第37話 落ち着け

 電車に乗り遅れた西宮さんが。待っている間に――なのか。俺に対して。正確には飛鳥さんに対して、連絡先を交換しようと言ってきてくれるという大イベントが発生した。

 まさかの事態に慌てかける俺だが。そんな姿は見えずに西宮さんの連絡先をゲット――これでもしかしたら夜とか休みの暇なときに西宮さんと連絡できるのでは?とかと数秒の間に脳内でいろいろ思ったのだが――そんなことを思ったからか。

 いタブレット端末を出して交換しようとしたら――詰んだ。

 いや、詰んだ。というのはおかしい言い方かもしれないが。 

 まあざっくり言えば、交換のやり方が俺わからなかった。

 しまった――タブレットもっといじって確認しておくべきだった。 

 ――もう遅いが後悔。

 

 このままではせっかくの交換のチャンスを逃す。

 そんなときは――素直に聞くべきである。


「――えっと、使い方が……」


 なかなか恥ずかしい。

 無様な気もしたが。

 西宮さんは俺が記憶喪失で操作の仕方が――と、思ったのか。


「あ、これを――ここ押して――そう」

「こう?」

「そうそう」

 特に変な顔することなく。

 俺は西宮さんにタブレット端末の操作を教えてもらいながら。西宮さんと連絡先を交換したのだった。

 いや――教えてもらうのはうれしいことだったが。やっぱりこれはちょっと恥ずかしいな。今後はこういうことがないように練習しておこう。

 マジでもう少しタブレット端末も使えるようになっておかないと――って、アホネズミが連絡先聞いてきてくれれば、一度経験できたのにそういうのはしてこないと。さすがアホネズミ。クソ、なんであいつこういうことはしてこないんだよ。あいつがいつも通りストーカーしつつ連絡先聞いてきていれば、西宮さんとの交換がスムーズだったのに……まあアホネズミと交換するつもりはないが――。

 と、余計なことを少し思った俺。


「飛鳥さん?」


 もちろん、西宮さんがそんな俺を見て不思議そうな顔をしていたので慌てて話を変えることにした。

 って、都合よく話題が思い浮かばない俺なので、タブレット端末を再度見て、ちゃんとできたかの確認をすることにした。

 確認も大事だからOKだろ?


「いや、大丈夫。で、これで交換OKなんだよね?」

「うん。表示されていたら大丈夫だよ。あとでメッセージ送るから」

「わかった」


 よし。アホネズミのことを考えていたことはバレなかった――って、声にも出していないので、バレたらバレたで西宮さんすごい。だったが――まあそんな余談はさておき。


 連絡先を好感した後。少し話していると、次こそ列車の発車時刻が迫ってきていた。ちょっと何かしているとあっという間だな。

 ということで、今度は乗り遅れないように少し最後はまたバタバタしつつ西宮さんと別れたのだった。

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