第2話
思い立ったが吉日とでも言うべきだろうか。
私はすぐさま、教室を飛び出していた。
「フルミネさん!?危ないですよ!?」
学校中、いや、街中の喧騒を横目に、私は暗雲へと向かっていった。
「…ほんとにドラゴンだ、本で聞いたことがある…!そのまんまだ…!」
すぐさま飛び出したものの、私はこの時たったの7つであり、入学をして1時間も経っていない。教えられた魔法といえば、幼少の頃に教えられた、明かりをつける魔法と少しばかりの水を出す魔法くらい。
「一緒に飛びたい」
----第二話 ともだち----
その瞬間、私の視界は竜と並んでいた。
「…飛べた!?飛べたんだ!すごい!ドラゴンが目の前に…あれ?」
まじまじと竜を見つめると、大人であれば両手に収まってしまうほどの子供であった。
それと…
「泣いてる?」
小粒ではあるが、竜は雨に混ざり、涙を流していた。
現在の天候は竜が起こしてしまったものなのか、それとも偶然なのか。そんなちっぽけなことなど考える間もなく、私は竜を抱きしめ、地上へと足を落としていた。
「大丈夫?辛かったよね。大丈夫だよ…」
母から与えられた心があった私は、子供ながらに、竜を慰めていた。
竜の涙が静まった頃、暗雲も少しずつ去っていった。時間でいえば、たったの10分ほどだったろうか。竜は元気に鳴き始め、私の周りを飛び回った。身体には傷一つなく、悪天候はおそらく、竜の魔力が暴走してしまったものなのだろう。
「あはは、元気になれて良かったね!ほら、早くお母さんのとこに…」
そう言いかけた時、竜から放たれた黄色い光が私を包み込んだ。
「きれい…」
竜が私の目の前を飛び回り、こうやって使うんだよと言わんばかりに、ビリビリと電気を走らせる。
「…使えるの?私にも?」
竜の意思を読み取った私は、指先に力を込める。その瞬間、草が少し焦げるほどの電撃が放たれる。
「これ…私が…使えたの…?あなたがくれたの?」
竜はニッコリと笑い、キュルキュルと鳴き声をあげる。
「ありがとう…!ねぇ、あなたと友達になってもいい?名前は…キュルネ!私がフルミネだから、ちょっとだけ名前あげるね!」
そう言うと、竜…キュルネはもう一度嬉しそうに鳴き声をあげる。
これが、私とキュルネの出会い。そして、私の本格的な魔法生活の始まり。
----第二話 終----
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