第40話 登校

 月曜日の朝。俺はいつものように真里亜と待ち合わせた。相変わらずギリギリに真里亜は来る。


「はぁ、はぁ、おはよう、健人」


 だが、その息づかいも昨日のような体験をしたら違ったものに聞こえるから不思議だ。


「おはよう、真里亜」


「ん? 健人、何かいやらしい視線を感じるけど」


「ち、違うから」


「制服か! 久しぶりの制服に興奮したのか!」


「違うし」


「違う? あ、また足? 足フェチなの?」


「違うから」


「でも、見てたでしょ」


「う、うん」


 昨日のを思い出してしまった。


「そっかそっか。でも、学校では遠慮してね」


「当たり前だ」


 相変わらず朝の電車は混んでいる。俺はいつものように壁ドンの姿勢で真里亜を守る。だが、そこに真里亜が小声で話しかけてきた。


「もっと密着してもいいんだよ、彼氏なんだから」


 もちろんそうしたいが、そんなことしたらこっちがいろんな意味で持たない。俺は何とか誘惑に耐えた。


◇◇◇


 教室についても真里亜と二人でいろいろ話していると、そこに凪川が来た。


「おはよう、お二人さん」


「あ、おはよう」

「おはよう、凪川」


「付き合いだしたって?」


「な、なんで知ってるんだ」


「真里亜から報告受けてるし」


「そ、そうか」


 真里亜は凪川に報告したようだ。


「で、帰りは私も一緒でいいの?」


 凪川が聞く。


「俺はいいけど、真里亜はどうなんだ?」


「もちろん、いいよ。私は束縛系彼女じゃ無いから」


「そ、そう。だったら今日お願い。少し話があるからね」


「わかった」


 凪川が話か。なんだろうな。


◇◇◇


 昼休み。いつものように俺と翔太と真里亜で昼飯を取る。


「……二人にならなくていいのか?」


 翔太が聞いてきた。


「私は三人がいいけど、健人は?」


「俺もいいよ。真里亜とは朝も放課後も一緒だけど、翔太とはこの時間ぐらいだからな」


「そうそう。私も翔太と仲良くしておきたいし」


「彼氏の前でそういうこと言っちゃダメなんだぞ」


 翔太が言う。


「あれ? ダメだった?」


「別にいいよ」


 俺は言った。


「いいって! 健人、優しい。えへへ」


「早速、のろけかよ」


 翔太があきれて言った。


「しっかし、いきなりつきあい始めたから驚いたぞ。何があったんだ?」


「うーん、なんだっけ?」


 真里亜が言う。


「なんだよ、言いたくないのかよ」


「ううん、どうしてだっけなあ、って思い出してただけ。いろいろあったから、あ、そうだ! カラオケボックスで私が寝ちゃったら健人が――」


「真里亜。言わなくていいから」


「あ、うん……」


「え? そこでやめるのかよ。寝てた真里亜に健人が何したか、すごく気になるんだけど」


「そこはご想像にお任せしします」


「おい!」


 真里亜の言葉に翔太が怒った。


「えへへ。でも、さすがに言えないか」


「まさか、言えないようなことなのか?」


「うーん、ちょっとね。翔太が嫉妬で気が狂いそうになるかも知れないし」


「そんなこと! ……あるかもな。じゃあ、聞かないでおく」


「それがいいと思うよ」


「うぅ……マジかよ。まさか真里亜の初めてを奪ったんじゃ無いだろな?」


 翔太が俺を見てきた。


「……最後までは行ってないぞ」


「ということは……くそっ!」


「えへへ……初めては健人にあげちゃった」


「言うな! 嫉妬で気が狂いそうになる」


「やっぱりね」


「ん? でも、真里亜って剛史とは確かそういうことしてなかったよな。なのになんで急に……」


「それは私も不思議なんだよね。相性、なのかな」


「相性。それ言われるともう勝てないじゃん」 


「えへへ。残念でした。私、健人と相性ばっちりみたい」


「うっ……」


「翔太、なんかすまん」


「いや、真里亜が冗談っぽく言うのはまだいいんだが、お前にそう言われるとほんとにつらいから言うな」


「そ、そうか」


「はーあ、やってられないぜ。俺と剛史はバスケに打ち込むか」


「あ、翔太……そういうことしちゃったのは剛史には内緒に――」


「わかってるよ。あいつの方が嫉妬に狂いそうだしな」


「ごめん」


「ったく……こうなったからには健人。一生、真里亜の面倒見ろよ」


「わかってる。そのつもりだ。でも、いいのかよ。お前、ワンチャン真里亜狙ってただろ」


「無理だって分かってるから。ちょっと真里亜が微笑んでくれればそれで満足だ」


「そのぐらいならいつだって。翔太、よろしくね!」


 そう言って笑顔を見せる。


「う……真里亜様。一生ついていきます」


「一生は重いから。でも、そうなるかもね。健人とずっと一緒に居たいし。そうなると翔太も一緒かも」


「そうなるよな」


「あ、だったら友達紹介するね」


「お前、女子の友達居ないだろ」


「ここにはいないけどさ。小学校の友達は居るよ」


「そ、そうなのか。是非お願いしたい」


「うん、じゃあ、今度ね」


 翔太は本気で嬉しそうだ。



――――


※次回で最終話となります。


※新作発表しました

7人の美少女のうち誰か1人が俺を「好きな人」と書いた

https://kakuyomu.jp/works/16818093094539563211

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