第36話 ついに――?

 放課後になると俺も西宮さんも部活はしていないため一緒に教室を出た。

 というか暗い表情だった西宮さんに、あの男子たちが何かする前に俺から西宮さんのもとに行った(俺頑張った。よく女子にさりげなく声かけた。誰かほめてくれ。もとの俺なら絶対できないことだぞ?これガチ。今日の俺一生分くらい頑張ったかも。まあ大げさすぎたか)。

 というか、これは事実と思いたい。俺が勝手に思いたいことだが。今日だけでかなり西宮さんと仲良くなった気がする。なったよな?周りから見てどう?って、そうか俺このクラスではまともに話すの西宮さんしかいないわ。


 まあいろいろおいておき。教室を出会た後。廊下を歩いている時もまだ西宮さんは何度か今日の机のことや下駄箱のことを言っていた。

 真面目というか。なんというか。

 真面目過ぎて西宮さんはあいつらに利用されたのだろうか?断れないタイプ?あれ?もし断れないタイプだと。今俺が一緒に帰ろうと言ったのも――いや、考えないでおこう。今の西宮さんは普通に俺と話している。そう。飛鳥玲奈と話してるのだ。


 まあ再度余計なことは置いておき。いろいろ気にする西宮さんに対して俺は気にするなって感じでずっと言っているんだが――まあすぐには無理だろう。

 でも俺は何度言われても嫌な顔せずちゃんと西宮さんと話す。

 

 そんなこんなで汚れた上履きもあるので、少しまた荷物が増えるが下駄箱の前に、一度下駄箱を通過。職員室近くの職員玄関へとスリッパを2人で返しに行ってから再び下駄箱へと向かう。

 さすがに何もされていなかったので、そのまま上履きをもって2人で帰る。


「えっと、西宮さんは電車だったよね?」

「えっ、あ、うん」

「四日市の方?」

「うん。えっと飛鳥さんは――寮?だよね」

「そうそう。あ、またお店の方行っていい?」

「ちょ、飛鳥さん――ここでは」

「あっそうか。こっそりだったよね。ごめんごめん」

「大丈夫。ってか――飛鳥さん。本当に飛鳥さん?」

「なんかすごいことを聞かれた気がするけど――まあ前も言ったけど記憶がね」

「大変じゃない?」

「いや――なんとかなってるからね(まあ家族のこととか全く何とかなってないが――もしタブレットでの支払い止められた俺終わる。その場合は――西宮さんに頼るのもだから……アホネズミを上手に使う。って、そんなことにならないように、俺もアルバイトをこっそり考えた方がいいかもな)」

「飛鳥さん?」


 俺が話しながら少し余計なことを考えていたので、ぼーっとしてしまったらしく。西宮さんが心配そうにのぞき込んできた。

 ――ちなみにかわいい。


「大丈夫大丈夫。ちょっと余計なこと考えてた」

「余計なこと?」

「まあまあ、あ、駅駅」

「え、あっ、ほんとだ。って、わざわざ駅までごめん」

「いいって、どうせ寮の入り口そこだし」


 駅近くからの道を指さす俺。


「ありがとう。えっと――じゃあまた」

「うん。今日はいろいろありがとう」

「いいって、友達でしょ」

「――」

「……うん?」


 あれれえぇー――なんか西宮さんがフリーズしたんだが……俺変なこと言った?

 

「あ、その、私なんかが――あんなことして」

「えっ?別にでしょ」

「……」


 今度はポカーンとしてる西宮さん。


「あ、西宮さん。電車出るみたいだけど――」

「えっ?あ、ありがと。えっと――ありがとう。また明日」

「うん」


 俺が返事をすると西宮さんが小走りで改札を抜けていく。

 その際なんだか口元が緩んでいたように見えたのは――気のせいだろう。

 あれ?もしかして友達とか言ったから気持ち悪いとか思われた?マジかやらかした?でもまた明日――だったし大丈夫だよ……うん?

 

 見送ったはずの西宮さんが何とも言えない表情でこちらに戻った来る。

 そしてその奥では――走り出す電車。

 なるほど。


「アハハ――足遅かった」


 西宮さん。

 電車に間に合わなかった様子。

 まあ俺が声かけたのもギリギリった感じだったからな。


「えっと、もう少し話してる?どうせこっちも帰るだけで暇だから」

「いいの?」

「ああ」

「ありがと、あ、えっと――その飛鳥さん?」

「うん?何?」

 

 電車に乗り遅れて戻ってきた西宮さんが何やらもじもじしている。

 実際にはもじもじわかるくらい動いているのではないが。なぜかそんなように俺には見えている。

 すると、西宮さんが少し決心したみたいな表情で声をかけてきた。

「その――連絡先。聞いてもいいかな?」

「連絡先――?」

 西宮さんに言われ少し考える。

 連絡先?

 すると西宮さんはタブレット端末をカバンから取り出していた。

 ……納得。

 

 そういえば、今まで飛鳥さんのタブレット端末にはクラスの人とか友人が1人もなかったので、基本学校からの連絡を朝に見るだけになっていた俺は一瞬西宮さんが何を言っているのかがわからなかったのだ。

 でも今理解した。

 西宮さんがタブレット端末を手にしていたことで何とか理解。あぶねー。

 そもそもだが。俺自身も昔からそういう経験がなかったので、すぐにピンとこなかった――と、いう話をすると悲しくなりそうなので。

 って、ガチでちょっと感動で泣きそうなレベルだったがそれを我慢して西宮さんと連絡先を――交換できなかった。

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