ゾンビの弱点
俺の名前は
---
「落葉君、その扉を開くんだ。」
「いやだね、大庭もグルなんだろ。」
俺は今個室トイレにこもっていた。理由は、簡単で瞬木が「はやく学校からにげだしましょう」なんて言いやがったからだ。バカじゃないのか。俺が「外にはゾンビがうじゃうじゃいるんだぞ!」と忠告すれば「大丈夫だ。問題ない。」と言いやがった。死亡フラグ立ちまくりだよ。
「みっともないわね、落葉。あんたはおまけだからおいてってもいいのよ。」
「う、うるせえ!もうそろそろネットでゾンビの弱点とか、なんかそういう情報がでるはずなんだよ!!」
大庭と瞬木は俺の個室トイレの前で話を続けている。
「判君、どうやら落葉君は本気でここにいるつもりのようだね。」
「そうね。落葉、あなたがそこで待っている間にゾンビが襲ってきたら、どうするつもり?」
「そんなの考えてるさ!」俺は内心焦りながら答えたが、実際には何も考えていなかった。ただ、外に出たくないだけだった。
「まったく、無駄な抵抗ね。」瞬木はため息をつきながら言った。
「って、キマシタワーー!!ゾンビの情報上がってるわ。」俺は勢いよくトイレから飛び出し、スマホの画面を二人に見せた。
「なになに、『【速報】ゾンビ(仮)の今わかってる情報まとめ』?これ、信ぴょう性はあるの?」
「判君、信じてみないと何も始まらないさ。」
二人が聞く体制に入ったので、俺が読み上げていく。
「まず、ゾンビは人だったころの行動をマネする。」
俺は読み上げながら二人の反応をうかがった。瞬木は興味深そうに、そして大庭は冷静に耳を傾けていた。
「それと、ゾンビは目がほとんど機能しておらず、嗅覚と聴覚で動いている。」
瞬木が真剣な表情で、「なるほど、だったらあまり騒がない方がいいわね。」と呟いた。
次の文を読もうとしたとき、俺は絶句した。
「なによ。早く読み上げなさいよ。」瞬木は急かした。
「ゾンビの弱点はいまだ見つかっていない......」
「ふうむ。どうやら物語のように都合の良い弱点はないということだね。」
「なら、なるべくゾンビにあわないようにするのが得策ね。」
大庭と瞬木は話し合いを始めたが、俺はそれどころではなかった。あのネット民たちが、あの倫理観がない彼らが、映画や小説でみたゾンビの弱点を試さないはずがない。俺は、水や火で簡単に追い払えるものだと思っていた。
「よし。じゃあ、裏門から出ることにしよっか。」
いつの間にか話し合いを終えた瞬木が廊下へ歩き出した。
「さぁ、落葉君。ここから裏門へは生存者を探しながらの旅だ。見つけたら教えてくれ。」
「お、オケー。」
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