メインキャラは苦手なので後ろでサポートします

第14話

「湖の上での修行」

静かな湖のほとりにたどり着いたアーサーたち。シンリーは、この湖が魔法力を高めるための特別な場であると説明した。湖面は鏡のように静かで、月明かりが淡く輝いている。

「私はここで三日間、湖の上に浮いて修行をしなければならないわ。その間、私のことは気にしないで。」

シンリーが淡々と語りながら杖を握り、湖の中心へと歩みを進める。彼女の体が湖面から徐々に浮き上がり、瞑想の姿勢で静かに目を閉じた。

「三日間……俺たちは見守るだけか。」アルトがため息をつく。

「それくらい耐えられないのか？」フェルミアールが軽く笑う。

「まあまあ。」アーサーは二人を落ち着かせ、焚き火を囲むように腰を下ろした。

シンリーの性格について

「それにしても、シンリーって不思議な奴だよな。」アルトが火を見つめながら呟く。

「確かに。普段は冷静沈着で感情をあまり表に出さないが……時々妙に子供っぽいところがある。」フェルミアールが言葉を続ける。

アーサーが笑いながら頷く。「この間もあっただろう。蜂蜜が入ったパンを食べて、すごく幸せそうな顔をしてた。」

「そうそう。それで蜂蜜が少し足りないって気づいて、無言で俺の分を取ろうとしたんだぞ。」アルトが苦笑する。

「子供の頃の師匠の話をしているときも、顔が柔らかくなる。」フェルミアールが静かに付け加えた。「普段の無表情が嘘のようだ。」

趣味について

「そういえば、シンリーって何か趣味とかあるのか？」アルトが思い出したように尋ねる。

「もちろんあるさ。あの子は魔法の研究が趣味みたいなものだ。」アーサーが答える。

「研究ばかりじゃなくて、他にもあるはずだろう。」アルトが口をとがらせる。

「星を見るのが好きだって聞いたことがある。」フェルミアールが言う。「夜になると、たまに一人で空を見上げているだろう？」

「確かに……そういえば、俺も見たことがあるな。」アルトは納得したように頷いた。

「本を読むのも好きだ。旅の合間に立ち寄った街では、よく古本屋に立ち寄るだろう？」アーサーが付け加える。

「そのくせ、寝坊する癖があるんだよな。朝の準備のとき、一番遅れてくるのはいつもあいつだ。」アルトが笑う。

「研究熱心なあまり夜更かしをするからだろう。」フェルミアールが冷静に分析する。

隠れた魅力の共有

「思えば、シンリーって謎の多い奴だけど……一緒にいると安心するよな。」アルトがぽつりと呟く。

「彼女の冷静さがパーティのバランスを取っているんだ。」フェルミアールが静かに言う。「感情を抑えているように見えるが、誰よりも仲間を大切に思っている。」

「俺もそう思う。」アーサーが頷く。「いつも自分の感情よりも、俺たちを優先してくれる。あれはなかなかできることじゃない。」

アルトが焚き火を見つめながら言った。「あいつが笑うと、何かホッとするんだよな。もっと笑えばいいのに。」

フェルミアールが珍しく微笑みを浮かべた。「無表情な顔の裏には、いろいろな感情が隠れている。それを見つけるのが楽しいと思わないか？」

シンリーの帰還

三日目の夜、湖の上に浮かんでいたシンリーがゆっくりと地面に降り立った。彼女の顔には疲れの色が見えるが、どこか清々しさも漂っている。

「待たせてしまったわね。」シンリーが静かに言うと、アルトが笑って肩を叩いた。「おかえり。無事で何よりだ。」

「どうだった、修行は？」アーサーが尋ねると、シンリーはわずかに微笑んで答えた。「とても有意義だったわ。でも……一人で静かに過ごすのは、少し寂しかったかもしれない。」

「なら、これからは一緒に過ごそう。」フェルミアールがさらりと言うと、シンリーは一瞬驚いた顔を見せたが、すぐに柔らかく笑った。

「ありがとう……みんな。」

こうして、シンリーの修行を見守る三日間は、仲間たちの絆をさらに深める時間となった。そして、彼女の新たな力と共に、アーサーたちは再び旅路を進んでいくのだった。