第一章 竜魔術師の誕生

第3話

暗雲が去った後も、街の喧騒は収まらず、学校も一時休校となってしまった。私も例に漏れず、キュルネを連れ帰宅した。


「ただいま〜!」

「おかえりなさい、大丈夫だった?物凄い悪天候だったんでしょ…う?」


私の肩から顔を出すキュルネに、母は目を丸くした。が、すぐに息をつき、私に問いかける。


「フルミネ…その…その子は?」

「この子ね、キュルネって言うの!私の友達!」


キュルネと私は、母の困惑など読み取れず、嬉しそうに笑っていた。


「どこから連れてきたの?その…その子にも家族がいるでしょう?帰してあげなくて大丈夫なの…?」

「…多分ね、この子家族がいないの。でしょ?キュルネ」


キュルネは少し面を食らったような顔をし、キューと悲しそうに声を上げた。


「…ちゃんと面倒は見れるの?」

「うん!絶対!」

「…分かったわ。何かあったら、私も協力するから、仲良くするのよ?」

「…うん!ありがとう!」


キュルネと私は嬉しそうに飛びまわり、寛容な母にも叱られてしまうのではと思うほど、じゃれあい、その日を終えた。

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___

私とキュルネは同じ布団で目を覚まし、共にリビングへと降りた。


「おはよう、お母さん。」

「おはよう、朝から仲良しね。」


母は朝食を作りながら、私たちに微笑みかける。


私たちは朝食を食べ終えるとすぐさま家を飛び出した。


「ちょっと!今日は学校お休みよ〜!?」

「しってる!キュルネと遊んでくる!」

「…もう、ほんとに自由なんだから」


私とキュルネは草原を走り回り、好き勝手に遊んだ。


「行くよキュルネ!えい!」


私はキュルネに向かって魔法で水を飛ばした。

キュルネもそれに負けないと言わんばかりに、静電気程度の電撃を放った。


「いてっ、ちょっとキュルネ〜!電気は危ないからダメ!お母さんにも怒られちゃうよ!」


キュルネは悲しそうに声を上げるも、納得したような顔をし、私の肩へと戻ってきた。


「よしよし、そろそろ帰ろっか?」


私たちは夕方頃、家へと帰った。


「…大変ねぇ」

「ただいま〜!どうしたの、お母さん。」

「あ、ううん。なんでもないのよ。おかえりなさい。そろそろ夕ご飯作るから、待っててね。」

「うん!分かった!」


新聞を読みながら、悲しそうな、そしてどこか苦しそうな顔をしていた母が気になって仕方がなかった私は、母が寝静まったあとに、静かに新聞を読んでしまった。


「なんて読むんだろう…せん…?この場所、大変…街が壊れちゃってる…でも空が黒くない、なんでだろ…」


その瞬間、別の写真には、街に向かって爆発魔法や炎魔法を放つ魔術師が空を飛んでいるのが見えた。


「これ…魔術師がやってるの…?どうして…?」


たったの7つだった私は、あまり重く捉えていなかったが、戦争というものを認識し、それを悪だと認識した瞬間だった。

現在、私が魔法技術を向上させている理由の一つだと言っても過言では無い。

そしてここから綴るのが、竜魔術師フルミネの足跡、誕生秘話である。


----第三話 決意----

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