付きまとう聖女様は貧乏貴族の僕にだけ甘すぎる〜人生相談がきっかけで日常がカオスに。でも美少女にモテたい願望が強すぎて〜

暁ハルカ

プロローグ

 カーテンを閉め切った薄暗い部屋。

 六畳一間の部屋で青年はベッドでスマホを触りくつろいでいた。ソシャゲのログイン、大学からのメールの確認を済ませていたのだ。

 わずかな光は顔を照らし、脳を覚醒させる。

 

 もう少しで起床時間だ。

 顔を洗い、朝食を摂り、パーカーを着る。リュックを背負って外に出ると、急いで最寄りの駅に向かう。


「あと5分……間に合うかな」


 青年はひたすら走った。

 このままでは講義の時間に間に合わないのだ。街なかの私立大学に通う青年であったが、アパートから大学までは電車の待ち時間も合わせて1時間半ほど。

 おまけに田舎の駅だけあって電車が来るのは一時間に一本だけ。乗り遅れると完全終了なのだ。


「おはよー!」


 走る青年を横目に自転車を漕ぐ幼馴染の女性。

 ちなみに立派な女性だ。しっかり者でよく気が回る。大学は家の都合で断念し就職してるらしいが毎朝こうやって会っては挨拶を交わしているのだ。

 小さい頃から仲が良く、この先どうしたら良いかなど迷ったときは相談に乗ってもらうこともしばしば。


「早く行かないと間に合わないよ」

「分かってるよ! でも、そろそろ限界……」

「はぁ……仕方ない。幼馴染のよしみでこの自転車を貸してあげよう。もちろん私は後ろに乗るよ」

「つまり僕に漕ってこと?」

「そうなるかな。けどね、今なら間に合うよ」


 彼女の口車に乗せられ自転車を急発進させる。

 勢いよく漕ぎ続け、駅近くの駐車場。しかし何かトラブルがあったらしく電車が遅延しているとアナウンスが流れている。

 

 二人が間に合ったと安泰している時だった。

 ものすごい速度で車が二人に向かう。止まることも知らない車の運転席には年老いた男性の姿がある。ハンドルを握りしめ、必死な様子で助けを呼んでいた。

 もちろん聞こえるはずもなく、青年は彼女を全力で押し退け身代わりになったのだ。


 車との接触で飛ばされ、アスファルトに頭を打ち付けられた青年からは鮮血が流れ、意識もぼーっとしていた。幼馴染が必死に声を上げ、周りに助けを求めている姿を見て青年は少し微笑む。


「よかった……無事で」


 痛みと不安、彼女と離ればなれになる悲しみ。

 それらが急に込み上げてくる中、青年の光を失った瞳はゆっくりと閉じるのだった。


 そして青年は愛ゆえの嫉妬が飛び交う意味不明な世界に転生することになるのだった。


――――

初のラブコメ作品になります。

まずはお試しで1章だけ描いてみたのですが、率直な感想をいただければ嬉しいです。


皆様方のPVや評価によって今後も投稿するか考えたいと思いますので、ぜひとも。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

次の更新予定

2025年1月10日 20:14

付きまとう聖女様は貧乏貴族の僕にだけ甘すぎる〜人生相談がきっかけで日常がカオスに。でも美少女にモテたい願望が強すぎて〜 暁ハルカ @kaisen_haruka

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ

参加中のコンテスト・自主企画