和風月名~恋愛指南したがる接着剤系女子との12ヶ月

九戸政景

プロローグ

「はあ……」



 1月、俺は好きな人に告白が出来ずにため息をついていた。名前は高嶺たかね花陽はなよ、周囲から好意を向けられる長い黒髪が綺麗な文武両道な女の子だ。


 例に漏れず俺も高嶺さんが好きだ。けれど、接点はそれほどない。クラスメートというだけで俺は帰宅部で彼女は華道部。委員会だって違うのだ。



「はあ……」

「お困りのようだね、そこの若人!」

「え?」



 突然聞こえてきた声の方には女の子が立っていた。カチューシャで前髪を留めていて、背丈こそ少し小さいがそれでも顔は可愛らしい方だった。



「……君は?」

「私は人呼んでグルーガール。みんなの恋愛をお助けしているヒロインだよ!」

「グルーガール……なんか語感が厳ついな」

「それでだけどね」

「無視か」



 ため息をつく中、彼女は笑みを浮かべながら俺に手を差しのべてきた。



「私はここに宣言するよ。君に一年で彼女を作ってあげることを!」



 それがグルーガールこと則元のりもと乙女と俺こと伊山恋翔れんとの初対面だった。

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和風月名~恋愛指南したがる接着剤系女子との12ヶ月 九戸政景 @2012712

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