頭をかち割った…大丈夫、死なない様に殴ったから。

 

『あの、何やってるんですか…』


「いや、漁船に乗って帰って来なくなると思ったんだが…虫が…」


 私の高速回転した脳が指示する。逃げろと。


「洋子ちゃんにはこの〘極強ごくつよ力水りきすい〙をあげよう」

『え?』

「ゴクゴクと言う喉音と、力水の力で最強に見える、多分DNAのステータスの%も少しは上がると思う、RPGの種ぐらい」


『ちょっと…私はどうすれば…』


 狂った顔で近寄ってくる貞夫…そうだろうな、どうすれば良いのか私が聞きたい。

 しかし…少し前に結論は出ている。


「ちょっと待って…電話………もしもし、所長ですか?ちょっと問題が起きたので…えぇ…はい………」


 良し、後は…スラスラスラっと。


「貞夫君、私の上司の携帯番号です、そちらで今後の責任については話し合いをお願いします。それでは…」


『待ってっ!』「待たない」


 携帯番号の書いた紙を渡し、私は振り返らず走って逃げた。


 逃げる時は全速力で目を背ける。

 過去の浮気に何となく気付いても言わない。

 現実から逃げる、それが良い物語を生む、読者はマジか!?ってなるが、そんな男を描く作者は地獄の道だ…地獄の心理を描き続けるからだ、だから尊敬する。


 リスペクトをしながら私は家まで逃げた、上司に全部丸投げして。


―――――――――――――――――――――――

木村建設役員・木山悟


『木山様、ようこそ起こし下さいました。融資の件、ありがとうございます。こちらが私のクラブに併設されたラウンジになります』


「へぇ~良いお店ですね?」


『専務さん!ウチの工場とチーコのクラブに金貸してくれてありがとよ!』


『ミドリ!何て言い方してんの!?申し訳ありません、彼女、言葉を知らなくて!』


『ギャハ!チーコ、木山さん推しだもんな(笑)』


『ミドリ!余計な事言わないで!…では、木山様。こちらへどうぞ、皆、貴方をお待ちしております』


「ハハハッ綺麗なお姉さん方にそんな事言われるなんて嬉しいです!天知る地知る、悟汁!ありがとうございまする!……タツ、良いお嬢さん達の紹介をありがとう!なぁカエデ、出資して良かったなぁ!?おい、お前ら聞いてんのか!」


『うるせぇなクソサドル、相変わらずくだらねぇ』

『そう…ですね…これ以上増やすとか…ブツブツ』


 何だその態度テメェら…せっかく楽しいナイトクラブへ来たのに俺の身内、秘書のカエデと委託先建設会社の社長のタツの態度…舐めとんのか?


 今、登場人物が自分以外女と言う状態の俺、その名は木山悟。

 30手前で木村建設の役員まで上り詰めた男だ。

 この数年間で逆バンジーみたいに強制的に役員まで飛ばされ6人の愛人と妻、5人の子供が生まれ、近い将来、才覚無く地面に叩きつけられて終わるであろう男だ。

 そして夜はタツの旦那のヒロオーナーの元、専用の嬢【娼館獣】のいる私設デリヘル【地獄ヘルス】を営む楽しいと思い込むしかない男だ。

 

 今日はタツの紹介で普段来ない、女の子いるお店にやって来た。ヤーヤーヤー!

 俺もいい大人だからな、勉強も兼ねてやって来た。大人の楽しみ方をしないとな!

