第37話 恋人

キスを終えると俺たちは冷静になった。


「な、なんか飲み物取りに行こうか」


「そ、そうだな」


 俺たちは飲み物を取って部屋に戻った。


「ふう……健人。これからは恋人同士としてよろしくね」


「そ、そうだな」


「ふふ、さっきから健人、そうだな、しか言ってないよ」


「そうだな。あっ!」


「ふふふ、動揺してるなあ」


「そりゃ、まあ……俺が真里亜と付き合えるなんて思ってなかったし」


「ほうほう、そうなんだ。でも付き合いたかったと」


「う……」


「あはは。でも、いつから?」


「そ、それは……」


「私が剛史と付き合いだしたときはショックだったの?」


「まあ、少し」


「へぇー、そんな前からか」


「そりゃ好意はずっとあるよ、初めて会ったときから」


「そうだったの?」


「ああ。だけど、そんなに強いものじゃ無かったから。剛史のこともちゃんと応援してたからな」


「そうなんだ。じゃあ、いつから強い好意に変わったの?」


「……初めて二人でデートしたときかな」


「あー、あのときか。楽しかったもんね」


「そうだけど。あのときはまさか二人とは思わなかったからさ。真里亜の態度も思わせぶりだし、すっかり乗せられたんだよ」


「えー! 私、そんなだった?」


「やっぱり天然かよ」


「ご、ごめん。まさか、真面目な健人が私のことそんな風に見てるとは思わなかったから」


「だろうな。じゃあ、真里亜はいつ俺を意識したんだよ」


「うーん、考えてみたら私も同じかもね」


「二人でデートしたときか」


「うん。でも、はっきり付き合いたいって思ったのは昨日だよ」


「昨日。俺がキスしようとしたからか」


「うん。あのとき、自分でもびっくりするぐらいドキドキして。だって真面目な健人がそんなことしてくるなんて思わないもん」


「ご、ごめん」


「だからいいんだって。これまでの健人を知ってるだけにさ。だからギャップにやられちゃった。家に帰って『しまった、キスすれば良かった!』って思って」


「マジかよ」


「だから、同じシチュエーション作ることにしたんだ。えへ」


 真里亜にうまく乗せられたか。


「でも、どうする? 今後は。俺たちが付き合いだしたことは内緒にしておくか?」


「え? 別にいいでしょ。オープンで」


「いいのかよ」


「うん、言ったでしょ。私は周りを気にしないから」


「そうか。じゃあ、それでいいか」


「早速、翔太に報告する?」


「今かよ」


「うん!」


 真里亜は翔太に電話を掛けてスピーカーモードにした。


「もしもし、翔太?」


「あ、真里亜。どうしたんだ?」


「報告しようと思って」


「報告?」


「うん。健人と付き合うことにしたから」


「はあ?」


「翔太のおかげ。ありがとね」


「なんだそれ。近くに健人はいるか?」


「いるよ。今、スピーカーで聴いてるから」


「そうか。健人、真里亜を大事にしろよ」


「わかってる。翔太、ありがとうな」


「なんで俺がお前らのキューピッド的扱いだよ」


「えへへ」


「やってられねえから切るぞ」


「はーい、ありがとね」


 翔太との電話は切れた。


「……あとは剛史か」


「そっちは俺がメッセージを送ってみる」


 俺は剛史に送った。


健人『真里亜と付き合うことになった』


 しばらくすると返事が来た。


剛史『がんばれよ。俺はサポートはしないからな。相談もしてくるな』


健人『わかってる』


剛史『真里亜を泣かせたらまた殴りに行くからな』


健人『がんばるよ』


 やりとりはそれで終わった。


「剛史も応援してくれてるよ」


「そ、そっか……」


「真里亜、ほんとにこれからよろしくな」


「こちらこそ、健人!」


 そう言ってまた抱きついてきた。


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