第15話

兄とは駅で待ち合わせをして、スーパーで好きなだけお酒を買った。


兄とは昔から仲が良かったし、何より信頼しているので途中で寝てしまっても介抱してくれるから好きなだけお酒が飲めた。



家に着くと、飲み会を開くべく机や椅子をセッティングした。


約束した時間になると、兄には部屋で待ってもらって、奥村くんに声をかけに外へ出た。


キッチンに面した窓からいい匂いがして、外食以外で人の料理を食べるのはいつぶりだろうと思いながらインターフォンを押して彼を呼んだ。



出てきた彼は、エプロンの下に料理をする人とは思えないキッチリした格好をしていた。


いつも無造作ヘアの髪もこころなしかまとめられていて、なんだかパッと見る限り彼と気づけないと思うほどらしくない装いに、私は失礼ながらも噴出して笑ってしまう。


「これでも一応緊張しているんですよ。

 何しろ、先輩のお兄さんなんですから……」


と少し怒ったように彼は言った。

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