◆告白した翌日

「なんだそれ」


「本当にそう言われたんだ」

「『シャチが好きだから無理』って……」


 翌日の朝。学校の教室。


 座ってる僕を囲むクラスメイトの石橋、佐川、工藤の三人に昨日の出来事をある程度話した。


「それで、藤森はそのまま帰ってきたのか」


 と大沢が言う。


「あいや、それはその……」


「つーかさ、進藤にからかわれてるんじゃねーの」


 と田中が言う。


「俺も思う」

「断るにしたって他に言い方あるだろ」


「シャチが好きとか、俺達の藤森をバカにしてるとしか思えん」


「でも、そんな風じゃ……」


「いや、俺は藤森が悪いと思う」


 ゴツゴツした手で髪を撫でながら、橋口が言った。


「男ならもっとガンガン行くべきだろ」

「『付き合ってください』じゃなくて『俺と付き合え』」

「ふざけた理由で断られたら」

「『どういう意味だよ。ちゃんと答えろ』って強めにいかないと」


「確かにそれはあるかも」


 と大沢。


「進藤はそういう、男らしさ、みたいなのを試したのかもな」


 そして田中。


「そう……なの、かな……」


「まぁ藤森は優しすぎるっつーか、気弱っつーか」

「相手の事考えたり、気にしすぎるところあるもんな」


「俺達もそこはちょっと心配だ」


「いや、そんな……僕は……」


「とりあえず、どんなつもりで言ったのか聞いて来いよ」

「頑張れよ。俺達、期待してっから!」


 三人は言うだけ言って、笑い声を上げながら僕から離れていく。


 朝のショートホームルームが始まるまであと5分。


「はぁ」


 机に頬杖を突きながら、今度の事を考えた。

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