第8話 迷宮の魅力を高める方法
剣士たちとの交渉が成立し、迷宮に訪れる「侵略者」との新たな関係が築かれた。彼らの情報によれば、この迷宮は周囲で「癒しの迷宮」として噂になりつつあるらしい。それを聞いたとき、俺は迷宮をただ守るだけの場所から、より大きな価値を持つ存在に変えたいという欲が湧き上がってきた。
「癒しの迷宮、か……悪くない響きだな」
俺は温泉エリアを拠点にしながら、迷宮全体を発展させる方法を考え始めた。侵略者を敵対者としてだけでなく、利用することも視野に入れるべきだ。
「まずは、迷宮の魅力をもっと高めないとな……」
温泉エリアでの戦いが終わった後、俺は迷宮全体を見回りながら、拠点として整備できそうな場所を探した。すると、ゴブリンが新しい通路を発見したようで、興奮気味に俺を呼んだ。
「ギィ! ギィ!」
「お、何か見つけたのか?」
ゴブリンに連れられて通路の先へ進むと、広い空間に出た。そこは自然の光が差し込む天井の空いたホールのような場所で、床には草や苔が生えており、どこか神秘的な雰囲気が漂っている。
「……ここ、使えそうだな」
俺はその場所を新たなエリアとして整備しようと決めた。この広い空間を利用して、侵略者を引き寄せる新たな「アトラクション」を作ることができるかもしれない。
《迷宮拡張メニューを開きますか?》
ガイドの声が響き、画面にいくつかの選択肢が表示された。
1. 「自然庭園エリア」
2. 「宝物庫エリア」
3. 「迷宮市場エリア」
どれも魅力的な選択肢だが、俺は「自然庭園エリア」を選ぶことにした。このエリアは迷宮内に自然を取り入れることで、侵略者だけでなくモンスターたちにも癒しを提供できるという特徴があった。
「よし、これで迷宮の魅力がさらにアップするはずだ」
必要な資源は木材30、石材20、魔力結晶10。かなりの量だが、迷宮の未来を考えれば惜しむ必要はない。
俺たちはさっそく資源集めを開始した。ゴブリンとシャドウハウンドが迷宮内の隅々を探索し、インプが高い場所にある資源を引き抜いてくる。俺も手伝いながら、数時間かけてようやく必要な資源を集め終えた。
資源を魔力炉に投入すると、迷宮全体が微かに震え、新たなエリアが形成され始める。草木が芽吹き、天井から差し込む光が強まり、空間全体が温かみを帯びていく。
「これが……自然庭園エリアか」
完成したエリアは想像以上の美しさだった。湧き水が小さな池を作り、色とりどりの花が咲き乱れている。このエリアなら、侵略者も警戒心を和らげるだろう。
その夜、俺は自然庭園エリアの完成を祝うため、ゴブリンたちと簡単な宴を開いた。温泉エリアから運んできた湧き水で喉を潤しながら、今後の展望を語り合った。
「これからは侵略者をただ追い返すんじゃない。この迷宮に引き寄せて利用するんだ」
ゴブリンとインプが興味津々で俺の話を聞いている。シャドウハウンドも満足そうに横たわりながら耳を傾けていた。
「癒しの迷宮ってのを本物にする。そして、誰もがこの迷宮を認める場所にするんだ」
俺は湧き水を一口飲み、拳を軽く握った。この迷宮にはまだ無限の可能性が眠っている。それを掘り起こすのが俺の役目だ。
「次は庭園エリアをどう活かすかだな……」
俺は空を見上げながら、次なる計画を思い描いた。この迷宮は、ただの防衛拠点では終わらない。新たな挑戦が、俺たちを待っている。
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