家族のあたたかみ。とてもいいなあ、としみじみ感じさせられました。
主人公は、ある時にカエルの夢を見る。その夢に見たカエルの置物について母に尋ね、祖母の家にあったものだという話を聞く。
こういう感覚、結構リアルに覚えがあるもので、読んでいてとても心に響きました。
幼い頃に何気なく見ていたものが、ふと夢に現れるのとか。そのことについて改めて興味を持ち、家族にそれの出自とかを聞いてみる。
ちょっとした品物って、「どこで買ったの?」とか「いつからあるの?」とか、毎日見ているものなので意外と気にならない。でも、一回気になってみると、そこには思わぬ由来があったりもする。
こういう風にして自分の家族や一族にある「ちょっとしたエピソード」が掘り下げられて行く感じが本作では綺麗に描き出されています。
そうして家のことを再認識することで、家族の温かみなんかがしみじみと伝わってくる。ラストもとてもあたたかなもので、良いものを読んだなと感じさせられました。