ドア
天川裕司
ドア
タイトル:ドア
俺は今、アパートに住んでいる。
でもこの部屋のドアはちょっと不思議。
ガチャリ…
今日、ドアを開けて見ると目の前には、
「おぉ、いつぞやの…」
いつか俺が夢に描いた理想の美女が立って居た。
次の日にドアを開けて見ると、
「え??君は確かこの前に…」
誰も知らない沼地で
この世を離れた人が立って居た。
3日目にドアを開けて見ると、
「ああ、君はずっとそこに立って居たんだね…」
もうずいぶん前に別れて、
俺の前にも心にも居ない彼女が立って居る。
4日目にドアを開けて見たら、
「いえ、私そう言うのに興味ありませんから。それじゃ」
宗教勧誘のような人が立って居た。
俺の心を救いたいと来てくれた人らしい。
でも興味が無いから帰ってもらった。
5日目にドアを開けて見たら、
「え?キミって誰??…あ、もしかして、ウルトラマンに出てた人?」
子供の時によく見ていたウルトラマン。
その中の登場人物のような人が
ドアを開けたその日常風景の中に立って居る。
でもその人は俺のすぐ目の前で
幻の様に消えてしまい、何が何だか、
現実が少しわからなくなってしまった。
そして6日目にドアを開けて見たら、
「え?な、なんですか、ちょっと!」
ぐいぐい部屋に押し入ろうとして来る男の人。
俺の話を全く効かず、ただ一方的に
俺のプライベートへ入って来ようとしていた。
でもやっと常識が少し働いたのか、
その人はふと我に返ったように帰宅した。
そして7日目にドアを開けて見たら、
「なんですか!帰ったんじゃなかったんですか!!」
昨日来て居た男の人が又ドアの前に居り、
今度は複数人の男を連れて俺の手を引き、
部屋から引っ張り出した。
その時ドアの輪郭が
なぜかはっきり見えた気がして、
それ以上「幻覚を見る事はもう無い」と
約束された気がした。
(独房にて)
「これはみんな幻覚だ!幻覚なんだ!本当じゃない!なんで俺をこんな所に閉じ込めるんだ!!」
警察「また言ってるな…」
弁護士「彼が見てきたモノは幻覚でも何でもありません。現実そのものです…」
精神科ドクター「彼の症状を被(おお)っているものは、サイコシス・ハルシネーションと言うもので…」
メディア「2度と起きてほしくない事件でしたね…」
一般市民1「俺も私もそんな奴、見たことあるよ今まで…」
一般市民2「…でも良いかもな。現実逃避して幻覚に覆われながら不安や恐怖が無い空間で、とりあえず目的は達成してたんだから」
一般市民3「…問題はどうやって、その不安や恐怖が永遠に来ないようにするか、だ」
動画はこちら(^^♪
https://www.youtube.com/watch?v=8xDYKgrU2zk
ドア 天川裕司 @tenkawayuji
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます