竜魔術師フルミネ

山根 くもり

プロローグ 竜との出会い

第1話

かつて、この世界には魔力が充満し、魔と人の争いが溢れていた。

平穏な街並み、繁盛する声。その裏腹に、城壁の外では魔力がぶつかりあう…

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___

「はい、今日の読み聞かせはおしまい。」

「え〜?もう〜?」

「もう夜も更けてきたから、早く寝ないとダメよ?」

「…わかったぁ、おやすみなさい、お母さん。」

「えぇ、おやすみ。」


これから綴るのは、そんな物語のような壮大な話ではない。

私が産まれ、育ち、そして朽ちゆくまでの、ちょっとした、瞬く間に終わってしまうようなお話。


----第一話 出会い----


「いってきまーす!」

「はーい、気をつけるのよ〜?あ、無闇に魔法は使わないようにね?」

「はーい!じゃ、いってくる!」

「いってらっしゃい。」


ここは温和な街、エルド。気候だけでなく、街の人だって、荒れ狂うところを見たことがないほど。そんな街で、7つになったばかりの私は、今日から魔法学校へと通います。


「さて、まずは皆さん、ご入学おめでとうございます!ここはエルド魔法学校、名前のとおり、エルドを代表する魔法学校です!ここでは、ありとあらゆる魔法を学べます!もちろん、魔法の扱い方、やってはいけないことも学んでもらいます。学業に励む準備は出来てますか?」

『はーい!』


入学式を終え、夢の魔法生活…そのはずだった。エルドの気候が荒れるのは、100年に1度と言われるほど、ちょっとでも降水量が多ければ、それだけで新聞の見出しを飾るほどだ。


「…なんの音だろう?」


遠くからゴロゴロと音が聞こえる。それと同時に、遠くから徐々に空が黒に染まっていく。

それだけじゃない。竜を連れて…いや、竜が空を連れて、こちら側に向かってくる。


「…仲良くなれるかな」


今思えば、私は相当な楽観者であった。突拍子もないことを言いだし、いつも母を困らせていた。

…これが私の、魔法と、そして相棒との出会い。


----第一話 終----

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