第38話

朦朧としていると、ふいにカシャン、と金属音がした。


片足に冷たい何かがかかってる。



彼がゆっくり体を起こすと、それが視界に入った。


私のベッドからのびる鎖だった。



私は鎖を買った覚えはない。


ましてや、ベッドにそんなものを付けた覚えもなかった。



「理解できないって顔してる……

梓は分かりやすいね」


クスクスと彼は笑って私の髪をなでる。


「昨日、梓が家を出た間に、ちょっと鍵を借りて型を取らせてもらったんだ。

鍵屋さんに行ったら、スペアなんてすぐに作ってくれたよ」


彼の手には、先程使ったと思われる私の家のカギが握られていた。

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