第42話 生徒会選抜戦・一回戦目
「―『生徒会選抜戦』第一回戦目はあの【氷の女帝】ことルティーナ・レグラートの戦いです!」
「おー、初っ端からいきなりルティアか」
中央に置かれたリングに上がっていくルティア。対戦相手の女子生徒はここから見ただけで分かるほどに緊張していおり、その額から汗を流しているように見える。
そんな中、実況をしている男子生徒は続いてこんなことを口にしてきた。
「また、今年の『生徒会選抜戦』は理事長とその盟友、かの有名なあのロッソ・イゾットさんが同席して下さっています!」
「げ……居ないと思ったら師匠あんなところに居たのかよ……」
師匠の名前に周囲が驚きの声を上げる中、俺は疲れたようにそう口にする。どうやら、師匠は理事長と一緒に実況にコメントかなんかで参加するらしいな……。
「ま、師匠が近くに居ない方が楽で良いけどな。はっはっはっ」
「……聞こえてるぜぇ、馬鹿弟子よぉ?」
「師匠おおお! ちくしょう、なんで師匠がこっちに居ないんだ!? 俺、師匠が居なくてめちゃめちゃ寂しいんだよおおおお!」
「……レクト」
師匠から死の宣告レベルの声をマイク越しに聞かされ、ミューイ達から呆れた目を向けられるが関係ねぇ……悪ぃな、俺はまだ死にたくないんだよ。
そんな俺に周囲の視線も集まる中、リングの上に立ったルティアの目が向けられる。
「……」
【氷の女帝】に違わぬその冷たい視線はまるで見たものを凍り付せかねないほどのものであり、そんなルティアの視線に気付いた俺は―笑顔でグッと親指を上に立てて「グッジョブ!」と声を返してやった。
「…………」
そんな俺の行動を予想していなかったのだろうリング上で俺を見ていたルティアは完全に呆気に取られた様子を見せていたが、やがて「キッ!」と強い視線を向けた後、片手で自分の髪を払い除けると、俺から視線を外して対戦相手の方に視線を向けてしまった。相変わらずだなぁ……。
そうして、俺がルティアに肩をすくめていると、俺の行動に怪訝な顔をしたミューイが声を向けてきた。
「レクト? 何やってるの?」
「あぁ、いや、あいつがこっち見てたから応援してやろうと思って」
「あいつ……? 誰のこと……?」
「ルティアのことだよ。こんなところまで見えるなんて、あいつ視力良いんだな」
「……へぇ」
「え? 何? ミューイさん、なんか目がすごい怖いですが?」
突然、ミューイの周りの温度が思いっきり下がった気がした俺が思わずそう返すと、それを見ていたイサリナやオットとファミアが呆れた様子で声を返してくる。
「あ、あの、レクトさん。ルティアさんは……その……レクトさんのことを嫌っているみたいですけど……」
「ん? ああ、そうらしいな」
「そうらしいなって……良いのかよ? 【氷の女帝】は目の敵にされてるんだぞ? あの女、この『生徒会選抜戦』でお前のことをボコボコにして、下手したら退学させようと考えてるんだぜ?」
「オットの言う通りだぜ? 向こうはお前を文字通り目の敵にしてるし、むしろお前からしたら敵以外の何者でもないだろうに」
「ん~、そうだなぁ……」
そんなファミアの言葉に俺はリングの上で対戦相手と対峙するルティアに視線を向ける。そして、何気なく思ったことを口にした。
「まあ、確かに俺を嫌ってるらしいけど、別に陰湿なことをされているわけでもないし、正面から堂々と戦うって言ってんだ。なら、別にこっちが嫌う理由なんてないだろ?」
俺の言葉に周囲の奴らが目を見合わせると、「ふっ……」と笑みを浮かべたオットとファミアが声を返してきた。
「なるほどな……そうやって、相手を油断させて闇討ちするのがお前の得意技ってことか……まったく、大した奴だぜ」
「ああ、実にお前にあった戦法だぜ……これなら【氷の女帝】も案外倒しちまうかもな」
「良い度胸だな表出ろや」
そんな俺達を呆れたミューイと苦笑いしたイサリナが視線を向けていると、実況の声が耳を突いた。
「―勝者、ルティアーナ・レグラート!」
「……は? もう終わったのか?」
驚いたことに、俺がオットとファミアの方を見ている間に、一回戦目が始まると一瞬で終わりの合図が出ていた。
山にこもって姉弟子と修業してたら、いつの間にか人類最強になってた~田舎者と馬鹿にされてたけど、都会のエリート学校のレベルが低すぎて悩んでる~ 白波 鷹 @Taka_Shiranami
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