第21話

あれから、奥村くんを意識的に避ける日々が続いている。



大学に一緒に行っていた曜日は、より早く家を出るようにして、バイトも少し増やして帰りを遅くしたりした。


幸い、サークルの部室には必ずしも顔を出す必要はなかったので、友人たちに個人で公募に出してみようと思って、と断りを入れた。



しかし、自分で物語を書くというのは容易じゃない。


そもそも誰の話をしたらいいのかもわからず、ヒントを得ようと好きな作家の作品を読みふけっているうちに梅雨が明けた。



出勤日を増やしたバイト先にも、新しい子が入ってきた。


カウンターとキッチンに一人ずつ、一緒に仕事をすることが多いキッチンの担当には、珍しい同い年の男性が入った。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る