第4話 出会い
俺たちのエアホッケー大会でのメインイベントは最下位決定戦。ということで、俺と真里亜の最下位決定戦が最後に残され、その前に優勝決定戦である翔太vs剛史が始まった。
それを横で見ているのは俺と真里亜だ。
「おー! すごい!」
真里亜は楽しそうに試合を見ている。その無邪気な横顔を見ながら俺は思った。真里亜、彼氏の剛史に何もさせてないんだな。まあ、そういう子ではあるけど。
「ん? 何?」
俺がずっと見ているのに気づかれてしまった。
「いや、楽しそうだなって思って」
俺はごまかす。
「うん、楽しいよ! 久しぶりにこんなに楽しい!」
真里亜が言う。久しぶりか。まあ、四人で遊ぶのもほんとに久しぶりだ。
試合は剛史が優勢に進む。そして、最後のショットが決まった。
「よっしゃ!」
剛史が腕を突きあげる。
「やったね、剛史!」
その腕に真里亜が抱きついた。
「ひでーな。試合に負けてさらに見せつけられるなんて」
翔太が凹んでいる。そんな翔太に俺は思わず声を掛けた。
「……俺が敵を討ってやるから、まあ見てろ」
「健人、頼むな」
最下位決定戦は俺と真里亜の勝負だ。定番の組み合わせだな。これまでの勝負は互角。しかし、俺は筋肉もついてきたはずだし昔の俺では無い。
「真里亜、本気でいいよな」
「もちろん! さあ、来い!」
だが、あっさりと俺は敗れ、みんなに飲み物をおごることになった。
「ぷはー! おごってもらうカフェオレは美味しいなあ」
バスセンターのテラスで、椅子に腰掛けた真里亜は足をぶらぶらさせながら言う。
「うー、なんで負けたんだ……」
「昔の私と違うのだよ。今はコンタクトだし、見やすいもん」
真里亜が言う。前に来たときは眼鏡だったか。今はコンタクトだもんな。
「コンタクトか。俺は眼鏡の真里亜が好きだったけどな」
そう言ったのは翔太だ。
「翔太はそうだろうね。眼鏡の私に告白したぐらいだし」
「うっ……まあそうだけどさ」
「アハハ、今はコンタクトでごめんね。剛史の趣味に合わせてるから。ね?」
「まあ、そうだな」
剛史が言う。
「剛史、お前は俺と同じ趣味だと思ってたのに今日からは敵だな」
翔太が剛史に言った。
「そんなに眼鏡がいいか? 俺は今の方が可愛いと思うけど」
剛史と付き合いだしてから真里亜はどんどん垢抜けていった。眼鏡をコンタクトに、髪はストレートに変わった。少しは化粧もしているようだ。
「普通はそうだろうな。でも、俺は野暮ったい感じの真里亜が好きだったんだ」
「野暮ったいってひどい!」
真里亜が怒る。
「人それぞれだな。じゃあ、健人、お前はどっちが好きだ?」
剛史が俺に聞いてきた。
「うーん……どちらかというと野暮ったい方かな」
「おー! 仲間!」
翔太が俺の肩に手を回す。まあ、俺は昔の真里亜を見て声を掛けたんだし。真里亜の地味な姿は印象に残っていた。
「えー! 健人まで……眼鏡に戻そうかな」
「マジ?」
翔太が言う。
「冗談。私は剛史のものだからねー」
「はいはい」
翔太があきれて言った。
「お前ら、喧嘩してたんだろうに」
「喧嘩? ああ、そうだったね。でも、二人のおかげですっかり仲直りかな」
真里亜が言う。
「そうだな」
だが、剛史の口調はどこか暗かった。
◇◇◇
翌日、朝から俺の席に真里亜が来た。
「健人、昨日はありがとね。おかげで仲直りできたよ」
「そうか、よかったな」
「うん! でもときどきは四人で遊ぼうよ。楽しかったでしょ?」
「そうだな」
「じゃあ、また計画するね」
そう言って去って行く。そこに凪川伊織が来た。
「何? 仲直りの手伝いをしてたの?」
「まあそんなところだ」
「
「なんでだよ。そんなことあるわけないだろ」
「ふーん、まあ、そういうことにしておくけど」
そう言って去って行く。たいした用が無いのに世間話をしに来るとは珍しいな。
◇◇◇
放課後。真里亜は嬉しそうに剛史と一緒に帰っていく。翔太は部活だ。ということで、俺は一人で教室を出た。
校舎を出るとそこに凪川伊織が居た。
「新田君、今日は一人で帰るんだ」
「まあな」
「じゃあ、一緒に帰ってあげる」
「ありがたいことで」
「感謝してよね」
そう言って二人並んで歩いていると、凪川は突然前の女子に声を掛けた。
「舞?」
その女子が振り返る。知らない子だ。うちのクラスじゃ無いな。
「あら、伊織。帰るの?」
「うん。一緒に帰ろうよ」
「そうだね」
二人はあっさりと一緒に帰ることを決めた。おいおい、俺はどうなるんだよ。そう思ったが仕方ない。凪川はこの舞という子と帰るそうだから俺は離れておくか。そう思って少し離れたときだった。
「何してるのよ。一緒に帰るんでしょ。舞のことなら紹介するからこっち来て」
凪川が俺を呼ぶ。俺は仕方なく近づいた。
「舞、こっちはクラスメイトの新田君」
「はじめまして、
そう言って俺を見る少女は黒髪のショートボブ。そして、丸い眼鏡の少女だった。はぁ……俺は心の中でため息をつく。また、こういう子かよ。地味で真面目な感じでよく見るとかわいい感じの。こういうタイプは危険だ。そう……中学時代、出会ったときの崎本真里亜にどこか似ている。
「どうも……新田健人です」
「よろしく。もしかして伊織の彼氏さん?」
「え?」
思わぬ言葉に何も言えない俺に代わり凪川が言う。
「違うわよ。言ったでしょ。ただのクラスメイト。ときどき一緒に帰ってるぐらいの仲よ」
「そうなんだ。でも、そういう男子が伊織にも居るなんてねえ」
宮原舞は興味津々に俺と凪川を見る。
「違うから。別にいいでしょ。帰ろう」
俺と宮原舞は凪川を挟んで電車に乗った。
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