第30話

大きな瞳を更に大きくして俺を見る女は確かに昨日の女だ。



マジか……。


ここの制服を着てやがる。



もう会うこともないと思ってたが、こんなにすぐに会うとは。



あっちもビックリし




「ツッコミの人!!」



「誰だ、それは」



「おおっ。すみません、名前を知らないので勝手にそう呼んでました」



「呼ぶな」




なんだ、ツッコミの人って。



そして誰だ、この女は。



俺の周りをグルグル回り、上から下まで睨めつけてくるコイツは。




「きっ喜田川さんっ!!」




女が止めに入る。




「誰ですか?この男児は」



「「「男児て」」」




喜田川って女以外の声がハモる。



20代に見えるが、何歳だよ喜田川。




「昨日、話したでしょう?包丁の人から助けてくれた人の一人です」




包丁の人……。


コイツ、なんでも人って付ければいいと思ってないか?




「包丁の人?」




棒付きキャンディを咥えた女が首を傾げる。




「柚乃ちゃん、また後でお話ししますね」




そう言うと、灰かぶりは




「あたしは伊勢 心です。アナタの名前を聞いても良いですか?」




何だ、この小学生を相手にしてる気分は。



が、名乗られた以上こっちも名乗らねぇと。




「長谷川 縁(はせがわ えにし)」



「長谷川さんっ。昨日はありがとうございました」



「俺はほぼ何もしてねぇ」



「長谷川さん」




喜田川が話しかけてくる。




「私は喜田川と申します。この子の親代わりです」



「ああ、貧乏の」



「貧っっ!?」

 


喜田川が目をひん剥き、灰かぶり……伊勢を睨む。



あわわ、あわわと焦る伊勢。




「これには深い?訳がっ」




喜田川はハァアアアアっとデッカイ溜め息をつくと




「決してうちは貧乏ではありません。倹約家なだけです。そして昨日はこの子を助けてくださったとのこと、ありがとうございます」




そう言って、深々と頭を下げた。



その礼だけで、伊勢が大切なのだと。



親代わり……か。

















「ハーッハッハッハッハァッ!!その礼は俺様にこそ言われるべきだぁっ!!」



「あっ」



「……」



「「??」」
















……なんで居る。

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