第2話
科学研究都市キュプロスは、シリルがここしばらく仕事の関係で滞在していた軍事都市ミスリルの北東、およそ870キロに位置する。
ミスリルとは、おなじ大陸内に設けられた隣接都市にあたる。両都市間を行き来するには、広大な砂漠と峻厳な岩肌が
イーグルワンは、トランスフォーム型のジェットカーである。その本体価格は、通常の陸上移動車の平均価格を軽く数十倍も上回ると言われている。そのうえ、維持費用、メンテナンス費用もまた莫大な額にのぼるため、個人で所有する者は滅多にいない。なにより、高度な操縦技術が求められるため、ライセンスを取得できる人間が非常に限られていた。
シリル・ヴァーノンは、その稀少な条件を満たす
他者と馴れ合い、徒党を組むのは
行けばわかる。
これまでにもマトモとは言いがたい依頼を数知れず請け負ってきたシリルだが、今回のそれは、完全にいかがわしさのレベルが突出していた。
依頼者、報酬額、物資の内容。
どの角度から見ても、物騒な任務であることは疑いなかった。運搬中か、あるいは任務遂行後か。いずれにせよ、無事に事が運ぶことはまずないだろう。
――やれるもんならやってみやがれ。
眼下に近づいてきたキュプロスの街影を見やりながら、シリルは内心で独語して口の
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