第2話 原初と終焉

異世界に転移して、まだ15分くらいしか経過していない。

5分で羨望され5分で失望され5分で追放された。

数学Aの授業直前だったので、転移が無ければ今頃小テストが始まっていた頃愛だろうか?



そして異世界転移、15分目!

魔法陣を出た瞬間に巨大な竜と鉢合わせる。

あくまで目測だが!


そのサイズ、東京ドーム!


高さ、横幅、威容!

俺が子供の頃、親にねだって連れて行って貰った東京ドームとほぼ同等!

あの日確かに瞼に焼き付けたので、この目測に間違いは無い!



「ほう!

人間風情が我が住処を侵食するか。」



不意に荘厳な声が地の底から鳴り響いた。

いや、それが声である事に気付く為には数秒のタイムラグが必要だった。


人ならざる者!

神域の巨獣!

これが王子の奴が言っていた邪龍か…

桁外れの威圧感に微動すら出来ずに硬直する。



「ふはははは!

何度来ようが無駄無駄無駄ァッ!

人間風情が我を討伐だと?

笑止千万!

我こそは全知全能の神にして、森羅万象そのもの!

その我に牙を剥こうなどと、全宇宙に挑むと同義よ!

人間如きが何をしようが最強の我が身に傷一本付ける事は不可能ッ!!

我に勝つ方法など、存在しなぁいッ!!

真名でも暴かぬ限りはなぁッ!!」



『え?

真名?』



「ん?」



俺の眼前に大きくポップアップしている、この文字の事だろうか?



【原初にして終焉の化身アルルバルギャギャン】



『えっと、この【原初にして終焉の化身アルルバルギャギャン】という表示のことでしょうか?』



「え?」



『え?』



瞬間、東京ドーム大の巨体を真っ黒な煙が覆った。

シュー、モクモクモク!


ああ、思い出した。

試合観戦の2ヶ月後に両親の離婚が成立したんだ。

じゃあ、あの人達は協議中なのに息子の我儘を聞いてくれたって事なのか…

親ってありがたいなあ。

もしも地球に帰れたら一度位父さんの面会に行ってもいいかもな。

府中なら十分行ける距離だもんな。



シューモクモクモク!

モクモク…



煙が晴れて来たので見上げたのだが龍が見当たらない。

何処かに飛んで行ったのか?


参ったな、全く状況を飲み込めない。

こっちに呼びつけられて20分も経ってないからな。

今から帰ったら数学の小テスト間に合うんじゃないだろうか?

俺、単位ヤバいんだよね。



モクモク、サーーーー。



…でも、流石に生還は無理か。

【名前】しか分からない能力って、ぶっちゃけ詰んでるよな。


取り敢えず、周囲を見渡して使えそうな【名前】を探す。

【食べ物】とか無造作に落ちてれば嬉しいのだが。


どこかに利用価値のある【名前】はないかな?

【名前】【名前】っと。



『ん?』



【原初にして終焉の化身アルルバルギャギャン】



「のじゃ?」



…さて、利用価値のありそうな【名前】を早いとこ見つけないとな。



「のじゃー!」

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最強Fランク鑑定師のステルス無双 ~知るのは名前だけで十分だ~ 蒼き流星ボトムズ @botomuzu

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