 しかし、何故店を紹介されたかと言うと、馬鹿タツが問題を起こし、そのお詫びだそうだ。

 しかも今出た二人の女性は、以前ヒロ経由で融資を依頼してきた間柄だから安心ですね。


 ちなみに何故お詫びかというと…一ヶ月ぐらい前にいきなりプライベート電話に連絡が電話があった。



『アンタのよこした作業員みたいな髪の長いゴツい女!浮気調査員、何なんだ!逃げたぞ!?』

「ええ……はい…ええ、ええ…凄いですね、さすが」

『どうしてくれるんだ!ウチの家庭はボロボロだ!』

「ええ、ええ…分かりました………大統領…」

『はぁ!?何だ大統領って!ナメてんのか!?よっ!大統領ってか!?貴様ぁあ!!』

「分かりました、9000万で手を打ちましょう」


 と言った感じの電話が入り、何言ってんのか全然分からない為、某メタ◯ギア風に含みのある『まさか大統領が関連していたのか!?』と思わせる様な受け答えをして、秘書のカエデのみを驚かせた。

 一億って言うと高く感じるから980円のノリで示談金9000万にしたけど、何となく不穏な数字。まぁ木村建設が潰れたら潰れたで…

 何か田中貞夫さんと言う人が浮気されて家族が崩壊、娘とDNAが違くて支えてくれた人が妹だったとか言ってたが複雑過ぎて分からない。


―国家間の話かと思って9000万すぐ用意したら関係無い一般家庭に9000万払ってしまいましたが…しかも私達関係無いし…―


 秘書のカエデが俺に嘘ついて許せない…みたいな態度を取っていたが、この女は幼馴染で2回浮気してストーカーして来るアホだ。だから…


「分かった、この件でお前の罪は許してムゴォ『それとこれとは関係無いからぁア゙あああ!!!』


 口を手で塞がれ怒られた。

 俺は決して裏切った幼馴染許さないプレイをしていて、最近頭がおかしくなりそうです。



『ともあれ、田中貞夫さんは元気にしてんのか?』


 コイツ…人に全部なすりつけといて…


「田舎の別荘に引っ越したよ。何か色々あって壊れて仕事辞めた妹と、ノイローゼになった娘と一緒に住んでて貞夫さんは壊れた。後、貞夫さんがデリヘリを所望したから別れたけど未練タラタラの奥さんに全頭マスク付けさせて一円で派遣してる。たまに会社に大量のマグロの目玉が届くよ、DHAありがとうございますって」


『ふーん、後悔もしてないし、托卵地獄の上東先生の作品より全然駄目だな』


 何言ってんだコイツと思いながら、托卵って良くないよなぁと考える。

 今の俺は平然と受け入れてしまいそうだが、大量のマグロの目玉を人の会社に送りつけてくるぐらいだから壊れているんだろうな。


 そんな事を考えていると入り口がざわついていた。


『テメェらマコ出せよっ!?知ってんだぞ!ここにいんのはよ!!』 

『今日は大切な客人が来てんだ!騒ぐんじゃねぇっ!』


 さっきまで優しく笑顔だったチーコさんがキレまくり…女って怖いな。

 何か喧嘩みたいな雰囲気なので近寄ると入り口付近でラッパーの集団みたいなのと店の人がやんやしていた。


『木山専務、余計な事はしないで下さいね、専務!?』


 カエデと言う許されざる者が何か言っているが知らん、俺は先頭にいるラッパーが、最近高校ラップスタァ軍団とか言うイベントでチャンピオンだったケンと気付いた…


 スタァとフリースタイルしたい…お金沢山払ったし、いいっしょ?と思いながらフラリと近づいた。


『チーコォ゙!テメェ良いからマコ出せよ!出さねぇんだったら暴れてやるからよ!』

『………ケン、テメェのバック呼んでこい。ソイツごと殺してやるから、なぁる良いよなタツ?』

『ギャハハ!ケンってバック土橋組だろ?チーコの子分(笑)ウケる(笑)だったらウチとやろうぜぇ?ケェエエン?』

『オレは関係ない、頑張って下さい、運動会』


 よく見ると三人の綺麗だけどゴツい女、チーコさん、ミドリさん、タツに囲まれて困っているラップスタァのケン。


 助けたらフリースタイルしてくれるかな?

 邪な心で助け舟を出した。


「こらこら、嬢達、ケン君困ってるだろう?ここは俺に免じて『うるせぇ誰だテメェ!!!』プギッ!?」


 【グシャア゙ア゙】


 俺は鼻を中心に凄い衝撃を受け後方に三メートルほど飛んだ。

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