あの夢の中で
青木結奈は夢を見ていた。辺りには無数の死体が転がっていて、みんな喉を切られ死んでいる。空は血のように赤く、太陽は夜空のように黒い。死体はカラスについばまれ、臓物を吐き出し、人の形をしていない残骸に変わっていった。
その時だった。何かがこちらに向かってくる。振り返ると、そこに居たのは全身が深い青に染まった一人の女だった。赤と黒に覆われた世界の中で、青い女は表情もなく、手に銀色のナイフを持って、こちらを見つめてくる。その女に結奈は言った。
「なんで、みんなを殺したの」
そう聞くと青い女は言った。その声は震えている。
「私のナイフはいつも銀色で、人の肉に滑り込むとき、それは月の光を放っている。私は青い、それは遠い昔の海の色、永遠の夜の季節の色、それは目の見えない少女の色」
そして、彼女は結奈にナイフを突き立てる。赤い世界は色を失い、深い青に染まり始めた。
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