EP005

ゴミ集積所がふと気になった私は、何気なく近づいてみた。


私の父が作ったゴミ集積所には、カラスにいたずらされないようにゴミの分別内容ごとに蓋付きのステンレス製の大きなダストボックスが数台置かれている。

そのステンレス製のダストボックスの上に何やら物が置かれている…。


『年内の回収は終わっているのに…。』


真冬の夕刻の暗がりの中、遠目では何が置かれているのかが、よく分からなかった。

ステンレス製のダストボックスの手前まで近づいて、やっとその置かれている物が何か分かった。


『箱…。』


よくある段ボール箱だった。

B4サイズほどの大きさに高さが20センチほどある少し変色した段ボール箱だった。

暗くてよく見えなが、色褪せた段ボール箱の上蓋に何やら印字されている。

アルファベットのようだ。

段ボール箱だけなら、畳んで年明けの回収日まで資源ゴミ用のダストボックスの中に入れておけばいいと思い、無造作にその段ボール箱を持ち上げてみる。


『えっ!重…。』


中に何か入っているらしい。

ただ、古めかしい段ボール箱の蓋はしっかりと閉じられていない。


『たぶん…、段ボール箱にゴミの詰め合わせだな…。』


このまま年明けの回収日まで放置しておくのが普通だとは思った。

しかし、中に何が入っているか分からない。

万が一残飯などが入っていたら、カラスの格好の餌食なってしまう…。

ゴミ集積所の管理してる身としては、それは絶対に避けたい。

だから私は、この古びた段ボール箱を持ち帰ることにした。

箱の中にどんなゴミが入れられているか分からない。

休みの間に中身を分別し、年明けの回収日ごとに出すことにした。





私は自宅の門扉の鍵を開け、いつものように、いつもの場所に薄汚れた白の自転車を収めた。

いつもと違うのは、薄汚れた白の自転車の荷台の変色した樹脂のカゴに草臥れた段ボール箱が入っていること。


左手にコンビニで買った夕食のナイロン袋、右腕にゴミ集積所に置かれていたボロい段ボール箱を抱え埃まみれの銅色の玄関ドアの前に立つ。

瞬間、人感センサーが反応し、ドアに取り付けられたスマートフォンサイズのモニターがぼんやり輝き出す。


「顔、認証。」


機械的な人工音声が私を認識したことを伝えると、キューンという音とともに鍵が外されゆっくりと銅色の引き戸のドアが開いていく。


銅色の引き戸のドアが開き切ると、家中の天井に埋め込まれたLED照明が点灯する。


「明るく。」


少し大きめな声で誰もいない真っ白な空間に語りかける。

私の音声を認識したアシスタントスピーカーが、LED照明が光度をひと目盛り上げる。


「明るく。」


アシスタントスピーカーが、LED照明が光度をもうひと目盛り上げる。

私はその光量の中で埃っぽい段ボール箱に印字されたアルファベットを見た。


それはアルファベットの大文字で…、


「A ・ R ・ I  ・ S …。何だろう…?」


その大文字、一文字一文字の脇に小さく残りの綴りが…。


「 Artificial  Recognition  Intelligence  System 」


不思議なことに、私はそこに書かれた単語を口に出して読んでいた。


「人工、認識、知能、システム…、AI関係か…。」


そう無意識に独り言を呟いた私…。

その私に…、私自身がを抱いていた…。


『なぜ?読めるんだ…。なぜ?意味が分かるんだ…。』






私が、私自身に驚いていると、


「コネクティング!」


という、人工音声が日焼けした段ボール箱の中から突如鳴り響いた。


私はその音に反射的に驚き、色の変わった段ボール箱を床に落としてしまう。

古い段ボール箱は床に衝突すると蓋が開き、中から球が転げ出た。


「何だ???」


それは、ソフトボールぐらいの大きさのある球体だった。

色もソフトボールのようなオフホワイト色をしていた。

クッションフロアーの上を転がるソフトボール…。

1メートルほど転がり止まる…、と…、


「Wi-Fi接続…。デブ確認…。ユーザー登録…、実行…。」と、ソフトボールが機械的な言葉を発した…。





≪続く≫

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